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鉄と炎の街  作者: 葉月 優奈
一話: 氷の魔剣士と焔の鎖と
3/55

003

(AOSAKURA‘S EYES)

――コスモポリタン東地区・『火之鳥』屋敷――

コスモポリタンの反乱から、十年後。

ここは、コスモポリタンの東地区にある大きな屋敷だ。

屋敷は、日本家屋で木造の建物。私はこの屋敷の主だ。


この建物は、『東国』文明と言われた独特な形状をしていた。

かつて、バレンシア帝国の東には島国があった。

独自の文明を持ち、独特な建築物が建ち並び、独特な衣装を着る。

和の文明である東国の人が集まるギルド『火之鳥』を束ねるのは、私『アオサクラ・セツカ』だ。


長い黒髪に水色の着物を着て、赤い袴をはいていた。

腰には刀を持っていた。そんな私たち『火之鳥』は、襲撃に遭っていた。


私たちが住む日本屋敷は、敵の冒険者が上がり込んでいた。

相手は西洋風の人間だ。私たちと違い、武器は(ソード)を用いる。

金属鎧や革鎧で、身を固めた敵だ。

和風の日本庭園が見えた縁側で、険しい顔で私は刀を構えていた。


「お前達、この屋敷に土足で踏み荒らすな!」

私は憤りながら、刀を振るった。

西洋鎧の男に、果敢に挑みて倒していく。

しなやかな動きで、相手の重い一撃を紙一重で交わしながら攻撃を続けていた。


だが、戦いは劣勢だ。周りには、私の同士が次々と倒れていた。

着物を着た者や、武者鎧を着た者が日本庭園で息絶えていた。


「お前達の所有するフレイムタイトを、全て渡せ」

「渡しても、お前達は殺すだろう」

私は黒い髪を縛り、目の前の男を睨む。

刀を構えて、金属鎧を着た斧を持った男と向き合う。

大きな斧を振りかざし、私に攻撃をしてきた。


だけど、私は刀の刃を返して受け止めた。

いや、横に重そうな剣を受け流してそのまま懐に飛び込んだ。

そのまま、刀で右腕を斬りつけて大きな斧を落とした男。

そのまま、私は柄で殴りつけた。鎧がない腹を殴られた男は、そのままうつ伏せに倒れた。


「火之鳥に逆らうな!」

強い目力で、私は周囲の男達に威圧感で睨む。

私の強さと凄みで、侵入者の男達は怯んでいた。


「アオサクラ様」私の後ろから、白い胴着の男が近づいた。

私と同じように、刀を持った黒いパツパツに立っている髪の男。

若い男は、呼吸を乱しながら刀を構えていた。


「カミカゼ、お前は逃げろ!」

白い胴着の男カミカゼに、私は必死に叫ぶ。


「ですが……アオサクラ様」

「こいつらは残念ながら、お前が勝てる相手じゃ無い」

私は後ろに声をかけたカミカゼに、胸元から取り出した小さな鍵を手渡した。

カミカゼは、私から数歩下がってそれでも見守っていた。


「カミカゼ、お前では邪魔だ。特にコイツでは……」

私の前に現れたのは、水色のマッシュルームボブの男。


一見すると、女にも見えなくも無い中性的な顔。

青い長袖シャツに、藍色のズボンを履いた男は冷たいオーラが漂っていた。

回りの温度が、冷えるかのような雰囲気の男が大きな大剣を背負っていた。


「やはり、僕の事が気になりますか?」

「ええ、あなたがまさかそちら側の人間になっていたとはね。魔剣士『スノーボール』」

私の目の前にいたのは、スノーボールと呼ばれた男だ。

コスモポリタンの冒険者ギルドに入っている人間で、彼を知らない者はいない。


「十年前の『フレアボム計画』を阻んだ侍、アオサクラ・セツカよ。

東国随一の剣豪様が相手ならば、僕なら不足はなかろう」

「どうして、お前のような人間が『レックス』についた?」

「単純なこと。レックスは、一番僕に金を詰んでくれたからな」

「愚かな守銭奴め」私は、苦々しい顔でスノーボールを睨む。

スノーボールも、不敵の笑みを浮かべつつ大剣を抜く。

冷たい気配を感じながら、私も刀を構えた。

スノーボールが持っている武器も、彼同様に有名だ。


「氷の魔剣『スノーブラウンド』か」

「よくご存じで。僕とこの氷の魔剣に、お前は勝てるのか?」

「私はこの『朧月光』を信じている」

私は右足を引いて、納刀をした。

体を開いて、右手に刀の柄。抜刀の構えを見せて、相手の攻撃を待つ。


(勝負は一瞬、あの武器の間合いに入らずに首を跳ねてしまう)

相手は魔剣だ、まともに打ち合えば勝ち目は無い。

魔力を帯びた氷の魔剣は、魔法の効果もある。だから相手に力を出させてはいけない。


私は、右足で駆けた。

そのまま一気に、魔剣士スノーボールと間合いを詰めた。

届く距離から、私の間合いで抜刀。攻撃のイメージは、頭の中でできていた。

踏み込んで、真っ直ぐに飛ぶようにスノーボールに飛び込む。

そのまま、狙い通りの間合いに入った。


(今っ!)私は抜刀した。

朧月光の黄色い刀身が、スノーボールの胸を目がけて伸びていく。

だが、スノーボールは冷静だ。


目の前で、大きな剣を地面に突き刺した。

突き刺された、氷の柱が地面から発生。

地面から映えた氷の柱が、飛び込む私の脇腹に刺さるよにぶつかった。


「ぐはっ」痛い、冷たい。氷の柱の直撃を、脇腹に受けた。

飛んでいた私は、そのままスノーボールの横を飛んで木の柱に激突した。


「どう、『スノーピラー』の威力?」

倒れた私は、刀を手放して脇腹を押さえた。

だけど、スノーボールを見ている目の瞼が重い。

それでも、微かに目を動かすと一人に人物が困っている様子で私を見ているのが見えた。


「逃げろ!」

スノーボールの後ろには、カミカゼがいた。


「しかし……」

「逃げろ、馬鹿者!」

私の叫び声を聞いて、カミカゼは走り出した。

スノーボールは、カミカゼの方を振り向いた。

大剣を持ち、カミカゼの方を向いた。だけど距離があった。


カミカゼは、すぐに屋敷の外に出て行った。

スノーボールが苦々しい顔で、私の方を振り向いた。


「小賢しい、何の真似だ?」

「お前に渡さない、『火之鳥』のフレイムタイトは」

「そうか、ならばお前には人質になってもらおうか?

ついでに、お前には別の案件も満たしてもらおう」

不機嫌な顔のスノーボールは、私の前で大剣を突き刺した。

突き刺した瞬間、私の周囲の空気が一気に冷えてきた。


「これは?」

「かの者を、氷漬けにせよ。『スノーコフィン』」

私の周りにある冷気が、私の体を凍らせていた。

寒くて冷たい、だけどその感覚は僅か数秒で感じなくなった。


まもなく、意識がなくなり私は氷の中で凍らされていた。

周囲にいたスノーボールの配下達は、驚きと恐怖を感じていた。


「たわいも無いな、アオサクラ・セツカは。おい、お前」

「スノーボール様、なんでしょうか?」

スノーボールは、一人に部下に声をかけた。


「逃げたあいつを追いかけろ。

白い胴着の男は、フレイムタイトの鍵を持っている。奪ってこい」

「はっ、スノーボール様」

金属鎧の剣士は、スノーボールに畏まって走り出した。

大きな日本家屋の外を、そのまま出て行った。



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