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フラワーアルケミストと異世界旅行 作者:此峰 優
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東の大陸の街

ご閲覧ありがとうございます。
異世界の街と言うのはなかなかロマンがありますよね。
 朝早くだと言うのに人の騒ぐ声や活気、熱気が溢れている。
 ここはフィオラの家から現実時間で数十分程降りた場所に存在する大きな街、リベルさんの話によると名前は無く、この大陸の位置からこう呼ばれていた。

 東の大陸(イーストグラウン)の街と。

 シンプルな名前だが、やはり太陽が最初に登る方角だけあって、朝早く活気溢れた元気な人々がこの街の盛り上げに一役買っていた。

 それに街の奥に見える大きな城のような物が、一層その雰囲気を駆り立てていた。

「すげぇ…本当にRPG見たいな雰囲気だ…装飾や最小限の置物、そして連なる家や露店だけでこれだけの活気が表せられるのか…。
 電灯や機械はほとんど見当たらない…これが異世界の街か!」

 ゲーム等では良く見て来たので、案外すんなりと受け入れられるかと思い、そんなに驚くことは無いと思ったのだが…想像以上の活気と大きさ、熱気や人々の表情一つまで、まるで太陽の加護を受けたかの様に輝いて見えた。

 俺が興奮ぎみに目を輝かせて見ていると、リベルさんがクスッと笑って俺を見てきた。

「な、何ですか…俺だってこう言うの案外好きなんですよ?」

「ふふっ、ああいえ、随分と嬉しそうで…見ていると何だかほっこりしてくると思いまして。」

「な…俺はそんなガキじゃ無いですよ…」

「いえいえ、素直にこの街の活気を見て取れるリュウノスケさんを少し羨ましく思いまして…。」

「羨ましい?」

「まあ私にとっては見慣れた光景ですので、馴染みの場所を喜んで頂けるのはこちらとしても嬉しい…と言った感じですよ。」

「あーそう言うことか。」

 リベルさんはそう言いながらも、街を見つめる目は、どう見てもこの人々の活気を懐かしいような…それでいて暖かい目で見ていた。
 きっとリベルさんもここが好きなのだろう。

 と、そこで俺とリベルさんに挟まれ真ん中でちょこんとしていたフィオラを、前方から来た行商人と見られるおじさんが声を掛けてきた。

「お!嬢ちゃん今日は保護者と一緒かい?
迷子にならない様にな!ガハハハ!!」

「なっ!?」

 そう一声掛けて手を降ると、街の奥へと消えていった。
 すると、フィオラが何だかぷくーっと膨れっ面で顔をしかめている。
 もう何故そう膨れるのかは分かっているのだが…敢えて突っついてみた。

「なあフィオラ…どうやら俺達保護者に見えてるらしいな?」

「むーー!!リュウノスケさんの意地悪!私だってもう子供じゃ無いんですからね!このおちょば!!」

「だー!分かった分かった悪かったから叩くなって!」

 ポコポコと俺を叩いてプンスカと怒るフィオラ。…そう言うとこが子供っぽいんだよなぁ…と思っていると、どうやらリベルさんもそう感じたのかクスクス笑っていた。

 と、気を取り直して本来の目的に戻る。
 先ずは目的の金属が何処にあるか…それを探すことにした。

「金属って言ったら定番だと鍛冶屋…とかだろうか?
この世界に武器とかって売ってたりする?リベルさんとか何か知ってることあるかい?」

「そうですね…私が良くナイフや石工物を入手する場所ならありますが…先ずは無難にそこから見てみるのはどうでしょうか?」

「ナイフに石工…確かに金属やそれ系統の鉱物を扱ってそうではあるな、よし、そこに行ってみるか。」

 リベルさんの提案で、取り敢えずその小物店に行くことに。
 人を掻き分けて大きな通りを進んでいく。

「フィオラはぐれるなよ?」

「はぐれませんよ…私の方がここに来た回数は多いんですからね?」

「それもそうか。
リベルさん!どこら辺ですか?」

「その突き当たりにある月のマークの店です。
 私は少し見たいものがあるので、先に行って貰っても大丈夫でしょうか?」

「分かった!フィオラ行くぞ。」

「あ、はい!」

 リベルさんと別れ、俺は万が一の為にフィオラの手を握った。
 そのまま誘導する様にその店へと足を運ぶ。

「あっ…」

「ん?どうしたフィオラ?」

「い、いえ!何でもないです!」

「そうか?もうすぐだな!」

 俺の顔をじっと見つめて少し慌ててる様だが…この人混みで少し緊張している…とかだろうか、だったら尚更ついててやらないとな。

 そして何事もなく、月のマークを掲げた看板の、小さな店の前へたどり着いた。

※※※

 カラン、とおしゃれなベルが音を立てた。
 入り口も内装も、まるでフランスのお洒落なブティックの様な雰囲気だ。
 何処と無く木材の香りが立ち込めていて、外の賑やかさに比べると大分落ち着いた雰囲気を(かも)し出している。

 周りを見ると、リベルさんの言った通り、ナイフもそうだが、どうやら石細工の置物何かも置いてある。
 良く見ると天然の鉱物も置かれており、期待は高かった。

 カウンターに進むと、誰も居ないので声を掛けてみる。

「あれ?すいませーん!お店の方居ますかー?」

「あいよ!!いらっしゃい!!」

 奥から声が聞こえ、直ぐ様足音と同時に一人の綺麗な奥様が現れた。
 服装は平凡な割烹着(かっぽうぎ)の様の出で立ちだが、その姿は客としての俺にも見て取れる様に、非常に接しやすい雰囲気を出していた。

「えっと、リベルさんが良く来るお店って聞いたんですけど、合ってますかね?」

「おや、見かけない顔だし見かけない服装だね…別の大陸の坊っちゃんかい?」

「別の大陸…と言うか、まあそんな感じです。」

「そうかい!良く来たね!リベルさんはお得意様でね、良く来て下さるんですよ!

