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鉄と炎の街  作者: 葉月 優奈
四話:正義と復讐と
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(CAREDONIA‘S EYES)

私は、この街が嫌いだった。

火山の硫黄の匂い、鉄を叩くうるさい音。

でも、この町は私の生まれ故郷であり、育った故郷だ。

だからこの町が、どうなろうと見守る義務があり、見届ける権利があった。

鉄と炎の街(コスモポリタン)』は、私のかけがえのない居場所だ。


そんな居場所に、二人の旅人がやってきた。

旅人ではない、彼らもまたコスモポリタンで生まれ育った人間だ。

ソノラとパラライカ、彼らが来てこの町に大きな変化が生まれた。


今までは、レックスに戦おうとする人間はいなかった。

レックスは、強大で絶対的な存在。

十年前に、暴動と混乱の最中で全ての権力を得た。

私たち『裏七英雄』の手柄を横取りし、レックスは偽物の英雄になった。


その後、レックスは好き放題やり続けた。

かつてのガルムのように。

だが、それを変えてくれたのがソノラ達だった。

復讐しか考えないソノラの真っ直ぐな殺意が、私たちを動かした。


(あなたには、感謝しているわ。再び戦う勇気を、与えてくれたのだから)

私は銃を構えて、迫る冒険者に放つ。

藍色の長い髪をなびかせ、男の冒険者の胸に私の銃弾が突き刺さった。


そんな、ソノラが私のそばにいた。

未成年で未熟な赤毛の少女ソノラは、磔の縛りから解放された。


「大丈夫かしら?」

「うん、ピュリが助けてくれたから」

「そうだにゃん」私は、ピュリと知り合いだ。

彼女は、とても手先が器用だ。


私が敵を引きつける間に、ソノラの救助も彼女が行なった。

茶色のジャケットに、茶色のホットパンツの彼女もナイフを持って戦っていた。


関わる皆が、ソノラのために動いた。

ニコラシカとアオサクラが騒ぎを起こし、私は広場に侵入。

そのままソノラの近くにいたレックスの冒険者を、蹴散らして接触に成功。


「ロブ・ロイは、広場にいないわね」

「逃げたわ」私はソノラと、会話を交わす。

レックスの最高権力者『ロブ・ロイ』。

広場で刑を執行し、群衆を誘導した支配者。


だけど彼は喧噪と共に、急にいなくなった。

このまま、レックスの軍を率いるのを辞めて撤退していた。

私は銃を構えて、レックスの冒険者を撃つ。

襲ってくる冒険者は、何人も広場に倒れていた。


「行く場所は、分かる?」

「テールレスの最後の研究、それがある場所は……帝国領事館」

「よかったわね、あなたの実家でしょ」

「ええ、今すぐアイツを殺したい。殺したい、殺したい」

ソノラの高ぶる感情、見た目は確かに狂気だ。


だけど、彼女の素直な感情の爆発だった。

両親を殺されて、自分も殺されそうになった。

自分の大事な者も奪われて、怒らない人間はいない。

そうか、彼女は正直な人なんだ。私には、ソノラのようにはなれない。


「じゃあ、行って!」

銃を構えて、私は周囲を見回した。ソノラは私の隣で丸腰だ。

いつもの黒いジャケットにスカートだけど、武器はない。


「なんで、私を助ける?

あなたは、酒場のマスターであって……」

「私は、コスモポリタンが大好きよ。だけど今の街は好きになれない」

「どういう意味?」

「少なくとも、レックスが支配しないコスモポリタンが好きなだけ。

これを持って、あなたは行きなさい」

ソノラに手渡したのは、一本のナイフだ。


「あなたなら、この一本で充分でしょう。復讐しに行きなさい。

レックスをブチ壊してきなさい」

「うん、ありがと」短い言葉で、ソノラは背中を向けた。

ナイフを握りしめたソノラは走り始めた。

だけど、私の前には五人の冒険者。

剣や槍を持ち、私の方を睨んで身構えていた。


「ここは、通さないわよ」

私は銃を構えて、立ち塞がっていた。



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