シーフギルドで得た情報
そして、次の日の朝、天気は快晴。絶好のお祭り日和である。
大蛸亭1階の食堂では、バーンが真っ先にテーブル席に陣取り、パーティーメンバーの到着を待ちわびていた。実は、昨夜バーンたち一行が大蛸亭に戻ったとき、バーンとしては、モンスターの捕獲方法について議論するつもりでいたのに、他のメンバーは早々に寝床についてしまったのだった。
「遅い! 一体、みんな、どうなっているんだ!!」
バーンは大声を上げた。ただ、現在の時刻は7時半過ぎ。このくらいなら、朝寝坊と非難することはできない時間である。
「朝っぱらから…… やかましいな」
と、バーンに次いで、大あくびしながら食堂に現れたのは、チャーリーだった。
「おお、チャーリーじゃないか。いつも一番遅く現れるのに珍しい……いや、それより、他の連中はどうしたんだ。まったく、我々の使命を、一体、なんと心得ているんだ」
朝早く食堂に来て、その時からずっと待たされているバーンは、ご機嫌斜めである。
チャーリーは、そんなバーンを見て何やら意味ありげにニヤリ、
「まあ、そうだな。ただ、今日は、おまえの希望がようやく叶うかもしれんぞ」
「なっ、なんだって!? それは、一体、どういうことだ?」
「昨日も言っただろ。『湖に何かいる、祭りだか儀式だかのクライマックスが狙い目だ』って。まさかとは思うが、もう忘れたのか?」
バーンは「そんなことはない」というように、首をブルンブルンと右に左に動かした。
その時、
「おはよう…… あっ、バーン……っと、チャーリーもいたの? 早いわね」
と、マリーナが姿を現し、続いて、サイラス、ジギスムント、エディと、パーティーのメンバーが次々と食堂に集まってきた。
サイラスは食堂に入るなり、彼にしては珍しく寝ぼけ眼をこすりながら、
「おはよう、皆さん……っと、ところで、食堂に入ってくるとき、耳に入ってきたのですが、チャーリー、その『狙い目』とやら、どういうことなのか、詳しく教えていただきたいのですがね」
「えっ!? おっ、おまえが?」
自分の話にサイラスが興味を示すことは想定していなかったのか、チャーリーは少々面食らっている様子。しかし、すぐに気を取り直し、
「ああ、そうだな。まあ、いいか。教えてやるよ。よくきけよ」
チャーリーがシーフギルドで得た情報として語るところによれば、運河と湖の神を祀る儀式の最後で、豚や牛を運河と湖の神に捧げ、お供え物を湖に投げ入れる際、湖に棲むモンスターが姿を現すという、信頼性の高い話があるとのこと。
「そうなんですか。ふむふむ……」
サイラスは、しきりにうなずいている。マリーナやエディは、意外なサイラスのこの反応に、少々ビックリである。




