色のない世界。
白色の太陽に灰色の空、
見渡す世界は真っ白の砂と岩で覆われている。
砂と岩が発する熱は空気を歪ませ、
土を踏み進む者の視界を揺らし、
気力を奪い去る。
そう、ここは砂漠、
色も風もない砂と岩の世界。
「……」
そんなただ熱く何もない世界を、
息遣いもなくただ歩き続ける一つの真っ黒な集団。
前の者が一歩進む度に砂煙が舞い、
後ろの者の足元に降りかかる。
それが連鎖するように後ろに続いて行き、
大きくなった砂煙が最後尾をすり抜ける。
「bサッ……」
しかしその最後尾から抜け出した砂煙は、
また砂漠に帰るわけではなく、
黒い何かの上に覆いかぶさった。
「……バサッ」
一体、
「……バサッ」
また一体と黒い集団の最後尾から、
砂煙と一緒に出てくる黒いなにか。
それは二本の棒で砂を踏みしめながら進み、
時が経つとこうして砂煙と一緒に、
砂漠の太陽の下に崩れ落ちる。
しかしそれを気にすることなく、
黒い集団は砂煙を出しながらゆっくり進んでいく。
立ち止まることなく、
何処を目指すでもなく、
ゆっくり……ただゆっくり。
「バサッ……バサッ」
最初は何体位いただろうか、
少なくとも今の何億倍もいただろう。
「バサバサバサバサ。」
それが今では50体ほどまで減ってしまった。
それだけ減っても今なお減り続けている。
彼らの歩き続けてきた道には、
見渡す限り黒いローブを着た何かが寝そべっていて、
それはもうこの真っ白な砂漠を黒で覆いつくすほどの、
何かであった。
「バサバサバサバサバサバサバサバサバサバばささbさばsば」
この世界の太陽は永遠に大地を照らす。
上を見れば何時だって太陽は眼球を焼き、
下を見ればいつだって黒いなにかが瞳の中を覗いてくる。
「……バサッ。」
だがもうそれも終わってしまった。
いつものように柔らかい感触を踏みつけると、
いつ見ても黒かった足元が不思議な程に真っ白になっていた。
さっきまで前を歩いていた何かは気がついたら消えていて、
視界には灰色の空と白い砂漠の地平線が、
立ち尽くす黒い何かを出迎えた。
「……」
ただ立ち尽くす黒い何か、
それは無理もないのかもしれない、
今まで一緒に歩いてきた何かは、
もう自分一体になってしまった。
後ろを見ればそこには灰色と黒の地平線が広がり、
何かの焼ける臭いがした。
何かはそれをしばらく眺めた後、
また歩き出す、
何処を目指すでもなくゆっくり、
……ただゆっくり。




