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鉄と炎の街  作者: 葉月 優奈
一話: 氷の魔剣士と焔の鎖と
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008

(CAREDONIA‘S EYES)

この酒場は、名前の通りデオドアが経営していた。

デオドアとは、私の育ての親だ。だけど、デオドアは生みの親ではない。

私は幼い頃、コスモポリタンの貧民街でデオドアに拾われた。

デオドアから酒場のマスターのことを教わって、私にも酒の作り方をいろいろ教えてくれた。


この『デオドア』に、一人の客がやってきた。

彼も、数少ない顔なじみだ。

丸い体に金属鎧、ガチャガチャと音を立ててやってきた。


「パラライカか、この町に戻ってきたとはな」

「マスターは、カレドニアになったのか?大きくなったな」

「そんだけ、年取ったんだよ」

拳銃を、右足太ももにあるホルダーにしまう。

そのまま、パラライカはカウンターに座っていた。赤髪の女の隣だ。


「遅い」赤髪の女が、声をかけた。

「悪い、用事があった」

「そうか」どうやら、この赤髪の女の知り合いらしい。


「パラライカ、生きていたのね」

「ニコラシカも生きていたのか、懐かしいな」

「わたくしは幽霊ではありませんわ」

パラライカとニコラシカも、知り合いのようだ。

そういえば、パラライカの金属鎧にも帝国の証である鳥の紋章が掘られているな。


「帝国軍人だったか、パラライカは?」

「元……な」

「そうか、帝国軍は大変だな」

今のコスモポリタンは、帝国は逆風が吹いていた。

ブロンクス家もいなくなり、帝国はこの街での影響力が無くなった。


「パラライカ、帝国軍人である事をこの町では隠した方がいいですわ」

「そうだな、善処する」

「しかし、パラライカは旅をしていたんじゃ無いのか?」

「この町でやりたいことがある。そうだろ、ソノラ」

「ええ」赤い髪の女ソノラは、酒を飲んでいた。

この女、未成年だけど遠慮無く酒を飲む。

アルコール度数の高い酒を、静かに飲んでいた。


「パラライカ、その女とはどんな関係です?」

「一言で言えば、正義だ」

「はあ?」

ニコラシカは、首を捻っていた。

パラライカは、私にビールを頼む。

すぐに私はビールを用意して、パラライカの前に出した。


「正義は人が生きる上で、一番人らしく生きれること」

「ああ、そうだったですわ。あなたは正義に従い、正義と共に行動する。

あなたの正義が、その若い女ってことかしら?」

「『ソノラ・ノクターム』よ」赤髪女は、はっきり言い放つ。


「ソノラ……変わった名前ね」

「そう?」

「ねえ、あの掲示板にある依頼は?」

そんな時、ソノラが私の後ろにある掲示板を指さした。


「ああ、掲示板。この酒場では、依頼を受け付けている。

何か、受けたいモノでもあるのか?」

「『レックス』と戦う依頼」

「そうね、この依頼は『火之鳥』ギルドから出されたモノよ。

内容はこう、『レックス』幹部の『スノーボール』を倒す依頼よ」

「相手は幹部『スノーボール』なの?」

「そうよ」ソノラは、掲示板をじっと見ていた。


「やるのか?」

「ええ、受けるわ」パラライカの言葉に、ソノラが即決した。

ソノラの言葉に、私は後ろの掲示板の依頼書を二人の前に出した。


「いいの?あなたたちは、旅の人間でしょ」

「分かるのか?」

「今のコスモポリタンで、レックスの事を知っている人間はこの依頼を受けないから」

私は知っていた。

コスモポリタンで、ギルド『レックス』は絶大な権力を握っていることを。

レックスの権力は、市政も自在に操る程だ。ガルム以上に、あまりにも強い権力だ。

かつて帝国を追い出した市民団体も、レックスの粛正に恐れていた。


「ええ、受けるわ」

「だったら、依頼主を奥の厨房から呼んでくるわよ」

そういいながら私は、後ろの厨房に歩いて行った。

厨房から私が出てきたときに、一人の男を連れてきていた。

それは、白い胴着を着ていたちょんまげ姿の若い男。


「あなたが、受けてくださるのか?

拙者は、カミカゼというものでござる」

カミカゼが、ソノラに向けて丁寧に頭を下げていた。



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