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GANG!!  作者: あかつき
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第56話 森

「まだ・・・トウヤは怒ってる?」

 トウヤは黙って前を見た。

差し込んだ夕日が橙色に二人の体を照らしていた。

「じゃあ、あの突撃の中、ルカとソウマだけがハル置いていったらハルどうしてた?」

「そりゃあ、追いかけて怒鳴るよ!私は仲間じゃないのかって。今まで一緒にやって来たのにって。」

「それと一緒。」

 ハルは分かったように黙り込んだ。

「二人を追いかけたとき、殺意はあったけど覚悟なんてできてなかった。でも、あそこでグダグダ言ってるほど俺は能天気でもなくて・・・。とにかく走り出した。」

 トウヤは思い出しているのか視線をあげた。

「二人に追いついて・・・シギが言った『これからのハルの将来』とハルが俺に聞いた『誰と寝ても』って言葉が結びついた時、全て真っ暗になった。あの組織にいればきっと守りたくても守れなくて、自分もハルも毎日が地獄よりも辛くなる。だったらハルを殺して俺も死のうかって・・・思った。でも、シギはお前を守ろうとした。あいつは二人で生きる道を選んで・・・。どうせ逃げられないのに・・・。正直シギなんてあの時はどうでもよかった。けど、ハルを守るシギがまるでヒーローみたいに思えてきた。逆にハルを分かってたはずの俺が分からない悪いやつに思えて情けなくて・・・。怒りでいっぱいになった。」

 ハルが顔を寄せるとトウヤは軽く頬にキスをした。

「何をしてでもハルだけは守らないといけなかったのに。だから罰があたって傍にいられなくなったんだ。・・・さ、話はここで終わり。」

 トウヤは体を起こすと乾かしていた服を確認してまずズボンを穿いた。

着衣を着けてはいない上半身・・・腹にはあの日の傷が深く残っていた。

ハルは擦り寄るとそれに触れようとした。

体を裂いた深く長い傷跡。

けれどそれに触れる勇気はなかった。

「裂けてる・・・。痛かった?」

「あんな苦しみ二度と味わいたくないね。熱は出るし、ありえないぐらい痛いし・・・。でも、ハルが怪我するほうが嫌だ。ハルのかすり傷のほうが俺は我慢できない。」

「トウヤ・・・。」

 トウヤは微笑みハルに口付けた。

「トウヤ、暗部なのに・・・甘甘だね。」

「ハルには特別だよ。ハルだけだから。」

 トウヤはハルから離れ黒の上着を羽織った。

「ねえ、ねえトウヤ。お腹・・・すいた。」

「そろそろくる頃だと思った。食いしん坊のハルのためにちゃんと用意しておいたよ。」

「え?」

「朝、ぐうすか寝てる間にさ。」

 トウヤは外に出ていった。ハルも服を着て外に出ると茶色の野鳥が二羽置いてあった。

「ど、どうしたの。これ?」

「即席の矢で射たんだよ。」

 鳥の側には木で作られた矢と弓もあった。

「超万能!」

「だろ?だからせめて鍋でも探してきて。」

 トウヤは手際よく鳥の下処理を始める。ハルは廃屋の中からナベを探して先ほどの小川に洗いに行った。

 ハルが水を入れて戻るとトウヤはそれに木の実と一緒に鳥を入れて、小屋の中の囲炉裏へ持って行き火にかけた。

「いっぱい食べて。」

「うん!すっごいおいしそう!」

 ハルが鍋の中をずっと覗き込んでいると、トウヤは体を後ろから抱きしめた。

「なんか細くなったよな。」

「そうかな・・・?」

 首に口付けられてハルはまた赤くなった。

「こうしてると何か落ち着く。」

「なんかトウヤ・・・大きくなったよね。前そんなに身長も変わらなかったのに。」

「そう?」

「肩も広いし・・・声も低くなったし。」

「そうだな、声はある日起きたら変わってて、母さんに喋ったら大笑いされたし。」

「え?おばちゃん・・・トウヤが生きてること知ってたの?」

 ハルは振り向いて相手の顔を見た。トウヤは一瞬息を止めてから吐き出した。

「・・・ああ、そう知ってた。ごめん・・・。」

「そっか・・・。メンターは?」

「知らないんじゃないか?」

 そう答えられてハルはもう一度もたれた。トウヤはそんなハルの頬に口づけた。

「メンターにも会いたいなあ・・・。昔さあ、私だけメンターに一回だけ動物園につれてってもらったの覚えてる?」

「そんなことあった?」

「うん・・・ずっと抱っこしてくれて二人で晩御飯食べたんだ。何の動物見たとか全然覚えてないけど、でも何かすごく嬉しくて。帰りに小さな熊のぬいぐるみを買ってもらってそれだけずっと大切に持ってた。」

「あ、それ覚えてる。いっつも握ってた茶色の熊だろ?」

「うん。メンター今頃どうしてるんだろ。」

「さあなあ、あの人のことだから飄々とお茶とか飲んでそうだけど?」

「そうだね。」

 二人はあまりに容易に想像できて笑った。


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