054
あれから一週間が過ぎた。
私が来ているのは、ある一軒家。黒い屋根の二階建ての一軒家。
ここは、パラライカの実家だ。
私は、初めてパラライカに招かれていた。
レンガ造りの建物の、二階に上る階段。
重そうな金属鎧を着たパラライカが、先導してくれた。
「いいのか?」
「ああ、是非とも会ってくれ」
パラライカが、私を自宅に招いてくれた。
相変わらず、金属鎧のパラライカが連れてきたのは二階の一室。
そこに、一人の少女が眠っていた。
「パラライカ、彼女が妹か?」
「ああ、ソノラ。名前をシャンディという」
「似てないな」私は率直な感想を言うと、パラライカは苦笑いをした。
私たちが部屋に入ったら、眠る女は目を覚ました。
体を起こしたのは、茶色のロングヘアーの女が驚いた顔を見せて上半身を起こす。
「シャンディ、大丈夫か?」
「兄さん、その人は?」
「ああ、自分の大事な人だ。今の相棒だよ」
「そう、兄さんにもやっと恋人が出来たのね。よかった」
「違うぞ」パラライカは真顔で否定。私も首を横に振った。
そんな私たちを見て、シャンディは嬉しそうな顔を見せた。
だけど、すぐに咳き込んでしまう。
「ああ、大丈夫か?」
「平気、でも……兄さんが一人じゃなくてよかったです」
「何を言っている、自分はいつも一人じゃない」
「兄さんは、いつもひとりぼっちのイメージがありますから」
「確かにそうだな」私もシャンディにのっかった。
パラライカは、必死にシャンディに語り掛けていた。
綺麗なこの女は、パラライカの大事なものであるとよく分かった。
そして、兄妹が少し羨ましくも思えた。
「やはり、パラライカは、単独で行動するからな。
苦労しているのだな、お前も」
「ふふっ、そうですね」
シャンディは、元気なく笑っていた。
それでも、彼女を守りたいパラライカの意志はわかった。
「兄さん」
「ん?」
「最近レックスの人は来なくなったのですけど、どうなったんですか?」
「レックスの規模は、縮小された。あの日を境に」
「そうですか」
「でも、自分たちがついている。
ここには『サラマンドル』ギルドリーダー『ソノラ』も、ここにいるからな」
「私には荷が重いぞ、パラライカ。
というより、私はいつリーダーになった」
「他にいないだろう、あの戦いを見て」
「まあ、それはいい。だけどいつか……」
シャンディのベッドの淵に座った私は、シャンディの手をつかむ。
細い華奢な腕をつかみ、声をかけた。
「鉄と炎の街を、平和な街にしてみせる。
私のパパが、命がけで守って愛したように」
私は、シャンディに決意をしていた。
これからのコスモポリタンの未来を。
私のような復讐だけが生きがいの人間が、これ以上生まれないようにするために。




