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鉄と炎の街  作者: 葉月 優奈
三話:通り魔狙撃手と暗躍と
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スプリッツアの私は、忘れることの出来ない人間だ。

ロブ・ロイは、私のパパを殺した張本人。

幼い頃の私は、ロブ・ロイに殺されたことをはっきりと見ていた。


あのとき、撃った銃弾はアルゴンキン。全てが、私の目の前に出てきた。

ツいている、今日の私は実に運がいい。

それでも、私は冷静な顔で仇のロブ・ロイと相対した。


「レックス現オーナーの『ロブ・ロイ』です。

あなたは、スプリッツア・ブロンクスですか?」

「私はソノラ」

「名前を隠さなくてもいいですよ。私は、何でも知っています。

そんなことより、お前が持っている『焔の鎖』を渡してもらおう」

「魔錬成武具を、お前達レックスも集めているのか?」

「元々は、私たちのモノになる予定でした」

「何を言っている?これは私の相棒だ。お前に渡す義理はない」

鎖を握り、私は冷たい眼差しをロブ・ロイに向けた。


「でも、欲しいのですよ。

私たちレックスには、どうしても必要なモノですから」

「お前らの目的は、やはりテールレスの遺産か?」

「調べていたのか、魔錬成武具のことを」

「あなたたちの目的もね。

テールレスの遺産、第四の魔錬成武具をどうするつもり?」

「無論、レックスのために必要なのだよ。

様々な兵器開発をしたテールレスが、最後にこの世に残した偉大な兵器。

これを手に入れれば、世界は変わる。

腐った帝国を滅ぼすことが、我らレックスの目的だ。

そのためにも、お前が持っている魔錬成武具は全て渡してもらう」

ロブ・ロイは、私に向けて手を差し出してきた。

その仕草に、私は素直に怒りを覚えた。


「魔錬成武具は、ブロンクス家のモノだ!」

「やはり、正体を現しましたね」

「お前は初めから私の姿を、知っていたのだろう。

正体を隠す理由もない、お前は私が何者であっても奪う気なのだろう」

「流石です。あなたがどう足掻こうとも、『焔の鎖』はこちらのモノです。

力尽くで、頂かせていただきます」

大きく目を開いたロブ・ロイは、既に両手に杖を持っていた。


彼のスキルは、魔法だ。

幼い頃にロブ・ロイの戦いは、一度見た事があった。

パパとの戦いで、岩石魔法を中心に使っていたのを覚えていた。

だから、魔法を打たれる前に鎖を投げつけた。


相手が魔法使いならば、詠唱前にこちらの攻撃で相手を黙らせればいい。

鎖がそのまま、ロブ・ロイの頭目がけて飛んでいく。

だけど、ロブ・ロイは詠唱を完成させた。


「岩の塊よ、かのモノを砕け!『ストーンフォール』」

岩の塊が、地面から隆起した。

隆起した岩の塊は、そのまま私に向かって岩の塊になった。


それでも既に飛んでいた鉄の鎖が、岩の塊を無残に砕いた。

砕かれた岩粒は、ロブ・ロイの横を通り抜けていく。

ロブ・ロイの背後にある鉄の倉庫の壁に、砕けた岩がバチバチと当たっていく。


岩にぶつかった鎖は、そのまま勢いを落として落ちていく。

鎖を引き上げた私は、背中の方で鎖を振り回した。


「お前は、殺しがいがある」

私は最高の気分だ、仇が目の前にいるのだ。

思わず、舌なめずりをする私。


それでも、パパに使ったあの魔法を見て私は確信した。

(絶対に、コイツだけは殺してやる)と。目が血走っていた。


鎖を振り回し、勢いをつけた。

大きく振り回した鎖が、赤い炎を帯びていた。

炎がまるで、踊るかのように鎖の上で踊っていた。


「随分と強くなったな」

杖を持ったロブ・ロイは、私のことをしみじみとみていた。

だけど私にとって、ロブ・ロイが何を言おうと殺す対象である事に変わりが無い。

私は、構わず鎖を振り回した。


そのまま、ロブ・ロイに向かって投げようとした。

だけど、ロブ・ロイの後ろから二人の人間が姿を見せていた。


「ソノラ殿、逃げて……くだされ」

一人目は、カミカゼだ。

呼吸を乱し、泥だらけの顔と胴着で姿を見せていた。


だけど、カミカゼだけならば私は驚かなかった。

カミカゼを連れてきたもう一人の人物が、私を驚かせた。


「お前はっ!」

突然現れた人物を見た私は、驚きが隠せなかった。

全身金属鎧を着た、丸い体の男パラライカだ。

壊れたはずの白く大きな丸い盾を持ち、険しい顔で現れた。

パラライカがカミカゼをボロボロにしたのだろうか、驚きと同時に怒りがあった


「ソノラ、手を引け」

「なぜ、そんなことを言う?」

私の注意が、パラライカに向けられた。


そのまま、鎖を振り回して私はパラライカに向けて投げた。

投げた瞬間、パラライカは大きな盾で防ごうとした。

だけど、鎖は回ると炎が浮かび上がった。


「むっ、これは?」

「『フレイムチェーン』よ、知っているでしょ」

炎が、パラライカの盾にまとわりつく。

思わず全身に炎がまとわりついた。


そのまま、パラライカはカミカゼを手放してしまう。

同時に、炎を振り払った。


「お前が逃げろ!」

カミカゼに、私は声をかけた。

私は大声で叫び、カミカゼは燃えているパラライカを見ていた。

だが、その時間はもう一人の人物には充分だった。

その隙を、目の前にいたロブ・ロイは見逃さなかった。


杖を持ったロブ・ロイが、魔法の詠唱を完成させていた。

戸惑う私に、ロブ・ロイがかけた魔法。


魔法の完成と共に私の上空から、突然電気が流れた。

上から下に流れる電撃の帯に、私は打たれた。


「うあああっ!」

私は電撃をまともに受けて、そのまま焦げた匂いで倒れていた。


「逃げろ……」倒れた私は、振り絞るように声を出した。

「ソノラ殿っ!」

叫んだカミカゼは、そのまま走って倉庫を出て行った。

その後、私は目を閉じていた。


「よくやった、パラライカよ」

「はっ、ロブ・ロイ様」

私が気を失う瞬間、そんな言葉が闇の中で聞こえていた。



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