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レオの事情

レオ…こと、レオノーラ・ブロンテ。

レオは、男ではない。れっきとした女として生を受けた。


一人目は男を!と望んでいた両親から生まれたせいなのか、どうも小さな頃より女の子の遊びより、男の子の遊びの方が好きだった。

自然と服装も男の子の物を身に付けたがったし、ドレスやスカートなんて見たくもなかった。


親も、そんなレオノーラをレオと呼び、咎めもしなかったのに…。

「レオ…いえ、レオノーラ。いい加減貴女も10歳が近づいてきたわ。そろそろ女の子らしくしてちょうだい。どんなにおてんばさんだってこのくらいで目覚めるものよ?」

母、リリアナが言い、父、アルマンもうなずいた。


「…女の子ならステファニーとルシアンナがいるし、俺一人くらい変なのがいても良いんじゃない?」

レオノーラは淡々と言った。

「俺!!」

リリアナが目を向いて叫んだ。その目に怒りが灯りレオノーラは肩を少しすくめた。

「どんなに男みたいにしても、お前は男にはなれないんだぞ」

「…やってみなくてはわからないじゃないか」

むすっとレオノーラは言った。

「乗馬だって、剣だって、この辺の男の子相手だったら負けたことなんてない」

レオノーラだって女から男に変わります、と言って変われない事などわかっている。

しかし、まだレオノーラは同じくらいの男の子なら負けない。負けたくないのだ。

「ほぅ…では負けたら、諦めて女の子の生活をすると約束するか?」

アルマンが不敵に笑った。

「…負けたら?何に?」

「お前が負けた…と感じたら、その格好をやめろ」

アルマンは真剣だ。

「分かった。男に二言はない」

「だから…お前は…男ではないと…」

額にぐりぐりと拳を当てるとアルマンは言った。

「よし、まあいい。そこまで言うのなら、レオノーラ。お前はスクールに通え」

「ええっ?」

声をあげたのはリリアナだった。

そこは7歳から10歳の貴族の子弟の通う学校だった。男の子ばかりのスクールだ。

「女の子が行ってはいけないという規則はない。だからレオノーラも行けるはずだ」

ニヤリとアルマンは言った。

「どうする?あそこは男の子しかいないぞ?やめるなら今だ」

レオノーラは、間髪いれずにうなずいた。



内心アルマンは、すぐにレオノーラは負けると思っていた。勉強はともかく、そろそろ体格の差が出てくる頃だ。レオノーラが負けたと感じる事はすぐにやってくるだろうと…。



初日、早速レオノーラは制服を来て、意気揚々と出掛けていった。

その姿はまるで凛々しい少年にしか見えずアルマンもリリアナもなぜ男の子じゃないのかと思ってしまった。


「もしかしたら怪我をするかも知れないが、あそこの子達は顔は殴らないようにと指導されているからな」

ポツリとやや心配そうにアルマンは言った。


レオノーラは、楽しそうな笑顔で帰ってきた。

「すっごい楽しかった!みんないいやつだし、キースはこれまで喧嘩した中で一番強かった!」

にこにこというレオノーラにアルマンは目を剥いた

「…なに?キースだと?で、勝ったというのか?」

「もちろんだ」

アルマンは、苦虫を噛み潰したような顔をした。

「キースが…負けただと…?」

レオノーラより一つ上のキースは、背も高く頭もよく働き、素手の喧嘩はスクールでも一番強いと聞いていた。

「どういうことだ…。キースが負けたら…ほかに誰が…」

とぶつぶつと考えながら言っていた。

「また色々と勝負したいな」

レオノーラは、楽しそうにスクール生活を始めたのだった

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