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柚乃月小話  作者: 月夜薊
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IFファーストキス

「ね、キスしてよ月君」

とんとん、と柚乃は己の唇を指さしながら月を見つめた。

それを聞いた月の顔は真っ赤に染まる。

「そ、そんなこと言われても……じゃあ、せめて手の甲で勘弁してくれ」

これは忠誠を誓うための儀式だ。

そう自らに言い聞かせながら、震える手で柚乃の手をそっと持ち上げた。

高鳴る胸を抑え、ゆっくりと顔を近づけ目を閉じる。

「隙あり」

手の甲につく一秒前。柚乃は月の手を引き、そっと唇を奪った。

ちゅ、と軽く音が鳴る。

「もらっちゃった。月君の初めて」

困惑する月に、ふふっと笑いかけた。

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