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鉄と炎の街  作者: 葉月 優奈
四話:正義と復讐と
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(SONORA‘S EYES)

みんなは、大好きなコスモポリタンを救う。

私に、助けられた恩義を返す。

今の私には、何の関係もない。

今の私にあるモノは、ただ一つ。レックスに対する復讐のみ。


十年前のあの日、私は全てを奪われた。

奪ったのは、レックスと『ロブ・ロイ』。そして、彼らに騙された愚かな市民。

幼い私も、そのときの記憶がはっきり蘇っていた。


たった一人で、私がかつての家だった領事館を駆け抜けた。

広い屋敷だけど、私は七年住んだ家を絶対に忘れたりはしない。

ナイフだけを持ち、レックスの冒険者を蹴散らしながら私は地下の階段を見つけた。


地下の暗い階段を、降りていく。

明かりもない、真っ暗な階段。暗くてよく見えない階段を、ドンドンと私は高揚しながら降りていた。


(ようやく、できる。私の復讐が)

十年前、殺されそうになった私は逃げ出した。

あの日から、この家に……ロブ・ロイを殺すことだけを夢見ていた。

長かった階段を降りて、通路を進む私。暗い通路を抜けて、大きな扉の前に辿り着いた。


扉を開けると、そこは真っ赤な壁と床の部屋だった。

中央には、三つの釜が置かれていた。三つの釜が、大きな卵を禍根英太。

大きな卵の前に、一人の人間が背中を向けていた。

赤と青い服を着た男は両手を広げて、ガラス管を見ていた。


「来たか」

紛れもない、私の仇ロブ・ロイだ。

広場にいたときの真っ黒な執事服ではないロブ・ロイが、ここで姿を見せていた。

振り返ったロブ・ロイに、私はナイフを持って睨んでいた。

ロブ・ロイの後ろにあるガラス管は、赤く光っていた。


「来たわよ、あなたを殺しに」ナイフを構えた私。

「ソノラよ、喜べ。お前が最初だ、最初にこれを見る権利を与える」

「ふざけるな、殺すっ!」

笑顔のロブ・ロイに、鋭い目つきで私は走り出す。

ロブ・ロイの手には、大きな杖を持っていた。

口は既に詠唱を続け、杖を振り上げた。ロブ・ロイが、一つの魔法を完成させていた。


私の真上から、電撃が降り注ぐ。

いきなりの攻撃だけど、私は電撃の動きを反応した。

右足で踏ん張って、横に飛んだ。

横に飛んだ反動で、体のバランスを崩したが側転して体勢を整えた。


「小賢しい男だ」

「邪魔をするな。今から、帝国を滅ぼす財宝の目覚めだぞ」

「蘇らせたのか」

「そう」ロブ・ロイが、横に一歩ズレた。

ガラス管を囲むように、三つの大きな釜が見えた。

大きな釜の上には、赤く光る三つの魔錬成武具があった。


私が持っていた、焔の鎖。

アルゴンキンが持っていた、魔銃イフリート。

そして、真っ黒な執事服も赤い光を放つ。


光を放ちながら、中央にある大きな卵のようなモノの周りをグルグル回っていた。

回っている卵の中にヒビが入ると、そのまま割れていく。

割れたヒビから、小さな手が出てきた。


「あれは……」

「さあ、生まれよ。テールレスが、残した最後の兵器を」

割れた瞬間、卵の中から一人の赤ん坊が姿を見せた。

卵の上に、裸体の赤ん坊。頭が大きいけど、赤ん坊は空をフワフワと浮かび上がっていた。


「赤ん坊?人間……どういうこと?」

「はは……これこそテールレスが残した、最後の財宝にして最強の兵器。

究極の破壊ゴーレム、ブリギットだ!」高笑いをしていた、ロブ・ロイ。

「ブリギット?」

私はブリギットと呼ばれた赤ん坊ゴーレムを、じっと見ていた。

少し肌が赤身のかかった赤ん坊ゴーレムは、じーっとロブ・ロイを見ていた。


「さあ、ブリギットよ。まずは、あの女を殺せっ!」

ロブ・ロイが、ブリギットに命じた。

ロブ・ロイに命令されたブリギットは、真っ赤な瞳を私に向けてきた。


私は息を飲んで、小さなゴーレムを見ていた。

見ていながら、私はどうしてもある事を思ってしまった。



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