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鉄と炎の街  作者: 葉月 優奈
三話:通り魔狙撃手と暗躍と
34/55

034

(SONORA‘S EYES)

ガルサの魔術師ギルドから、私はバー『デオドア』に移動していた。

薄暗いこの酒場には、客がわずか三人しかいない。

今日の時間は、夜か深いので客が少ないのは仕方が無い。


カウンターに座る私、マスターのカレドニアがいつも通りタバコをふかしていた。

カレドニアの後ろには、掲示板があった。

そこには、新しい依頼『魔銃イフリートの奪還』が出ていた。


「この依頼、今日でたのか?」

ガルサのところで言われた、魔錬成武具の一つだ。しかも奪還依頼だ。

「出したのは私よ」

藍色の髪をしたカレドニアは、タバコを灰皿に潰して私を見ていた。


「なぜ?」

「私の相棒だから」

「相棒?」

「話せば長くなるけど、私はかつて魔銃イフリートを持っていた。

だけど、その銃はあなたたちを襲った。

パラライカの盾を粉々にしたあの銃こそ、私がかつて持っていた魔銃イフリートよ」

カレドニアは、そういいながら私が飲みたがったオレンジ色のカクテルを出してきた。


そのまま、私はオレンジ色のカクテルを飲んでみた。

甘すぎず、酸味もある酒だ。

飲みやすいこのカクテルは、気持ちいい飲み物だ。


「上手いな」

「あなたは柑橘類のカクテルが好きだから、これがいいと思ってね」

「意外としっかり見ているのね」

「私を、誰だと思っているの?」

カレドニアは、上目使いで私を見てきた。

これが、大人の女性の貫禄というヤツだろうか。


「その銃、誰が持っているんだ?」

「知らないわよ」

「アルゴンキン……元ガルムの冒険者」

そんな中で、女の声が聞こえた。


テーブルにいた女の子が、こちらを向いて近づいてきた。

ピンク色の髪で、茶色のジャケットにホットパンツ。

私はこの女の子を見るなり、少し照れてしまう。

何よりかわいらしいからだ。その照れを隠すように、冷静な顔を取り繕っていた。


「ピュリ、知っているの?」

「ピュリは、何でも知っているにゃん。

だってピュリは、情報屋だからだにゃん」

いつも通り語尾に「にゃん」と言い、とにかくかわいらしい女の子だ。


「詳しく、教えて欲しいのだけど……」

「金ちょうだいにゃん」

「じゃあ、銃弾をあげる」

カレドニアは、いきなり太ももにある拳銃を抜いた。

抜いてそのまま、ピュリに向けていた。

ピュリは手を上げて、それでも笑顔を見せていた。


「相変わらずカレドニアは、ものすごーく怖いにゃん」

「早く話して、私にはあなたにいくつもの貸しがあるから」

「わ、わかったにゃん」そのまま、ピュリは私のそばに座った。

背が低いピュリの椅子には、クッションがお尻に挟まれていた。


「アルゴンキン……ポリタン山にいた冒険者。

だけどフレアボム計画は失敗に終わり、ポリタン山でフレアボムは誤爆してしまった。

当時ガルムの一員だったアルゴンキンは、ポリタン山の洞窟に閉じ込められてしまった。

そんなとき、彼の目の前に魔銃イフリートが落ちていた。

魔銃イフリートの威力は、圧倒的で絶大だ。

岩も簡単に破壊する凶悪な火力を誇り……それを使って脱出した」

「そうね」カレドニアは、魔銃イフリートのことをよく知っていた。

それほどの威力だと、パラライカの盾が壊れたのも理解できた。


「魔銃を持ったアルゴンキンは、その後どうなったの?」

「知りたいかにゃん?」

「教えないと、撃つ」

カレドニアは、本気だ。

再び拳銃を構えて、ピュリを睨んでいた。

だけど、ピュリはおどけていた。


「やっぱり、怖くなっているにゃん。大人になれば、もっと怖くなったにゃん」

「あなたとは長い付き合いだけど、あなたはいつも姿が変わらないわね」

「ピュリは、幼女体系だから仕方ないにゃん。

そう思うでしょ、カレドニアお姉ちゃん」

「やめて、その言い方!」

カレドニアと、ピュリの間に流れる二人の空気。

私は抱きつかれたピュリを見て、なんだか愛おしく感じられた。


(なんだろう、この嫉妬のような感情は)

カレドニアとピュリの付き合いが、長いのは分かった。

二人とも、コスモポリタンに住んでいて仲がいいのは知っていた。


年齢も、二人は私より年上。

私より、経験が豊富な二人。

だけど、私の胸の中はピュリの事が愛おしくてたまらない。


「ピュリ……」

「どうしたのかにゃん?」

「あ、何でも無い」

私はピュリの顔を見て、何とか平静を保っていた。

そんな中で、ピュリは話を戻してた。


「アルゴンキンの情報を、渡しなさい」

「うーん、これが絡んでいるかにゃん」

ピュリが指さしたのは、掲示板だ。

その中には、いくつかの依頼が書かれていた。

多くは『通り魔事件』関係の依頼が貼ってあった。


「最近コスモポリタンでは、通り魔事件が何カ所も起っているにゃん。

アルゴンキン……彼こそ、おそらく通り魔事件の犯人だにゃん」

ピュリの言葉に、私は掲示板の別の依頼を見ていた。


そこには『通り魔事件』の調査依頼がいくつも貼られていた。

その中に、一枚の紙を見つけた。


差出人は、ニコラシカ。やはり依頼は『通り魔事件』だ。

そんな依頼を見ていたとき、深夜の酒場のドアが開いた。


「今日も、仕事疲れたからいっぱい飲みますわよ」

白いスーツのニコラシカが、タイミング良く現れていた。



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