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鉄と炎の街  作者: 葉月 優奈
二話:新たな雄志と幻術士と
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いきなり現れた闇の中を、手探りで進む私。

間もなくして、私が出たのは見た事のある館だ。


大きなリビングは、さっきの洋館と余り変わりない。

いや、だけどどこかに懐かしさがあった。

すぐに私は、周囲を見回した。人の気配は、どこにもない。


「パラライカ?」私は独り言のように口に出す。

だけど、パラライカの返事は聞こえない。


(はぐれたのか……)

状況を理解するのに、時間はかからなかった。


(さて、ここはどこだろうか?)

見えるのは、リビングだ。暖炉のある部屋は、散らかっていた。

家具も高級品ばかりが、いくつも置かれていた。

だけど高級な家具は荒れ放題に散らかり、汚い足跡がいくつも見えた。

散らかったリビングで、闇が開けた私はほぼ真ん中に立っていた。


私がこの部屋を、見た事があった。

だけど、思い出すことができない。

そんな中、奥にある階段から一人の人間が姿を見せた。


(あれは、ママ)

私は忘れもしない。幼い頃に見た、ママの姿だ。

若い女性で、紫色のドレス。金の長い髪に、白い肌の女性。

私の記憶に残る最後の瞬間のママは、私を見つけて立ち止まった。


「生きていたの、あなたは」

「ママ、私が見えるの?」

紫色のドレスを着た若い女性は、私に冷たい視線を送ってきた。

子供の時に見たママの雰囲気ではない、別人のような怖い顔のママだ。


「どうして、あなたは生きているの?」

「何を言っているの?」

「私たちの家族の中で、あなただけがおめおめと生き残っている。

スプリッツア、あなたは私たちを助けてくれなかった。

一人だけ逃げて……生き残っている」

ママは、険しい顔を見せていた。

ママと会話をしていると、奥のドアが開いた。


ドアからは、もう一人の男が姿を見せていた。

真っ黒な執事服を着て、七三の金髪をした青年の男。

この男も、私はよく知っていた。


「パパ!」

「スプリッツア、お前は最低だ。なぜ、未だに生きている?」

「そうよ、私たちと一緒にあなたも死ねばいいのに」

ママとパパは、私を罵倒していた。

その言葉を聞いた瞬間、私は呆然と立っていた。

目を大きくして、信じられない言葉が返ってきた。


「どうして?」

「あなたは、生きている価値がない」

「そう、お前も私たちと一緒になろう。

この世界を捨てて、一緒にパパ達とパパ達の世界で暮らそう」

ママは、パパのそばに一瞬で移動した。

二人の顔にある四つの目が、困惑する私を映していた。

呆然とする私に対し、パパが手を差し出してきた。


「さあ、パパ達と一緒に暮らそう」

「ダメよ!私はやることがあるから」

「何をするつもりだ、お前は死ぬはずだったんだぞ」

「そうよ、あなたが生き残ったせいで……多くの帝国兵が代わりに殺されたの。

あなたは生き残っているだけで、罪なのよ」

パパとママが、私に次々と否定的な事を言ってきた。

だけど、私は険しい目で二人を見ていた。


「何を言っているの?」

「あなたは、この場で消えなさい。あなたのせいで、私たちは死んだのだから」

「そうか。お前が、『フレアボム計画』を進めたのか?」

「違う、ガルムよ!」私は否定した。

否定したけど、パパは怒った顔で私の肩を掴んできた。


「いいや、お前だ」

「そうよ、あなたよ」

パパとママが、私を責めてきた。

その空気は、とても冷たくヒリヒリと感じられた。

攻められた私は、悲しくなった。未熟な私は、二人に恐怖を感じてしまったのだから。



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