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鮮血桜

作者: 赤坂ゆうや

幾何の年月が過ぎた、私がこの地に根付いて1000年を超えた。

私が200の頃だったか、人が刃物を持ちその刃物で人を切った。

私はその鮮血を数百年吸い続けることとなった。

私の子供達は徐々に赤く染まっていった。

ここ数百年は鮮血以外に養分も吸うようになった。

人の残留思念も取り込みつつ私は、今でも人を見守り続けてきた。

人が文明改革を起こして100年が経った。

人は『便利』を求め、山を、海を、木を、荒らしていった。

私の目の前の、高い山は10年もしないうちに姿を消した。

私の場所が『山』となった瞬間だった。

私から数十キロ離れた動物たちの住処は、数年で更地と化した。

動物たちは私の周りに非難してきた。

私も見逃せなくなり、今まで吸ってきた憎悪の力を使うことにした。

幸い、憎悪の元となった者達とは、和解しており、力を貸してくれた。

人が作った、大きな鉄の塊、私一人の神通力では、微々たる物だが、憎悪の者達の助けもあって

様々な現象を起こすことが出来た。

地を荒らす鉄の塊は、地割れを起こし、動けなくする

人が住む場所には土地の力を借りて地震を起こす。

それらを、幾度なく繰り返し、憎悪の者達は、十二分に憎しみから開放され天へと旅たった。

土地を荒らした人たちは、不気味がり、ここから立ち去った。

それでも、諦めないのが、『人』と言うものだ。数ヶ月もしないうちにまたやって着ては、

土地を荒らす。まだ私に力を貸してくれる憎悪の者たちと共に、再び人に警告をする。

そんな事を3年も続け、人はようやく諦めた。

私のところまで後数キロと言うところだった。

憎悪の者たちも、数を減らし、天へと旅たっていた。

残りの者と、動物たちで幾多の警告のお陰で、私たちの最低限の土地は残された。

人の罪は、その知恵にある。

探求するに従い自然を壊す。

自然を壊しながら自分たちの『便利』を作りまた探求し、土地を荒らす。

動物たちの情報からは、30年と言う短い年月で何百と言う種の動物たちが消えたそうだ。

消えたもの達は、力が弱かったものたちだった。

集まり、皆で協力しながら天敵と戦って生きていた者たちばかりだった。

私は、鳴いた、私が生きて1000を過ぎ幾多の種の動物たちを分ち合い共に生きてきた。

それが、たった30年と言う短き時の中で、数百の種が居なくなった。

私が知らない土地でも、同じことがあったそうだ。

私たちが生きているこの世界で何億と言う種が生きているだろう。

それなのに、『人』と言う種は、知らず知らずのうちに、種を消し、気がつけば、手遅れな者たちも

多々あっただろう。私はここから動けないが、動物たちが教えてくれる。

遠い別の土地のことも、渡り鳥達が教えてくれる。

私たちは、共に助け合い、共に分かり合い、共に生きていかなければならない。

この地球と呼ばれる地に、感謝しながら生きていかなければ、

その内、全てのバランスが崩れそして壊れるだろう。

私たちには、知恵は合っても手がない。

『人』がそれを分かっていれば良いのだが。

これからも、ずっと見続けて行くであろう。

私が命尽きるその日まで。


お読みいただきありがとうございました。

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