 あたしはマルテッタ・ソード、坊っちゃんは?」

「俺は竜之介って呼んでください、よろしくマルテッタさん。」

 名前にソードと言うのは珍しいな、その名前通り剣とか売ってたりして。
 マルテッタさんはどうやらリベルさんとは昔から常連さんらしく、良くしてくれているらしい。

 すると、俺の後ろに隠れていたフィオラが顔を出した。
 それを見たマルテッタさんは、まあ!と声を出して懐かしそうにその顔を見た。

「あらまあ!フィオラちゃんじゃないかい!
もしかしてフィオラちゃんの保護者かい?」

「保護者じゃないです!あと、私もう子供じゃ無いですよ!」

「あはは!そうだったね!
街の皆もフィオラちゃんの錬金術には助けられてるよ、顔は暫くぶりだけど、噂は毎日聞いてるよ!」

 どうやらマルテッタさんはフィオラと顔見知りらしい。
 まあリベルさんと関わりがあればそれもそうか。
 それに、どうやらこの街の人間は錬金術の事を理解して頼りにしているみたいだ…フィオラは前に理解する人間が居ないとか言ってたけど…そんな事は無いじゃないか。

「フィオラ、案外理解されてるじゃないか。
 別に危惧するほど錬金術を嫌味にしては無さそうだけど?」

「確かにそうなんですけど…その理解とはまた違うと言いますか…利便性じゃなくて…うーんとにかくまたそれとは違うんですよ!」

「んあ?まあ違うなら仕方ないか…?」

 彼女の言うその理解とは何だろうか。
 俺は少なくとも理解している側…みたいだけど。

 っと、それよりも本来の物を聞かないとな。時間が勿体無いし。


「あの、マルテッタさん。
 ここってナイフや石細工を売ってるみたいだけど、その元になる金属とか鉱石とか…分けてもらう事って出来ますか?」

「金属?ああ、このキラキラした銀色の奴かい?
 ここらじゃナイフにするぐらいしか使い道が無いって言われてるけど…それでもいいなら少し見ていくかい?」

「いいんですか!?やったぜ!!」

 どうやらやはりこの世界では金属はそんなに貴重な存在として見られては無いらしい。
 これは簡単に手に入るかも知れないな。

 マルテッタさんの言うとおり、店の奥に招待された俺達は、そこにある保管庫を見せてもらった。

 数々の鉱石や加工済みの金属が置いてある。
 鉄、金、銅…それにアルミに似た物もあるな、これなら充分に足りる。

 リベルさんに紹介して貰ったお陰で一発でありつけた…これはラッキーだ。

「これとこれと…あとこの金属を分けてほしい。
本当に分けてくれるんですか?」

「ああいいよ!ナイフに使ってもそんなに減らないからね!」

「ありがとうございます!じゃあさっそく…」

「ああ、ちょっと待っておくれ。」

 すると、マルテッタさんは意気揚々としている俺を止め、ある条件を出した。
 まあ勿論ただで貰えるとは思ってなかったが、それでも貰えるなら条件位飲むのは当たり前だろう。

 フィオラも不思議そうに俺の横についている。

 マルテッタさんは一枚の紙を取り出してそれを俺に渡す。

「リュウノスケさん…これは?」

「これ…この店に飾ってある商品か?」

 書かれているのは商品。
 源の言葉(ファフト)で綴られたその紙には綺麗に紹介文が書かれている。

 つまり…これを渡したと言うことは…。

「リュウノスケにはこれを売る手伝いをして貰おうかねぇ。
 何せさっきも言った通り、ナイフにしか使わない物だし、ナイフってのはあまり売れなくてね…それをちょいと手伝って貰いたいんだ、いいかい?」

 それ相応の仕事と見たわけか、マルテッタさんも抜け目ないな。
 でも、これは取引としては随分と安い方だろう。

「広告業って訳か…いいぜ、完璧(パーフェクト)に売り子、やりきって見せるぜ!
 あ、勿論フィオラもやるんだぞ?」

「ふぇえ!?わ、私もですか!?」

「ごちゃごちゃ言わない!さあ!あんたたちこれに着替えてくれ、私の店の服だよ!」

 そう言って渡された服を、俺は抵抗なく着る。
 フィオラも戸惑っては居たが、渋々受け入れ、着替えをしに行った。

 さて…街に出て来たものの、初めてやることが売り子とはな…。
 まあいい、現実で鍛えたコミックマーケットの売り子捌き!ここで通用するか分からないが…一丁やってやるか!

「マルテッタさん!紙と書くもの…あと切っても良いやつ…何かありますか?」

「書くもの?それに…何に使うんだい?」

「まあ見てなって!」
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