009
(SNOWBALL‘S EYES)
僕にとって、戦いは必ず勝つモノだ。
魔剣士である僕は、どんな奴にも負けない。
僕には、この大剣『スノーブラウンド』がある。この魔剣に僕は選ばれたのだ。
ここは、どこかの家の中。
木造の壁と、木造の部屋。ある建物の、ここは二階。
本棚と、テーブル。椅子もある中、氷の枷に縛られた女が一人いた。
「『火之鳥』も、お前がいなくなって終わりだろう。
東国というのは、所詮は田舎の国だ」
僕は、水色の着物を着た女を見上げた。
黒く長い髪の女は、頬が痩せ細り険しい顔で僕を見下ろしていた。
青い上下を着た僕は、大剣を背負っていた。
一見すると女性にも見えるが、僕は歴とした男だ。
水色のショートボブの僕の後ろには、三人の男の冒険者だ。
見た目は、戦士や格闘家風の人間。
「お前らは、なぜフレイムタイトを狙う?」
「簡単なこと、君ら『火之鳥』が邪魔だったから。特に裏社会の人間には。
フレイムタイトは、ただのおまけみたいなモノだよ」
「ギルド狩り……ということか?」
「そ、他のギルドが邪魔。力を持っているのは、レックスだけで充分。
それだけじゃあ不満?」
僕は、水色の着物を着たアオサクラをじっと見ていた。
アオサクラは、赤くして怒ってきた。
「お前達は、ガルムみたいなことをしている!
そんなことをしては、いつかガルムのように……」
「うるさいなぁ、そんな風になるわけ無いだろ。
それに、君はまだ自分の実情を分かっていないようだね」
僕は、青い大剣の剣先をアオサクラに向けた。
それでも、アオサクラは怯まない。
「死ぬか、僕らの仲間になるか、選べ」
「お前……」
「君は、裏社会でかなり強かったんだろう。
ガルムを倒した『裏七英雄』だっけか?アオサクラ・セツカ」
「私は、そんな大層なものでは無い」
「確かにそうだね。
火之鳥リーダーの君は、それでも僕に負けた。
氷の魔剣士である僕に、無様に負けたよ」
歯を食いしばって、アオサクラは僕を睨む。
だけど、怒れる彼女の全てを僕は奪った。
彼女の持っている曲刀も、僕の後ろにいる剣士が持っていた。
彼女の作ったギルドも、全て破壊した。
唯一取り逃がした雑魚がいるが、たいした強さでは無い。
このコスモポリタンにいる以上、僕達『レックス』に逆らうことさえ許されないのだから。
「君は、仲間になるべきだ」
「断る」
「まあ、ここで結論を焦るな。お前の最後の仲間だっけ、カミカゼとか言ったな。
そいつを見つけ次第、もう一度取引をしようでは無いか」
「お前……なんてことを」
「既に君は僕の者だ、これは変わらない。
お前達、分かっていないこの女に少しかわいがってやれ」
「いいんですか?」
後ろの男達が、下品な笑いを見せた。
それでも、僕は冷たい顔で背中を向けた。
「ああ、少しレックスを教えてやれ。
気が変わるかもしれないからな、やり過ぎて傷物にはするなよ」
「はい、スノーボール様」
三人の男は、怪しく笑いながらアオサクラに手を伸ばしていた。
男三人は、そのままアオサクラに対して迫っていく。
「や、やめろっ!やめろっ!」
アオサクラの、怯える声がこの建物に響いていた。




