053
パラライカは、『レックス』の人間だ。それを告げたのは、ロブ・ロイ。
だけど、私と十年もの間旅をしてきた。
長い長い復讐のための旅を、私はパラライカとずっと続けてきた。
だから、パラライカのことは誰よりも一番理解していた自負があった。
裏切られたとしても、私は彼を信じるしか無かった。
「前に出てきたのか?」
「ああ、お前だけは絶対に殺す。ロブ・ロイを殺すために、ここに来た」
私は鎖を振り回して、ロブ・ロイを睨む。
私の動きと同時に、パラライカは離れた。
銃口を私に向けてきたロブ・ロイは、まだ余裕の顔を見せていた。
やはり、ヤツの狙いは私だ。
鎖を回しながら、私が横に走り出した。
パラライカから離れて、私は前後で挟む。
挟まれたロブ・ロイは、それでも私を見ていた。
鎖を振り回し、距離を計りながらロブ・ロイを見ていた。
隙だらけだけど、余裕があった。やはりあの無敵の服は、ロブ・ロイにゆとりを与えていた。
おそらく、チャンスはたった一回。
同時に私は鎖を、放り投げていた。
「無駄なことを」
だけど、ロブ・ロイの背後から風が吹き付けてきた。
吸い込む風に、ロブ・ロイはすぐに気づいた。
この攻撃は、互いのタイミングが重要だ。
パラライカが使ったのは、魔力吸引だ。
魔力を一瞬にして吸い寄せる魔法、一度幻術殿で使ったあの技だ。。
魔錬成武具が、魔法でできているのならば吸引で魔力を吸い取れば無効にできるという考えだ。
私はそう思い、実行させた。
同時に、私は鎖を回し続けた。
ロブ・ロイは、自分の無敵の服を信じて疑わない。
だが、魔力が消える瞬間を狙って鎖を投げつけた。
僅かな一瞬、不意打ちを私は逃さなかった。
「しまっ……」私の重たい鎖が、ロブ・ロイの頭に当たった。
それは、手応えがはっきり手元に残った。
生々しいドスッと言う音がして、ロブ・ロイは吹き飛ばされた。
重たい鎖が当たった瞬間、ロブ・ロイは倒れていた。
頭から血を流したロブ・ロイは、口からも血を吐いてそのまま倒れた。
「ううっ……こんな馬鹿な……」
「覚悟はできたか?お前は私の全てを、奪ったのだから」
冷たい目で、私は倒れたロブ・ロイのそばに立っていた。
ロブ・ロイの右手には、倒れた反動で魔銃イフリートを落としていた。
それでも、ロブ・ロイは必死に立ち上がろうとした。
「お前は分からないのか?帝国が行なった、悪行の数々を」
「最後に言うのは、その言葉か?」
私は鎖で、伸ばしていたロブ・ロイの右手を絡ませた。
両手で鎖を握り、私は冷めた目でロブ・ロイを見ていた。
父を殺し、母を奪った男の顔が、私の目に映った。
すぐに私は、両手から鎖の炎を放った。
放たれた炎がロブ・ロイの体を、激しく燃やしていた。
そして、一分もしないうちに彼は黒焦げになっていた。
顔も判別できないほどの真っ黒焦げの焼死体に、ロブ・ロイは変わっていた。




