衝撃の内容でした
陛下たちのお話しの内容が全く頭に入ってきません・・・
とりあえずアスター伯父様とウィンディ伯母様のことについては、屋敷に帰ってからゆっくりと考えましょう。
私が伯母様最強説にショックを受けている間にも、お話しはどんどんと進んでいました。
「父上。ボーナイト騎士団長がお怒りになるのも仕方がないと思いますが?」
「確かにな。まさか自分の息子が問題児の虚言に踊らされていたのだからなぁ・・・」
「陛下。質問をしてもよろしいでしょうか?」
「サリエルか。良いぞ。何を聞きたい?」
「今回の決闘は、ライアン殿から申し込まれました。ライアン殿が勝った場合は、マリアの婚約者候補として私の両親に口添えしてもらいたいと。私が勝った場合は、今後マリアに縁談の申し入れをしないこと。そう取り決めをしております。その事はボーナイト騎士団長はご存知なのでしょうか?」
「あぁ。ファルコも知っておったぞ。その為に学園から帰ってきたライアンを限界まで鍛えていたようだしな」
・・・え?お兄様ってば現役騎士団長に鍛えられたライアン様を瞬殺したの?
それほどまでに口添えするのイヤだったの?お兄様のシスコンっぷりをなめてたかも・・・
「では、今回の決闘は私が勝ちましたので、今後ライアン殿がマリアに対して縁談の申し入れをしないと陛下と王妃様それにボーナイト騎士団長が証人になっていただけるということでよろしいですよね?」
お兄様はにっこりと笑顔で言ってますが、目が笑ってないですよ?
それに若干の黒オーラが出ていて陛下の顔色が悪いです(笑)
「も、もちろんだとも!この結果と取り決めについてはギルフォードに早馬で知らせを出すよう手配しよう」
「ありがとうございます。マリアの婚約者については、両親がすでに候補を見つけております。近いうちに婚約者決定のご報告が出来ると思います」
えっ!?なにそれ聞いてないよ!!お父様とお母様は一体どなたを私の婚約者にされるおつもりなのでしょう?
こっそりとラジェル様のほうを見てみると、目が合ってしまいました。
・・・ラジェル様はなぜそんなにも嬉しそうなのでしょう?
私はラジェル様の嬉しそうな顔を見て、真っ赤になってしまいました。
お兄様の衝撃の告白によって、私はその後のお話しを全く記憶しておりません。(泣)
それどころか、気づけば屋敷の自分の部屋。どうやって帰ってきたのかさえ記憶にありません。
私に婚約者・・・見ず知らずの方と?そんなにイヤだなぁ・・・
お父様たちは誰に決めたのかな・・・婚約者が決まったらもうラジェル様と一緒にお出かけできなくなっちゃうのかぁ・・・それはイヤだな・・・
・・・・・・って。ちょっと待って。なんでラジェル様と会えなくなるのがイヤだって思うんだろう?
悩んでいると、部屋のドアがノックされました。
「マリア。入ってもいいかい?」
「お兄様?どうぞ」
部屋に入ってきたお兄様が心配そうな表情で私を見ていますね。
そんなに情けない顔をしているのでしょうか?
「お兄様?どうされたのですか?」
「やっぱり忘れてるね?父上と何を話していたのか教える約束だっただろう?」
あっ!陛下たちとのお話しの内容があまりにも濃すぎたからすっかり忘れてた!!
お父様とお兄様の話し合いの内容・・・今はもう聞きたくないかも・・・
私の処理能力が限界に近いのですが?
「父上を話していた内容はね。マリアの婚約者候補のことだよ。それと、マリエルの婚約者候補のことだね」
「えっ!?マリエルの婚約者候補!?」
「そう。僕にもマリアにも婚約者どころか、候補すら決まっていないだろう?だからマリエルに関してはすでに数人の候補が挙がってる。近々マリエルと候補の令嬢たちの顔合わせのお茶会を開く予定だそうだよ」
「・・・私たちに婚約者が決まっていれば、こんなに早くマリエルに候補との顔合わせなんてさせずに済んでいたんですね」
「まぁ、あくまでも候補であって婚約者が決まった訳じゃないからね」
「それはそうですが・・・」
「マリエルの婚約者候補の話しより、自分の婚約者候補は気にならないの?」
あ~それはもうどうでもいいかな・・・ラジェル様と会えなくなるのは、誰が婚約者になっても変わらないから。
でも、一応聞いておいた方が良いのかな?学園に在籍している方なら、今後のエスコートはその方になるわけだし・・・
「一体どなたが私の婚約者候補になりましたの?」
お兄様がとっても楽しそうな顔になりました。
・・・ご自分も婚約者候補が決まったと私から言われたらどう思うのかしらね?
今度、お父様に『早急にお兄様に婚約者候補を!』とお手紙しましょう。
と考えていると、お兄様は本日一番の衝撃発言をしました。
「サフィール侯爵子息ラジェル殿だよ」