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転生したら乙ゲーのモブでした  作者: おかる
冬季休暇編
33/80

暴走王女が祝賀会に出席できる理由

新年祝賀会が催される3ヶ月前のこと。

アダマンティ王国の国王と王妃は頭を抱えていた。

隣国オーリカル帝国に嫁いだ第一王女ルピリアからの書状が原因である。

その書状にはこう書かれていた。


『フローライト辺境伯令嬢にお会いしたいので、アダマンティ王国の新年祝賀会に参加します』と。


招待状の発送はこれからだが、まさか皇太子妃になった娘が嫁ぎ先ではなく母国の新年祝賀会に出席するというのだ。

フローライト辺境伯令嬢は学園でAクラスのため、出席させるのは問題ない。

実際に夏の夜会に出席させているのだから。

辺境伯への招待状にマリア嬢も出席するよう記載させれば良いだけだが・・・

隣国の皇太子と皇帝夫妻は何を考えて皇太子妃が母国の新年祝賀会に出席するのを許可したのか。

小一時間ほど問い詰めたくなってしまったアダマンティ国王は悪くない。


「陛下・・・いかがいたしますか?」


「うむ・・・皇帝と皇太子が許可したのなら問題はないとは思うが・・・帝国貴族たちが皇太子夫妻の不仲を疑わないかが不安だな」


アダマンティ王国とオーリカル帝国の王族・皇族の婚姻事情の差が理由である。

アダマンティ王国の王族は基本政略結婚である。そのため王太子は隣国アレガニー公国の第一公女と婚約している。

第二王子のジェリクはサフィール侯爵令嬢リリウムと、第二王女のロベリアはイルバイト公爵家3男のアランと婚約している。



ルピリアは長女で国王が最初の子供ということで手放したくないと駄々をこねたため、中々婚約者が決まらなかったのだ。

不埒な輩にちょっかいをかけられても、護衛とはぐれてしまっても自分の身を守れるようにと武術を習わせたのも良くなかった。

王太子やジェリク同様、ルピリアも学園に通っていた。

が・・・同級生たちからは、入学する科を間違えただろうといまだに言われるくらい強くなっていた。

王宮の騎士団長自らが手ほどきをしたのだから当然といえば当然である。

本人も、普通科ではなく騎士科に入学したかったと言っていたくらいである。


学園に入学後、婚約者のいない貴族子息たちがこぞってルピリアに言い寄ったが、すべて返り討ちにしている。

本人曰く『自分より弱い男には嫁ぎたくありません』ということらしい。

ちなみに、マリアの兄サリエルは王国内で唯一ルピリアに勝った子息である。

ルピリアがサリエルを婚約者にしなかったのは、ただサリエルがルピリアより年下だったからである。


学園の最高学年になり、いよいよあせり始めたルピリアの前に現れたのがオーリカル帝国皇太子ヘリオスである。

見聞を広めるためと諸国を巡り、アダマンティ王国で最後の留学生生活を送ることになっていたが、実際は自分の嫁探しの旅だったりする。

オーリカル帝国の皇族は、政略結婚はしない。基本恋愛結婚である。

そのため、現オーリカル皇帝は皇后に頭があがらない。

良く言えば惚れた弱み。実際は尻に敷かれているだけというのは帝国貴族たちの一致した意見である。

ヘリオスは学園で出会ったルピリアに一目惚れしてしまった。

どうしてもルピリアと結婚したかったヘリオスはルピリアに手合わせを申し込んだ。

結果は、ぎりぎりヘリオスの勝ちである。

ヘリオスは勝ってすぐにルピリアに結婚を申し込んだ。

ルピリアはその申し込みを受けた。

その日のうちに、ヘリオスは両親に『自分の花嫁を見つけた。アダマンティ国王にルピリア第一王女との婚姻を申し入れてほしい』と早馬をだした。

ルピリアもその日の内に国王にヘリオスと結婚すると報告し、国王はショックのあまり倒れた。


学園卒業後、ルピリアはオーリカル帝国に輿入れした。

仲睦まじい様子だと、報告を受けてはいるが・・・

なぜ、『マリア嬢に会いたい』というだけの理由で大事な公務をキャンセルできるのか・・・

どこで育て方を間違えたのか・・・国王夫妻はそろって深い溜息をつく。

とりあえず、皇帝夫妻にルピリアをアダマンティ王国の新年祝賀会に出席させても良いのかと、なぜ許可したのかを尋ねる書状を送った。

皇帝からの返事に再度、国王夫妻は溜息をつくことになる。

なぜなら、その書状にはこう書かれていた。


『ロベリア王女からの手紙にて、サフィール侯爵子息ラジェル殿とフローライト辺境伯令嬢マリア殿の恋の駆け引きを読んだ皇后と皇太子妃がマリア嬢に会って詳しく話しを聞きたいと言っていたから。しかし、皇后まで自国の新年祝賀会を欠席するわけにはいかないので皇太子妃のみアダマンティ王国の新年祝賀会に出席するのを許可した。ちなみにヘリオスは滅多にない皇太子妃からのおねだりで、出席許可を即だしていた』


皇帝に続き、皇太子までも嫁の尻に敷かれていることが判明した書状だった。

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