報告はしましょう?
男子会(笑)の裏事情を赤裸々に暴露したラジェル様とリリウム様兄妹は、サフィール侯爵家へとお帰りになりました。
私とお兄様はお二人をお見送りしてから、サロンへと戻りました。
しかし・・・陛下は何を考えて隣国の皇太子とお兄様の手合わせを許可したのでしょうね?
お兄様は次期辺境伯ですから、学園卒業後に騎士団に入団はしないのですが・・・
「お兄様。本日の手合わせの件についてお父様にご報告はするのですか?」
「どうしようか考えているところだよ」
まぁ・・・この一件を知ったらお父様は王都へとお一人で来てしまいそうですが。
お兄様もその事に思い至ったのか、報告しようか悩んでいる様子です。
陛下については、サルファー宰相様からみっちりお説教されていることでしょう(笑)
そして、騎士団員とお兄様の手合わせを希望したボーナイト騎士団長については、お父様の鉄拳制裁がありそうですね・・・
「流石にお父様も、陛下に抗議は少ししかしないと思いますが?」
「あぁ・・・うん。そうだね。ただ、私たちが『少し』と思っているお父様の抗議は、世間一般では『少し』ではないんだよ?」
・・・お兄様?そんな残念な子を見る目で見ないで下さい。
でもなぁ~ここで報告しなかった場合、後々お父様にバレると私とお兄様がお仕置きされちゃわないかな?
「あの・・・お兄様?またルピリア様が里帰りされる際にヘリオス皇太子様がご一緒される可能性はございませんか?」
「・・・その可能性はあるだろうね」
やっぱりお兄様もそう思うんだ・・・
ならば、今後の憂いを絶つためにも陛下とボーナイト騎士団長には尊い犠牲になっていただきましょう。
「それならば、お父様に報告だけはいたしませんか?」
「う~ん・・・ただ、父上に報告した時のことを考えるとちょっとな・・・」
二の足を踏むお兄様のお気持ちは痛いほどわかります。
が!何かの拍子に今回のことがお父様とお母様の耳に入ったときのことを考えて欲しい!
お父様以上に恐ろしいお母様からお説教とお仕置きをされてしまうかもしれないのですよ!?
「お兄様。もし、ここで報告をせず何かの拍子に今回の一件がお父様たちのお耳に入ったらどうなるか・・・お父様のみならず、お母様までもお怒りになるのではないでしょうか?」
お兄様の顔色が一瞬で青白くなりました。
やはり、お兄様もお父様よりもお母様のお怒りのほうが恐ろしいのですね。
それに、多分お父様はそこまでお怒りにはならないと思いますよ?
だって、跡取り息子が隣国の皇太子に勝ち、現役騎士団員にも勝っているのですから。
ただお母様がものすごくお怒りになりそうで・・・
【男女別のお茶会に招かれたはずなのに、事前に何の確認もなく手合わせされられた事】
この一点において、お怒りになりそうなんですよね・・・
貴族夫人ネットワークを駆使して、陛下とボーナイト騎士団長に報復しそうで・・・
「・・・お兄様。ここは男性陣のお茶会では、話しの流れで隣国の皇太子と現役騎士団員と手合わせすることになったとお父様たちに報告しませんか?」
「マリア・・・どんな話しをしていたら手合わせすることになるんだい?」
「あら。今回ヘリオス皇太子様がルピリア様とご一緒にご来訪されているのです。その際、男女別でお茶会をすることになり、私とお兄様は招かれた。女性のみのお茶会では、もっぱら私とラジェル様の婚約についてでした。ラジェル様とルピリア様は幼馴染でヘリオス皇太子は学園に留学経験もおありです。男性のみのお茶会で、学園での話題になり、急遽お兄様との手合わせを希望されたことにすればよろしいのではないですか?」
「なるほど。それで陛下にヘリオス皇太子との手合わせの許可ももらいに行ったら、ボーナイト騎士団長から希望する騎士団員との手合わせも・・・・ということにすれば良いのか」
「そうですわ。手合わせに騎士団訓練場の利用許可をとるために騎士団長も同席して頂いたことにすればよろしいのでは?」
「・・・そうだな。ではその様に父上に報告の手紙を書こう」
「では、私はラジェル様へ同様のお手紙を書きます。サルファー宰相様を通して陛下と騎士団長にもお話ししていただかないといけませんから」
「そうだな。マリア頼めるかい?」
「もちろんです。・・・リリウム様にも同様のお手紙を書いておきます。ルピリア様とロベリア様に釘をさして頂かなければならないので」
私とお兄様は互いに頷き、早速手紙を書くためにそれぞれの自室へと足早に向かいました。




