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鉄と炎の街  作者: 葉月 優奈
三話:通り魔狙撃手と暗躍と
33/55

033

(GARUSA‘S EYES)

――コスモポリタン西地区・魔術師ギルド――

魔術師ギルドは、いつも通り地下にあった。

鉄の壁に、鉄の床。さらにはいくつものガラス管が見えた。

ボクは一人の人物を、このギルドに正体していた。


ボクは、あの武器を見て確信した。

確信したからこそ、ボクは彼女を招き入れた。

魔術師ギルドのテーブルで、白い兎のようなピィピィの着ぐるみを着たボク。


呼んだ人物は、赤毛のロングポニーテールの少女だった。

黒いジャケットに、黒のスカート、黒のブーツ。黒い色が好きな少女だ。


「来たわ」ソノラが声をかけた。

「怖い顔だね、君は」ボクは、おどけて手を広げていた。

「そう?」ソノラという少女は、じっとかわいらしい見た目のボクを見ていた。

ボクの顔の表情は、変わることは絶対にない。


ある魔術の失敗で、ボクの魂が離脱してしまいピィピィの着ぐるみに入ってしまった。

記憶や知識はあるものの、偶然の産物だった魔術の失敗を復元することはできずに現在に至っていた。

近くでこの着ぐるみが、子供達に風船配っていた所に緊急避難で乗り移ったのが理由だけど。


「君の焔の鎖(チェインブレイズ)は凄いね。やはり、これは伝説の一品だよ」

「それはどうも」ソノラの鎖を、ジロジロとボクは見ていた。

分厚くて触るととても熱い煙が出る鎖なのに、なぜ彼女は腰に巻いても平気なのだろうか。

やはりボクの興味は、尽きることが無い。


「その武器は『魔錬成武具』だね」

「なにそれ?」

「魔錬成武具と、魔導具(マジックウェポン)の違いが分かるかい?」

「魔法を付加した武具だけど……どんな違いがあるのだ?」

「基本は同じ、魔力を付加されていた武具だよ。

だけど魔錬成武具は、一人の人間が作った最強の武具だ」

「一人の人間?」

「錬金術師『テールレス・スリフスドック』をご存じかな?」

「その名前……聞いたことがあるわ」

「やはり、彼は天才の錬金術師だからな。帝国屈指の、天才錬金術師。

彼は、かつてコスモポリタンに住んでいた。

『マイタミ・ブロンクス』、彼がテールレスを招いて領事館に住んでいたという」

「そんなことが」ソノラは驚いた顔を見せた。

その表情は、純粋に驚いている様子だ。


「テールレスは、様々な物を生み出した。

マイタミ・ブロンクスが着ていた、真っ黒な服……無敵の服(カヴァーチャ)

フレアボム計画である狙撃手が使った最強の銃……魔銃(イフリート)

そして、十年前にブロンクス家の宝物庫から盗まれた……焔の鎖(チェインブレイズ)

その名を出した瞬間、ソノラの顔が険しくなった。

同時に、長い革手袋で鎖に手をかけた。

ボクは、両手を広げて戦う意志が無いことを示していた。


「待って、ボクは戦うつもりもないし……どこかに情報を流すつもりもない。

君をゆすることもしないけど……どうしても話しておきたかったんだ」

「で、こんな話をしてここに呼び出して……どうするつもり?」

「君は、この三つの魔錬成武具の他にもう一つの魔錬成武具があるのを知っているかい?」

「何それ?」

「テールレス最後の研究にして、最強の武具。

第四の魔錬成武具が、もしこの世にあるとしたら」

「欲しいヤツは、どんなに大金を積んでも欲しいだろう」

「君は、レックスを嫌っているよね?」

ボクの言葉に、ソノラは口を斜めにつり上げた。

引きつった笑いで、ソノラはボクをじっと見ていた。


「でも、そのレックスがテールレスの魔錬成武具を狙っているとしたら……」

「あり得ない話では、ないだろう」

「驚かないんだね」

ボクの言葉を聞きながら、ソノラは冷静な顔を保っていた。

そんなボクは、近くにある本棚に向かった。

本棚から取り出したのは、一冊の本。ソノラに手渡した。


「これは、テールレスの魔錬成武具の元になった錬金術の本だよ。

彼は、コスモポリタンに来る前にも多くの武器を帝国のために作っていた。

それは魔導兵器や、魔導の車なんかも作り出していた」

「砲台がついた車に、魔法弾を放つ砲台……なるほど」

本をペラペラと読んで、ソノラは顔を上げた。


「ここには、魔錬成武具は書かれていないのか?」

「書かれていないが、彼の錬金術はとてつもないレベルだ。

人生最後の研究という物だから、さぞ魔錬成武具は強い兵器だろうな」

「そんなのが手に渡ったら……」

「世界が終わるかもね」

ボクは、あっさりと言い放った。

ソノラは、難しい顔で考え事をしていた。


「だけど、レックスもテールレスの最後の研究を手に入れていない」

「その研究は、ブロンクス家で行なっていたのだろう。どうやって」

「知りたいか?最後の研究を手に入れる方法を……」

ボクは、ソノラのことを煽った。

この話にソノラも、興味が無いわけじゃない。


やはりレックスの名前を出すと、彼女の食いつきが違う。

彼女の素性は知らないけど、ボクは必死な彼女を楽しんでいた。


「簡単だよ、三つの魔錬成武具を手に入れる。

それが最後の研究……財宝を手に入れる方法だから」

ボクの言葉に、ソノラは息を飲んでボクを見ていた。



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