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しのふる童話 偽:人魚姫

クラック?

クリック!


さあさあさあ。みんな大好き残酷劇(グランギニョール)の始まり始まり。

記念すべき第一回は人魚姫です。人魚姫というと、アンデルセンの書いたあの童話ですよね。世界三大童話の一角ですよ? 常識なので、今知った方は覚えておきましょうか。知ってて損はしませんよ。


今回のお話は、人魚姫と王子様は素敵な出会いをするも、結局破綻してしまうという改編です。

さてさて、今回のお話で何人くらいが犠牲になっちゃうかな? 村が全滅するくらい? 兵士たちがたっくさんコーロコロ? それとも、国が一つ滅んじゃうレヴェルとか!


では皆々様。終幕までお付き合いくださいませ。

よい悲劇を!






 しのふる童話


 人魚姫





 むかしむかし。ある海の国に人魚姫がいました。人魚姫はサファイアのような美しい目と、世界中の誰よりも美しい歌声を持っていました。ほの歌声は陸の国の人間たちにも届き、時には海で遭難した人間が歌に寄せられて無事に帰還したこともあるといいます。


 人魚姫は仲間たちから憧れの的で、父や母からもたいそう可愛がられていました。

 人魚姫は誰からも愛され、誰からも敬われ、誰をも夢中にするアイドルだったのです。


 そんなある日のこと。人魚姫は気紛れに水面(みなも)から顔を出して陸の国のことを眺めていました。

 人魚姫はとても好奇心が強く、何でも知りたがってしまうのです。だからみんなに人間に近づかないよう注意されていたのに、人魚姫は一人の人間を知ってしまったのです。

 人間の国の、王子様を。


 王子様に心を奪われた人魚姫は、人目見ただけで恋に落ちてしまいました。

 それからというもの、人魚姫は毎日毎日顔を出しては王子様を見て、見つかりそうになる度に顔を赤くしながら帰っていく日々を続けました。


 とても愛しいけれど、会うことのできない素敵な王子様。

 見てるだけで心がポカポカする、愛すべき麗しい王子様。


 ところが、ある日王子様は船に乗って海に出掛けたところ、嵐に巻き込まれて船と一緒に沈んでしまいました。

 それを聞いた人魚姫は、顔を青くして王子様の船が沈んだ海へひとっとび。必死の思いで王子様の姿を探しました。


 すると、近くの岸辺に王子様が打ち上げられているのを見つけました。


 人魚姫の甲斐甲斐しい手当てのおかげで、王子様は奇跡的に息を吹き返します。人魚姫の姿に驚く王子様に、人魚姫は顔を真っ赤にしながら言いました。


 わたしは人魚です。海の国の人魚姫です。

 わたしはずっと海の中からあなたを見ていました。


 王子様は驚きましたが、人魚姫の言うことを信じ、助けてくれたことにお礼を言いました。


 こうして人魚姫と王子様は知り合いの仲になりました。

 それからというもの、王子様は毎日のように城の近くの浜辺までやってきて、人魚姫とお喋りをしたりするようになります。

 人魚姫はとても喜びました。それはもうとってもです。毎日毎日美しい宝石や宝を王子様に差し上げ、そして愛を囁くほどに。

 その度に、王子様も人魚姫を愛していると言いました。


 やがて人魚姫の仲間たちや両親が、人魚姫を王子様と結婚させようと考え始めたころ、王子様は突然浜辺に来なくなってしまいます。

 人魚姫は王子様が何日も何十日も来ないことを心配に思い、また嵐に巻き込まれたのではないかと思いました。

 それから人魚姫は海を一生懸命に泳ぎ、王子様を探しました。一隻の船とすれ違っても気付かないほどにです。


 ところが、一週間と何日か経っても、王子様の姿は見えませんでした。

 人魚姫は深く悲しみ、毎晩あの浜辺に言っては涙を流しました。


 しかし人魚姫はある日、海で漁をしていた人間の声を聞きます。


 王子様が結婚するんだってねえ。

 めでたいことだ。めでたいことだ。

 海の向こうの国のお姫様だと。

 今ごろはもう着いているのかもな。

 それ。もうひと仕事だ。


 なんと、王子様は人魚姫に嘘をついていたのです。愛していると言ったのに、王子様の心はずっと海の向こうのお姫様にあったのでした。

 そして人魚姫がすれ違った船とは、王子様を海の向こうの国へ運び、花嫁と共に帰ってくるための船だったのです。


 悲しんでいた人魚姫はやがて悲しみの底から這い上がり、一つの決心をしました。








「呪ってやる……沈めてやる……お前のような嘘つきは、海に沈めてくれる!」


 人魚姫は愛と悲しみを、憎悪と激情に変えたのです。

