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砂漠の色  作者: savan
私と何かと何かと私
2/13

歩いた先

一体だけになってどれ位歩いただろうか?




そもそも彼、基彼らが歩みを始めてからどれだけの月日が流れたのだろうか…

太陽の下がらないこの世界では、

そんな些細な事もわからない。






唯一わかる事と言えば、

何かの焼ける臭いが消えた事と、

後ろにはもう何もないということである。







そう本当に何もない、

唯一有るのはこの白い砂漠を歩き続ける、

一体の黒い何かと太陽だけ。




「ガサッ……ガサ。」




この風のない世界には、

何かの着ている黒いローブの擦れる音だけが鳴り、

その音はなににも反射せず、

何者にも邪魔されず地平線に消えていく。





「ギシ……ギシ……。」




しかしそんな世界で無かったはずの音が手拍子のように鳴り、

服の擦れる音と共に地平線へ消えていく。





「ガサッ…ギシ…ギシッ。」




一歩一歩砂を踏みしめる度その音は大きくなり、

その音色は無言で歩き続ける何かの、

悲鳴のようにも思えた。





「ギシッ!ギシッ!」




音が大きくなると同時に、

何かの歩みも滞り始め、

砂煙も大きく舞う。






しかしいくら大きな音を立てても、

その音は無慈悲にも地平線へ消えていく。






「……ギシッ」





そしてついに、

黒い何かは歩みを止めた。




歩みが止まると同時に音は止み、

さっきまでそこに有った何かがなくなったようにも思えた。





最後の一歩を踏み出すと同時に片膝を砂につき、

頭から砂に倒れこむ何か。




それは幾度となく自身が踏みつけ越えてきた物で、

踏み倒してきた物で…

数億の思いその物で…



前に進む意味であった。





「ここが君達の目指した果てなのか?」





何処からか聞こえてくる懐かしい音、

しかしその音は何かの何かを震わせた。




「1423年5カ月2日と6時間43分、γ線系譜のパターン830215734204試行回数5039363回目、変化なしっと……。」





立て続けに地平線へ消えゆく多彩な音、

それは先ほどまでこの世界を構成していた音とは比べ物にならず、

何かは飛びそうな意識の中必死にその音に食らいついた。






「私が君達にこうやって声をかけるのも、これで何度目になるのだろうな。」




「……」





「聞こえてないか……それもそうだ君達は今から12秒前に絶滅している。」






「……」






「となると、これはいつものように私が独りでに話している事になるのか……しかし悪いな、形だけでも付き合ってくれ、これが終わったらまた1400年も話し相手がいなくなるんだ。」







「……」






「やはり今回も君達は世界の果てにはたどり着けなかった……相変わらず魂を失っても歩き続ける姿は美しいが、流石に1e+20も観測予想通りに動かれては退屈で仕方がないんだ。」






「……」






「ちなみにこの話をするのはまだ1006回目だ、新鮮だろ?」






「……」




「一応前の話とは重ならないようにローテーションさせてはいるが、最近では増やした話を記録するのがめんどくさくてな、レパートリーは増やさないことに決めたんだ。」




「……」





「ハァ……もう少しだけ付き合ってもらうよ、訳あって後4分22秒は君達を観測しないといけないんだ。」






しばらくすると音色は止み、

何かの前に砂煙が舞った。






「…」




3分09秒


[何時になったら君にこの声が届くのだろうか。]



「……」





1分59秒





「1400年よりも、私はいつもこの5分の方が長く感じるんだ、ははは、笑える話だろ?」







「……」




20秒




「そろそろ別れの時間だ……。」





「……」




再び砂漠の大地に音が吸われていくと、




「ギッ」





「?」






何かはそれを追うように、

取れそうな首を持ち上げた。




「は……ははっ。」





何かは何も話さず、

ただ首を上げ、

音の鳴るソレを見た。




「凄い……!。」



「……」



「私は未来が変わった瞬間を観測しているのか……。」





そこには真っ白なローブとフードに身を包み、

真っ白なお面を付けた何かがいた。





「君は今1e+20個の世界線で149億2022万291人の内唯一この時間にいる人間だ!胸を張れ!ここが未来だ!」







その真っ白な何かは砂の上で踊り、

時折しゃがみ込むと大きな音を立てながら震えている。





その姿は白い砂漠と白い太陽に合わせるにはあまりにもしつこく、

そして……





美しかった。



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