20.答えのない未来
「サナ? ブルーノ伯爵も、アンサーも、エミリア様ももう二度とサナの前に現れることはないから安心してね。」
エミリア様が出ていった後でお兄様は爽やかな笑顔で言った。
ひぃぃ。笑顔なのに怖いー。3人は鬼畜モードのお兄様に何をされるのか……。うん。考えるのはやめましょう。
「お兄様。私が今こうして幸せでいられるのはお兄様のおかげなの。本当にありがとう。」
「僕は何もしてないよ? サナが自分で考えて選んだ未来なんだから、今のサナの幸せは、サナ自身の力で手に入れたものだよ。」
お兄様はいつも私に向ける優しい笑顔で言って、私の頭を撫でてくれた。
卒業パーティーから2週間後に、レオン様はクロエと私を公爵家でのお茶会に招待してくださった。
「本当に男爵令嬢にすぎない私なんかが来て良かったのでしょうか?」
クロエは、珍しく緊張しているようだった。
「どうして? クロエ様は学園でいつもサナ様を守ってくれていたから、直接お礼を伝えたかったんだ。」
クロエは、初めてレオン様とお話した時と同じように、とても驚いた顔をした後で、とっても嬉しそうに笑った。
「サナの婚約者がレオン様で本当に良かった。」
「サナ様の親友がクロエ様で良かったと僕も思っているよ。」
レオン様。笑顔が。笑顔が眩しすぎます。
「サナ様。あんまり見つめられると恥ずかしいな。」
うっ。見つめていたのがバレてた。でも、恥ずかしがるレオン様もとても素敵……。
「サナ。真っ赤よ? 大丈夫?」
クロエの言葉に面白がったレオン様が私の耳元で囁いた。
「2人きりの時はいくらでも見つめて良いから、今は我慢して?」
大好きな婚約者と大切な親友とのお茶会は、とても楽しくて、ひだまりの中でお昼寝をしているみたいに心地よかった。
この幸せは、やっぱり皆がいてくれたからなんだわ。
『もしかしたらこうであったかもしれない未来』から私を救うために、お兄様やリーズ様が私の知らないところで支えてくださっていたおかげ。
私が悪役令嬢にされてしまわないように、クロエが学園でずっと側にいてくれたおかげ。
レオン様がこんな私を見つけて、愛してくれたおかげ。
皆のおかげなの。
だけどここからの未来は、物語にはない誰も答えを知らない世界。
だから、次の答え合わせのようなものは、人生の最後に自分自身としよう。
その時に、私の人生はこれで良かった、と思えるといいな。
最後までお読みくださいましてありがとうございます。
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皆様のおかげで無事に完結することができました。
この物語が少しでも誰かの心に響いたならとても幸せです。
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