ヒロインログアウト
ぞろぞろと学園長室へと向かう決闘関係者一行(笑)
まさかまたこの部屋へ来ることになろうとは・・・
しかも今回は人数が多いし。
若干、現実逃避気味になってしまう私は悪くないはず。
そして、アッという間に学園長室前に到着しました。
お兄様が扉をノックすると、入室を許可する返事がきました。
部屋に入ると、そこには学園長の他になぜかボーナイト騎士団長の姿もありました。
『何故に騎士団長も?』
私の表情に気づいた学園長は、とりあえず私たちに座るよう促します。
全員が座ったのを確認した学園長は、早々に話し始めました。
恐らく、不機嫌MAXの騎士団長から解放されたいのでしょう(笑)
「急に呼び出してすまなかったね」
「いえ。件の令嬢の処遇についてのお話しですよね?」
「その通りです、サリエル・フローライト。一昨日の決闘の際に、陛下の御前で虚偽を申した令嬢の処遇を伝えようと思ってね。関係者である君たちだけを呼び出したのだよ」
「そうですか。では、ボーナイト騎士団長がいらっしゃるのは何故です?」
「サリエル殿。私がここにいるのは陛下から同席するよう言われたからだ」
「陛下からですか?」
「そうだ。例の令嬢の処遇については、学園長から聞くようにと。令嬢の親である男爵夫妻への処遇で陛下たちは忙しいからな」
うわぁ・・・陛下、自分で言うのがイヤだからって学園長に丸投げしたんだ・・・
それにしても・・・リナライト男爵夫妻もエリカ嬢が普通の令嬢として行動できていれば頻繁に学園に呼び出されることも無かったし、陛下からのお叱りもなかったのに。
男爵夫妻の不運に同情している間にも、お話しは進んでいました。
もっとも、お話しは全てお兄様が対応していて、私たちは聞いているだけですが。
「まずはエリカ・リナライト嬢の処遇ですが、本日付で退学してもらうことになりました。男爵夫妻からは1学年いっぱいは在籍させて欲しいと言われましたが、1・2学期の行動を鑑みてそれは不可能である旨を申し伝えました。何よりも、陛下の御前での失態は庇いようがないです」
「息子ライアンに偽りを申して、王宮に入ったのも良くなかった。そのことは陛下が男爵夫妻にキツク叱責している」
「では、学園長。ここに当事者であるエリカ嬢がいないのは退学したからということですね?」
「そうです。それと、先ほどボーナイト騎士団長が仰っていたように、陛下が男爵夫妻をキツク叱責しています。陛下としては、爵位剥奪・領地没収としたいところだったようですよ?」
それはそれは・・・まぁ、『したいところ』ということはそうならなかったということですね。
でも、エリカ嬢が学園を退学しただけで終わりではないですよね?
それに、退学しただけでエリカ嬢はまだ男爵令嬢のままですしね。
まぁ、退学させられた令嬢の嫁の貰い手なんていないですし、男爵夫妻には子供がいない。
リナライト男爵家はどうなるのでしょうか?
「リナライト男爵夫妻には子供がエリカ嬢だけです。しかし、貴族としての常識がない令嬢に婿を迎えて男爵家を継がせることも難しい。そこで縁戚関係から養子をとり、エリカ嬢を修道院へと送ることになりました」
「陛下は、その養子となる候補選定と令嬢を送る修道院の選定を行っている」
えっ!?陛下が自ら選定しているの?
その事実に私たちは驚きを隠せません。
っていうかジェリク様まで驚いていますが、父上である陛下から聞いてないのでしょうか?
「では、エリカ嬢は行き先が決まるまで男爵家にいるということですよね。屋敷から抜け出してきたりしませんか?1学期の謹慎期間中に屋敷を抜け出して学園に来ていましたよね?」
あぁ・・・あったなぁそんな事も。
あれは確か、自作自演でリリウム様を陥れようとしたけど、私が現場を見ちゃって謹慎させられてたんだっけ・・・
2週間大人しく屋敷で謹慎していれば良かったのに、私に文句を言いに来たんだっけ。その時にエリカ嬢の転生者が確定してリリウム様も転生者だって分かったんだっけ。
「サリエル殿。心配には及びません。陛下も以前エリカ嬢が謹慎期間中に屋敷を抜け出したことをご存知だったので、リナライト男爵家に騎士団から監視要員を派遣している。これはエリカ嬢の脱走防止と男爵夫妻がエリカ嬢を逃がさないように監視するためだ」
なるほど。騎士団員が監視しているなら、エリカ嬢は逃げられないな。
仮に屋敷を抜け出しても、すぐに捕まってしまうだろうしね。
「わかりました。では、養子と修道院の選定はどれ位で終わるのでしょう?逆恨みされてマリアやリリウム嬢に危害を加えられては困りますので」
おぉぅ。お兄様の真っ黒スマイルが炸裂している・・・
リリウム様たちと学園長の顔色が真っ青ですよ!?
そして何故、騎士団長の顔色まで真っ青になっているのです?
確かに、逆恨みされてリリウム様に危害を加えられたら困る・・・
「あの・・・お兄様?」
「なんだい。マリア?」
「確かに、逆恨みされてリリウム様に危害が加えられたら困りますが、私は大丈夫ですよ?」
「なぜだい?」
「だって、お兄様がいらっしゃいますもの」
この一言で真っ黒スマイルからキラキラスマイルに早変わりしました。
みなさん・・・そんな尊敬の眼差しで見ないで下さい。居た堪れないよ(涙)
「ふむ・・・サリエル殿の仰ることも最もだな。では、選定が終わるまでリリウム嬢は王宮に滞在するのはどうだろうか?マリア嬢はサリエル殿が守るから問題ないだろうし」
「そうですね。マリアは私が守ります。近々、両親も王都の屋敷に来るでしょうし」
「では、これから陛下に選定終了までリリウム嬢を守るため、王宮に滞在する旨と選定を急ぎ終了させていただくよう奏上しよう」
ってか。お父様たち来るの?何で?
・・・ってそうか!私の婚約についてサフィール侯爵家との話し合いがあるのか!
ある意味、私もお父様に丸投げしちゃってるなぁ




