039
倉庫の中は薄暗い。
唯一の明かりは、空に昇る月の明かり。天井の窓から差し込んできた。
黄色い帽子を被った、おどけた男。
茶色のジャケットに、真っ赤で派手なズボン。
持っているのは赤い銃、これが魔銃イフリートだ。
つまりコイツが、アルゴンキンだ。
私は壊れた鎖を両手で握って、アルゴンキンを見ていた。
「アルゴンキン、ようやく出てきたわね」
「そうだ、お前がソノラ……いやスプリッツアだな」
「お前の銃は、やばいな」
鎖が壊された、私は笑っていた。銃を構えて、私を見るアルゴンキン。
引き金に、人差し指を添えて私を睨む。
「そうだ、この武器は最強の銃だからな」
「随分と、おしゃべりな狙撃手だ。だけど私は、嫌いじゃないよ」
「殺しをするときは、一発で殺すがお前はさすがに死ななかった。
だから敬意を込めて、少しだけなら喋ってやろうと思ってな」
「それで、私に勝ったつもりか?」
私はじっと銃を構えるアルゴンキンを、首を傾けて見下ろした。
銃を構えたアルゴンキンは、それでも勝ち誇った顔を見せていた。
「しかし、その鎖は偽物か?簡単に壊れたぞ」
「ホンモノだ、これは焔の鎖。
お前達が、欲しがっている魔錬成武具だ。悔しいか、簡単に壊れてしまったぞ」
「お前が弱いから、焔の鎖は壊れたのじゃないのか?」
「あなたは、レックスと手を組んだのでしょ。ガルムのアルゴンキン」
「それは逆だ」
アルゴンキンは、首を横に振った。
「どういう意味なの?」
「俺はレックスのやり方と、馬が合わない。
奴らは帝国を相手にして戦う気が強いが、俺は帝国に逆らうつもりはない。
だから、俺はお前を殺して……焔の鎖を手に入れる必要があるのだ。
唯一、気がかりなのはあの男の倒し方ぐらいだがな」
「あなたは、レックスと敵なのね」
「今はな。だがお前らとつるむ気は無い。
俺は強くなる、魔錬成武具をもっと持って、レックスを乗っ取る」
「馬鹿な男」
私の怪しい笑いに、威嚇発砲をしたアルゴンキン。
私のことを睨んだアルゴンキンは、銃を構えた。
それでも私は怯えること無く、壊れた鎖を握っていた。
むしろ笑って、鎖を握ったままアルゴンキンを見ていた。
「お前はロブ・ロイに、利用されているだけだ。馬鹿な男よ」
「死にそうなお前が、そんな状態で何を言う?」
「お前は、私の強さを見誤った。だからお前は、ここで死ぬ」
「何ができる?その折れた鎖で?」
「分からぬか、お前は」
「撃つぞ!」銃を構えて、アルゴンキンが私を見ていた。
「私が、たった一人でこの場にいるとでも思ったか?」
すると、背後から一人の人間が走ってきた。
刀を持ったカミカゼだ、白い胴着のカミカゼが、刀を持ってこちらに向かって走ってきた。




