052
突然、パラライカが現れた理由。
彼が出てきたことで、私は戸惑っていた。
パラライカは、広場で戦っていたはずだ。
私の事を裏切り、敵になったパラライカがなぜここにいるのか分からない。
だけど、私の上を見て理由がようやく分かった。
赤い髪の赤ん坊が、小さな両手を広げて宙に浮いていた。
何かの呪文だろうか、ブツブツと喋っていて言葉が途切れた瞬間にパラライカが姿を見せた。
「パラライカ……」
弾丸を受けても、異界の口は貫通した。
一発の弾丸が、パラライカの金属の兜を吹き飛ばす。
短く刈り込まれた髪の中に、血が流れていた。
「大丈夫か?」
「なんで、ここにいる?」
「呼ばれた、お前に」
「裏切り者のお前を、私が呼んだわけがないだろ」
私は不機嫌な顔で、パラライカを睨む。
だけど、パラライカは背中を向けたまま一言口にした。
「すまなかった」頭から血が流れたパラライカは、驚くほど素直に謝った。
どうして心変わりをしたのか、私は分からない。
だけど、パラライカははっきりと謝っていた。
「いいよ。私はアイツさえ倒せれば、お前のことは問わない」
今の私の敵は、ロブ・ロイ。私は自然と、前を向いた。
そうだ、パラライカにはいろんな事情があって当然だ。
妹がいて、帝国軍に在籍していて、それでも私は問わなかった。
私は彼を利用していたのかもしれない、だから裏切られても私に文句を言う筋合いはない。
「パラライカ、何のつもりかな?」ロブ・ロイがパラライカを、不敵に見ていた。
「ロブ・ロイ、お前と自分は戦う」
「お前は、妹を殺してもいいのか?」
「大丈夫だ、シャンディはこう言ってくれた。兄さんの正義を信じて……と。
だから自分は、自分の正義を信じる」
パラライカは、キッパリと言い放った。
ロブ・ロイに敵対するパラライカの覚悟を、私は彼の背中越しに聞いた。
「じゃあ、私の復讐に力を貸せ。
もう一度頼むぞ、相棒っ!」
「ああ」盾を構えて、パラライカが私の前に出た。
パラライカが戻っても、現状はロブ・ロイが優勢だ。
ロブ・ロイには、二つの魔錬成武器を持っていた。
パラライカが来たところで、相手が無敵である事は変わらない。
無敵の服カヴァーチャと、魔銃イフリート。
二つの装備を持つロブ・ロイは、隙の無い強さだ。
だが、私はパラライカを見てあることを思いだした。
「パラライカ、異界の口を使えるか」
「何をする?」
前にいるパラライカに、私は耳打ちをした。そして、パラライカは頷いた。
「本当に効くのか?」
「試す価値はある。お前が頼りだ」
私は迷わず、横に出た。
パラライカと離れて、鎖を振り回していた。
目の前にいるロブ・ロイは、それでも余裕の笑顔を見せていた。




