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不倫の果て  作者: 遠藤良二
10/24

僕の企みと、女の勘

 それから、昼休みになり車に移動して携帯電話を開いてみた。


やはり、愛からメールが来ていた。


内容はというと、


お疲れ様です!

無事、入社式終了しました。

結構な人数でしたよ。

相澤先輩は今頃忙しく発注しているころかな?

頑張ってくださいね!

帰り、寄りますので会って下さいね。


受信時間を見ると、11:16と表示されていた。


確かに彼女の言うように、発注に追われている時間帯だった。


それに、今日はシフト表を作らなければならない。


僕はあることを企んでいる。


それは、月に数回、愛と同じ休みにして密会するということ。


このことは本人にはまだ、言っていない。


シフト表ができてから言ってみよう。


そのような事を考えながらメールを返そうと思い携帯の画面を見た。


不意に車の後方に人の気配を感じた。


僕は体をよじって見てみると、それは愛の姿だった。


「あー、気付かれたか。後ろから脅かそうと思ったのに」


彼女は満面の笑みを浮かべながらそう言った。


「お!愛か。メール通り来たんだな。車に乗っていいよ」


周りにも車中で休憩している従業員はいたが愛は構わず助手席に乗った。


「お疲れ様です!」


「入社式、お疲れさん!疲れたか?」


僕は愛をねぎらうように言った。


「いや、大丈夫です!」


「今、メールを返そうそ思っていたのさ」


僕はさっき企んでいることを言うのはまだ早いと思っていたのが、愛の反応が早く知りたくて言うことにした。


「なあ、愛」


はい、と返事が聞こえた。


「今度、休みのシフトを合わせてどこかに遊びにいくか!」


僕も満面の笑みを浮かべてそう言った。


「いいですね!行きましょう!」


とは言うものの、愛は本当に手放しで喜んでいるのだろうか?


僕に「妻」という存在があることを忘れているのではないのか?


そんな事を考えていると、笑みが少し消えてしまった。


すると、それを察したのか愛はこう言った。


「もしかして、今、奥さんの事を考えているんですか?」


図星だったので潔く白状した。


「そうだ、よくわかったな。まあ、妻には出張に行くとでも言っておくよ」


「本当に大丈夫なの?」


「何が?」


「私達の関係。奥さんはもうわかっているんじゃないの?女の勘って凄いんだから」


そう言われ、僕は一瞬黙ったが、大丈夫だ!と言って貫き通した。

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