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鉄と炎の街  作者: 葉月 優奈
四話:正義と復讐と
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049

子供の頃、地下の階段に入ったことがあった。

だけど、パパが危険だと行ってパパに怒られた思い出があった。


赤いこの空間は、領主館の地下。

幼い頃ずっと住んでいた私が、全く知らないこの場所。

パパ『マイタミ・ブロンクス』は、テールレスという錬金術師と仲が良かった。


テールレスは、生涯最後の研究をここで行なった。

テールレスの研究の集大成こそ、目の前にいる卵から生まれた人間……いや赤ん坊の姿をしたゴーレムだ。

空に浮かぶ赤ん坊は、私をじーっと観察していた。


「殺すのだ」

ロブ・ロイが、再び命じた。

それでも赤ん坊(ブリギット)はじーっと私を見ていた。

見た目は、普通の赤ん坊。

肌が赤身かかっているし、赤ん坊にしては髪も生えていた。短い赤毛。


だけど目の前にいる赤ん坊は、卵から出てきた。

稀代の錬金術師が作った最高傑作は、どんなモノだろうか。

私も相手の動きに合わせて、いつでも動けるように身構えた。


(この赤ん坊、全然動きが読めない)

何を考えているのか、分からない。

私が警戒してみていると、ブリギットは両手をクロスさせて縮こまった。


縮こまったブリギットにタイし、卵の殻が赤ん坊の体に集まっていく。

そのまま、赤ん坊は裸体から赤いヒラヒラのドレスに姿が変わった。

真っ赤なドレスを着た赤ん坊は、大きさは変わらないモノの凜々しく見えた。


「おお、これがブリギットの真の姿か。

さあ、真の姿になったブリギットよ。カノモノを滅ぼせ。焔の使者よ!」

再び、ロブ・ロイが私を指さしてブリギットに命じた。

だけど赤ん坊はふわふわと浮かびながら、私の方に飛んできた。


私が持っている武器は、一本のナイフだけ。

相手は、錬金術師テールレスの最高傑作。

普通に考えて、ナイフ一本だけでどうにかなる相手ではない。

だけど、攻撃されたら戦わないといけない。後ろには、追い求めていた仇のロブ・ロイがいるのだから。


私は身構えて、赤ん坊ブリギットを見ていた。

だけど、赤ん坊から一切殺意を感じない。


(気をつけろ、どんな攻撃をするのか分からない)

強ばった顔で、私は警戒を解かない。

そんな赤ん坊ブリギットが、私の前までフラフラと飛んできた。

私の前に飛んでいるブリギットは、私の顔を指さす。


「ママ?」

「え?」私が首をかしげた瞬間、ブリギットがそのまま落ちていった。

思わず、私はナイフを手放してブリギットを抱きかかえた。


「赤い毛、ママ」

「な、何?この子」

抱きかかえた赤ん坊を見ながら、私は戸惑っていた。

つぶらな瞳の赤ん坊ブリギットは、素直にかわいい。

私の緊張感が、一気に和らいでいた。


(なんか、かわいいわね……はっ、そうじゃない。

この子は……稀代の錬金術師テールレスの最後の研究……兵器……だけど)

純粋無垢な赤ん坊の瞳は、私から戦意を喪失させた。

両手で抱きかかえた私は、赤ん坊ブリギットをあやしていた。

だけど、前にいたロブ・ロイは様子が違う。


「どういうことだ?なぜ、ブリギットは攻撃しない?」

思い通りにならないロブ・ロイは、怒りに満ちていた。

それと同時に、彼の上空では三つの魔錬成武器が浮かんでいた。

険しい顔を見せたロブ・ロイは、両手を広げた。


「よく分からないけど、この子は私をママと思ったみたいよ」

「ママ、赤い毛」

私の染めた赤い毛に反応したのか、ブリギットは私の髪の毛に手を伸ばそうとしていた。

自然と和やかな顔に変わった私は、ブリギットに笑顔を見せていた。

それは狂気に変わる顔ではない、自分でも不思議なほどに穏やかな顔を見せていた。


「くそっ失敗作か!

ならば、このままお前らをここで消してやろう」

ロブ・ロイが掲げた左手に、真っ黒な服がロブ・ロイの体に落ちていく。


黒い闇がロブ・ロイの姿が包むと、赤と青の個性的な服が黒の執事服に変わっていった。

さらに両手で持った杖を投げ出すと、ロブ・ロイの右手には赤い銃を持っていた。

真っ赤な魔銃イフリートを握り、私とブリギットを睨んでいた。



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