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鉄と炎の街  作者: 葉月 優奈
四話:正義と復讐と
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043

(LOBUROI‘S EYES)

私の計画は、全て思い通りに動いていた。

戻ってきたスプリッツアを、捕まえることも。

裏切り者のアルゴンキンから、魔銃イフリートを奪い返すことも。

ここで三つの魔錬成武器を手に入れることも、全てが計画通りだった。


今、私がいたのは刑務所だ。

鉄の塀の監獄、一階に執行部屋があった。

執行部屋の、電気椅子に一人の女が座っていた。いや、座らせていた。

赤い髪の女は、十年前も一度この椅子を座らせていた。

だけど、両手両足、さらには腰とガッチリした鉄の枷で縛られていた。


「気分はどうかな?」

「お前だけは……殺す」女は激しく、椅子に座ったまま暴れていた。

「スプリッツア、いやお前に敬意を表して『ソノラ』とここでは呼んでやろう。

お帰り、コスモポリタンの刑務所というお前の我が家へ」

「ふざけるな!」

ソノラの怒りは、獣のようだ。


未成年の少女だけど、目がギラギラしていた。

凄みのある女は、獣のようだ。

縛られていなければ、今すぐ椅子の前に立っている私に殴ってかかりそうな勢いだ。

だけどソノラが座る椅子は、地面にしっかり固定されていて微動だにしない。


「威勢がよい女だな」

「お前だけは、絶対に殺す、殺す、殺す」

ソノラの目は、血走っていた。

こんな彼女の顔を見るのは、十年前の子供の時以来だ。

あのときも、彼女は暴れていたし感情を爆発させていた。

殺意に満ちた、とてもブロンクス家のお嬢様とは思えないほどの野蛮な女だ。


そんなソノラの叫び声を聞きながら、私は高笑いをしていた。

実に滑稽だ。何もできない人間を、縛られて暴れる人間を、高笑いで眺める。

それこそ、甘美な時間だ。私は、とても気分がいい。


「私はこれでも感謝している、戻ってきてくれてありがとう。

そうだ、感謝ついでに今からいい事をお前に教えてやろう。

なぜ、パラライカがお前を裏切ったのかを」

「くっ」怒りを押し殺しながら、ソノラは私を睨む。

昔のソノラ……スプリッツアはそれでも暴れ出したら体力が無くなるまで止まらない。

だけど、今のソノラは驚くほど冷静だった。


「パラライカは、初めから仲間(レックス)だ。

契約と約束で縛られた、絶対に裏切らない優秀な仲間だ」

「契約?」

「お前は知っているか?パラライカには、大層かわいがっている妹がいることを。

その妹は難病に冒されていて、医者も諦めるほど絶望的な状況だ。

だが私たちレックスには、彼の妹を助ける手段があった。

この魔錬成武器を三つ集めて、最後の研究の封印を解く。パラライカはそのおこぼれが欲しい。

だから、私たちと手を組んだ。十年前のあの日から、レックスに入ったんだ」

「最悪だ……」ソノラは、愕然とした顔を見せた。

おそらく、パラライカはソノラには話をしなかった。


あくまで表面的な付き合いで、パラライカは十年もの間ソノラには隠し通したのだ。

ソノラは、それを初めて聞いたような驚きを見せていた。

だけど、ソノラはじっと私を睨む。彼女の殺意は、挫けない。


「お前に問う」

「なんだ、言ってみろ?」

「お前は、私になぜ『焔の鎖』を渡したのか?

それともパラライカが、独断で私に鎖を渡したのか?」

「私が渡した。魔錬成武具は、血と共に進化する武器だ。

魔錬成武具が、他の武器と大きく違うのはこの要因が大きい。

だから、お前にたくさん血を吸わせてもらいたかったわけだよ。

最後の研究の解放のために、お前には利用させてもらった」

「そこまでして欲しい最後の研究がないと、帝国と戦えないのね。かわいそうに」

「ああ、帝国と戦うからな」

「ダサイわ」ソノラは一刀両断した。

次の瞬間、私は椅子の後ろにあるレバーを引く。

引いた瞬間、ソノラの体に電撃が流れた。


「あああっ!」彼女の体に電気が流れ、苦しんでいた。

魔法の電撃と同じような紫色の電撃が、彼女の周りに現れた。

痛そうな電撃を受けるソノラを、私は楽しみながら見ていた。


「喜べ、明日はお前の処刑をしてやろう。

十年前、忘れていた処刑を盛大に行なってやるからありがたく思え。

それと同時に、テールレスの最後の研究もお披露目式を兼ねてやろう。

お前には、特等席で研究を見せてやろう。冥土の土産にでも、するがいい」

「ううっ、許さ……ない」

電撃が流れ続けるソノラは、執念で私のことを睨んでいた。

歯を食いしばりながら、冷たい目で私を睨んでいた。


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