第20話 女心を置き去りに
今日の日がいつかあざとなるか…。、
学校から陽菜の家までの道のりは、校門出てすぐ、排気ガスの匂いが漂ってくる四車線道路を渡り、そこからは住宅街をひたすら歩く。有馬の家もこれまた同じだ。ただ、四車線道路を渡ったら反対方向に別れる。
今は四車線道路を通り住宅街をそれも閑静なところを歩いている。
「優斗、そもそもの話になるんだけどこれからどうしよう…」
方目を閉じ苦笑いしながら陽菜は呟いた。その姿を有馬はウインクしているみたいに見えて、心の中のレベルの高いモノマネを操っている有馬は笑った。
「ネットに僕らの活動を上げる〜んだ。それで人気なってスターダムの階段を駆け上がるんだ〜。」
陽菜に目線を合わせて有馬は無邪気に言った。
有馬は勝算はあった。まだ知らない誰かならまず見てくれないが、モノマネという知ってる有名人なら一定数の人が見てくれる。そうして行き、レベルの高いモノマネも披露していけば注目をさらに集めることが出来る。
それはモノマネで日々現実逃避してきた有馬には自信があった。それに陽菜がいればもっと上手くいく気がした。まあ有馬にとって陽菜は、自身がモノマネによる現実逃避に似た身代わりに考えてる節もあるのかもしれないが。
それを説明するために、陽菜に以前とは違うモノマネの種明かしをすることにした。当然モノマネで。
「そのネットに上げるものは最初は僕の得意なモノマネも当然上げるんだけど〜…」
「もしもあの人がこんなことしたらみたいなモノマネかな!」
陽菜は有馬の話を待たない。有馬は動揺しそうになるが、瞬時に心の中で舵を任された船長のモノマネをして立て直した。
それと同時に、
(そうか、心の中で別のモノマネをしてカバーすれば、レベルの高いモノマネは完璧になる)
と心の中の有馬はふとしたきっかけでレベルの高いモノマネを極めることが出来た。
「ま〜それもあるんだけど、この人とこの人を合体させたらどうなる、みたいなモノマネもやっていきたいんだ〜…実は今してるんだ!」
「今してるやつがそうなんだ。そっか、優斗がいつもより今日という日が魅力的に感じたのはそれだったんだ」
「そうだよ〜」
有馬は首をすくめて笑顔で応えた。
しかしここで、有馬がモノマネを今までし続けておかしいとは思わなかったのか。なぜ陽菜は普通に受け答えしてくれるのか。不思議に思った有馬は陽菜に尋ねてみることにした。
「あのさ〜、モノマネしてて僕のこと変わりすぎじゃないと思わなかった〜?」
「なにか違うって思ったよ。でも私は有馬くんがモノマネしてるってわかったけどね。」
有馬は咄嗟に萎縮した。確かに自分でモノマネをやってることは変わりないのだが、身ぐるみ剥がされた気持ちは拭えなかった。
それも、いきなり戦場に駆り出され矢面に立たされた気持ちだった。ただそれさえも、戦国武将のモノマネをして心の中の有馬は落ち着かせることに成功した。
「いかがだったかな〜、はたしてどうなのかな〜、そのモノマネとやらはさ〜!」
「とても良かったよ」
有馬は心を完全に持ち直した。
「あ、…私は今後どうしたらいいかな?」
「僕が変なことすることに対して、信じられない〜とかツッコんどけばいいよ〜。陽菜は隣にいるだけでいいんだからね!アイドル…そう、お姫様なんだから!」
「そうだね。フフフッ」
二人は笑いあった。
だけどこのとき有馬は、陽菜の不安そうな一瞬の表情を見過ごした。




