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砂漠の色  作者: savan
何かと何か
9/13

何時からだろう?


もうずっと夢を見ているような気がする。



嫌な記憶は全部消して、

私はどこか遠くを目指して歩いていた。



そう、

歩いていたんだ……

私は歩いていた。



でもそれしか分からない、

もっと大切なことはきっとあるのだろうけれど。



かつての私は、

考える心を持っていなかった。




私は長い長い夢を見ている。


今も、昔も、

そしてこれからも。



‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐



「x10y2324z89134」




最近よく聞こえる声、

なにを言っているのか分からないけれど、

私はどうしようもなくこの声が好きだ。


聞いているととても落ち着くし、

安心する。


「何処だ……」


そう言えば何時だったか誰かに、

何かを沢山教えてもらった気がする。


こんな言い方をしていては何も教わっていないように聞こえるけれど、

私は間違いなく大切なことを沢山教わった。



自分でも適当なことを言ってると思うけれど、

そんな些細なことはどうでも良くなるほどに、

今の私は幸せだ。




「フンフフンフン。」



耳元で鳴るこの声は……

これはきっと鼻歌という奴だろう、

私はこの曲を知っている。


何時だったかラジオで聞いた女性が歌う陽気な曲だ。


そうあれはとても、

とても昔の事で、

あの時の軍人はとても幸せそうだった。



だけど私は……

私はあの時何をしていたんだろう?

今となっては肉の焼ける臭いしか思い出せないし、

それ以上を知りたいとも思えない。





「ガリッガリッ!」






少しすると、

私の周りでは何かが削れる音が響く、

夢の中でも聞こえるリズム良く鳴るこの音は、

とても耳障りがいい。




「ガリッ……ガッ」





しばらくその音に浸っていると、

私の眠りは段々と浅くなっていった。





「あと少し、あと少しだ。」






心地がいい、

なんて心地がいいのだろう……


意識を持ったままただ永遠に歩き続ける地獄から解放され、

今私は考え、感じることを許されてる。



「ガッ……」





懐かしい音が聞こえる、

随分と昔、

まだ私が私だった頃にあった、

空気が頬を流れる音だ。



それにしても熱い……

瞼の裏が焼けるようだ。






「アーシャ…起きれるか?」






アーシャ……


そう私はアーシャだ、

ただのアーシャ。



そうだった、

私はアーシャ、

他の誰でもないアーシャなんだ。




じゃあこの声は?

私を呼ぶこの声はいったい誰?




「まぁ起きるまで待つさ、待つのは結構得意だからな。」





あぁそうだ、

この声は。


この安心できる声は……




「ネハ。」






「……おはようアーシャ。」




そうこのまぶしい世界で、

私を見ていてくれた、面を付けた真っ白な何か。



やっぱり私は長い夢を見ているのかもしれない……


だけど違うこともある。


認識している世界は、

どうしようもなく何もないけれど、

私はこの世界で生きてる。


空腹も疲れもないこんな体で、

言葉も上手く話せないけれど、


今も、

そしてこれからも、


私は生きている。


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