仲直りの筆箱
私がこの筆箱に、仲直りの筆箱という名を付けたのは……
☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆
私はあの子と気まずかった。
あの子は口調が強く、注意も厳しかった。
スクールバスで忘れ物に気付いたあの時
私は学校へ行きたくなくなる。
先生より怖いくらい
私はあの子の事を遠ざけていた。
まだ中学に入学してすぐの時。
私はあの子と仲が良かった。
でも、いつからか避けられて
口調も強くなって
私もあの子の事を避け始めた。
目を合わすのも怖くて
でもそれでも私はあの子と仲良くなりたかった。
また前みたいに、
スクールバスの到着時刻に
あの子はちょうどスクールバスの近くに着く。
そしておはよって言って
色んな話をしながら
中に入る。
そんな毎日が愛おしかった。
でも。ある時。
私は間違えて塾の筆箱を持っていった。
鞄を女子荷物置き場に置く
筆箱、教科書、ノート、家庭学習を持つ。
そしてそのまま家庭学習を置きに行った時。
「それ、可愛いね」
なんと声をかけてきたのは。
あの子だった。
思わず私は2度見する。
「それ、可愛いね」
また、言う
「……あ、ありがとう……」
私はとても動揺していた。
こんな会話は何ヶ月ぶりだろう。
その子はにこって、笑った。
ああ、そうだ。この子は、こんな風に……
あの日初対面だった私にも声をかけてくれた。
その後。
「それ、どこで買ったの?」
その子は聞く。
「えっと……これ、漫画の付録なんだ」
そう言うとその子は
ぷって笑って。
「あー、そっか!」
元気なその子の笑顔。
4ヶ月前のその笑顔。
何年も経っていたかのように
久しぶりに感じた。
この筆箱がなければそんな事は起らなかったかも知れない。
ありがとう。
そうだ。この筆箱は
仲直りの筆箱。