 魚の尾ひれのようだった足は人間の二本足になり、その代わり背中から一対の翼を生やすのでした。


「ああ憎い。王子様が憎い。海の向こうのお姫様(クソ売女)が憎い。お前らを、決してわたしは許さない!」


 人魚姫は願いました。自らの尾ひれと、人魚とかいう『昔の』同族たちを代償に、聖なる杯へ願います。

 嵐を呼ぶ竪琴と、船を沈める歌声を。


 人魚姫は『人魚姫』という名前を捨て、海の魔物の『セイレーン』になりました。

 慰めてくれる仲間も、身を案じてくれる両親も、何もかもを捨てて。


 全ては自分を騙し、心を弄び、最後には裏切ったあの王子へ復讐するために。


「待っているぞ。お前が船に乗って帰ってきた暁には、竪琴を弾いて嵐をおこし、歌を唄ってお前を海に落としてやる。そしてフカどもに食わせ、海鳥に啄ませ、そしてわたしの手で八つ裂きにしてやるわ!」


 弦よ響け。歌よ届け。

 王子様とお姫様を祝福するのだ。

 弦は嵐となり、歌は波となる。

 王子様とお姫様は海の藻屑になるのだ。






 ある天気のよい昼下がり。

 晴れやかなお空とは反対に、人々は影のある表情でひそひそと内緒話をしていた。


「聞いたかい。王子様が、死んだらしい」

「ああ聞いたとも。お姫様と一緒に、海の藻屑だと」

「嵐なんて来るはずないのに、突然嵐が吹いたそうだ」

「しかも、船をひと呑みにするほどの波もあったらしい」

「それとね。いと美しい歌声が聞こえていたと聞いたぞ」

「王子様も、お姫様も、死んじまったよ」

「ああ恐ろしい。きっと向こうの王様はお怒りだ」

「戦争になるかもね」

「戦争するしかないのか」

「それもこれも、あの海の魔物のせいだ」

「あの魔物を殺さないと、船は沈んでしまう」


 ふと彼らが視線を海の方に向けると、水平線から何十隻もの軍艦がこっちへ向かってきているのが見えた。

 それらはこの国の旗を掲げておらず、海の向こうの国の旗を掲げている。


 ああおしまいだ。

 誰が言ったのかは分からないが、きっと関係ない。

 どうせ、誰一人として生き残れやしないのだから。















 知っているだろうか。

 人魚は古来から不吉な象徴とされてきたことを。


 知っているだろうか。

 日本にも人魚伝説があったことを。そして世界中のどの物語でも、決して幸せな結末を迎えられぬことを。


 知っているだろうか。

 人魚は歌を歌い、船を沈めるとされてきたことを。


 知っているだろうか。

 人魚は悪魔と同列に見られていたことを。


 知っているだろうか。

 かの名高き『人魚姫』を書き上げたアンデルセンは他の詩家・作家と同じように、船を沈める魔物と言われる『セイレーン』を人魚のモデルにしたことを。


 最後に知っておいてほしい。

 人魚姫は、愛に破れて命を絶った女性なのだ。






 死の降る童話


 偽:人魚姫

まず最初に。

うだつの上がらないなろう作家であるわたくし、利中たたろーの『しのふる童話 偽:人魚姫』を後書きまで読んでくださった読者の皆様に深い感謝を。

皆様のPVが今の励みです。最近は連載が途切れていますが、ちょっと訳ありです。近い内にお知らせをするので待っててくださいませ。


次に、ごめんなさい。

人魚姫を自分風に書いてみようと思ったら、いつのまにかとんでもない悲劇的な終わり(カタストロフィー)を迎えるものになってしまいました。

原文はなんやかんなハッピー(?)な終わりかたをしたのに、私のは最後まで誰一人として報われた者はいませんでした。どうしてこうなった。

まぁこれはこれでありかな~、と思っていざ投稿してみようとなったら、前書きみたいな頭とち狂ったパラノイアじみたものになったんです。こんな作風になったのは本当に申し訳ないです。


最後に、なぜこんなものを投稿したのかです。

ぶっちゃけてしまいますと、『気分』と言うほかありません。

書きたくなったから書いた。執筆中小説の欄に捨てとくのも勿体ないからそれっぽいタイトルにして、それっぽいシリーズみたいに投稿してみた。

本当にそんなしょーもないレヴェルの話です。本当に申し訳ないです。(二回目)


……でもまぁ、こんなのを読む酔狂な人なんてそうはいらっしゃらないでしょうね。じゃあどれだけ反省しても自省しても意味ないじゃないですか。

というわけで、私は反省しません! 人は過ちを繰り返すのだぁー! うはははは!


こんな頭おかしい私ですが、これからもたまーに更新しますので、どうぞ短い間よろしくお願いいたします。

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