それって良いの?
サロンでの攻防から10日後、ラジェル様からドレスと装飾品が届けられました。
箱を開けると、試着した時よりも刺繍の増えたドレスが・・・
刺繍の追加はいらないって言ったのになぁ・・・
4日後には王宮での新年祝賀会のため、手直しも不可能だし、なにより贈られたドレスを直すのは失礼にあたりますからね・・・私はこのドレスを着るしか選択肢がないわけで・・・
自室で深い溜息をついていると、マリエルが来ました。
「姉上、これがラジェル様から贈られたドレスですか?」
「そうよ。私には豪華すぎると思うけど・・・」
「そんなことないです!姉上のためにデザインされたドレスです!姉上以外には似合いません!!」
マリエル。褒めてくれるのは嬉しいけど、ちょっと褒めすぎだよ?逆に居た堪れない感が半端ないよ?
「ありがとうマリエル。ところで、どうしたの?何か用事があったのでは?」
「あっ!そうでした。父上と母上が姉上を呼んでました。サロンで待ってるって。だから僕が姉上を迎えにきたんです」
「そう。ありがとう。では一緒にサロンへ行きましょうか」
「はいっ!」
あぁ~マリエル可愛いなぁ~もう祝賀会に参加しないで、屋敷でお兄様とマリエルと一緒にお留守番してたいなぁ~
マリエルと手を繋いでサロンへと移動します。
しかし、急にどうしたのでしょうか?
お茶の時間にはずいぶんと早いのですがね・・・なんだかいやぁ~な予感がヒシヒシとする・・・
サロンに到着すると、既に両親とお兄様がいました。
なぜか重~い空気が漂ってますが・・・
「遅くなりました。それで、急にどうされたのです?お茶の時間には早いですよ?」
「・・・あぁ。マリアとりあえず座りなさい」
お父様?なぜそんなにひっくい声で話すんです?はっきり言って怖いですよ?
そしてお兄様?黒オーラが出てます。若干マリエルが怯えてますよ?
とりあえず、マリエルとソファに座ります。
私とマリエルが座ったのを確認すると、お父様がおもむろに話し始めました。
「今回の新年祝賀会なんだが、ルピリア皇太子妃が参加されるそうだ」
「はぁ?ルピリア様は隣国に嫁がれたのですよね?なぜ嫁ぎ先の新年祝賀会に参加しないで母国の新年祝賀会に列席されるのですか?」
「それはだな・・・マリアお前が出席するからだな」
「え?私が出席するからって・・・訳がわかりません」
イヤイヤイヤ!ないわ~なぜ、私が出席するからって、嫁ぎ先の祝賀会欠席してまで?
陛下や王妃様にしたら、嫁いだ娘が久しぶりに帰国するのだから嬉しいとは思うよ?でもその理由が私って・・・
「どうやらロベリア様からの手紙でお前のことを知ったみたいでな・・・恐れ多くも陛下から『娘が暴走して迷惑をかける』とお言葉をもらったよ」
あぁ・・・陛下も王妃様も王太子様もジェリク様もロベリア様とルピリア様の暴走を止められなかったんだぁ・・・
じゃあ仕方がないよねぇ~・・・・・・ってんな訳あるか!!
「・・・お父様。私、祝賀会当日は体調不良により欠席ということで・・・」
「待て待て待て!マリア。欠席したい気持ちは分かるが、それはダメだ。欠席なんぞしたらルピリア様とロベリア様がお見舞いと称して屋敷に突撃してくるぞ?」
なにぃっ!?逃げ場がない!
うぅ・・・究極の選択だぁ・・・王宮で晒し者になるか、屋敷で濃い王族姉妹を相手にするか・・・しかも後者の場合は、護衛や恐らく姉妹の暴走を止めるべくジェリク様が一緒に来る可能性が高い・・・
二択に見えて、実際は参加して晒し者一択じゃないか!
「・・・仕方がありません。祝賀会に参加します・・・」
うぅ・・・隣に座っているマリエルが心配そうに見てますね・・・
行きたくないなぁ・・・屋敷に暴走王族姉妹に突撃されるのもイヤだし、王宮で晒し者にされるのもイヤだなぁ・・・
パートナーのラジェル様と両親から離れないようにしないと・・・
あとは、ジェリク様とリリウム様とアラン様がお二人の暴走を止めてくれるのを期待するしか・・・
はぁ・・・今までの年末年始はうウキウキしてたのに、今年は憂鬱だよ・・・とほほ(涙)




