サロンでの攻防
サロンの前に到着してしまいました・・・
目の前の扉からはオドロオドロしい空気が漏れてます(泣)
お付の侍女さんはすでに顔面蒼白・涙目ですよ。
顔が引きつるのが自分でもわかります。
・・・・・・今からこの部屋に入るの?私だけ?
侍女さんに縋るように視線を向けましたが、高速で横に顔を振ってます。
私は諦めて扉をノックします。
すぐにお父様から返事が来ましたよ。
正直、このまま部屋に帰りたいなぁ~
扉を開けるとそこは一言で言うと『カオスな空間』でした。
不機嫌を隠そうともしないお父様とお兄様。
上機嫌なお母様とラジェル様。
そして、ソファの隅っこでプルプルと怯えているマリエル。
・・・お父様とお兄様?なぜマリエルを怯えさせているのですか?
私はため息をつきつつマリエルの所へ向かいます。
涙目上目遣いで私を見るマリエルが可愛すぎます。
内心モダモダしているとラジェル様から声をかけられました。
「マリア嬢、試着お疲れ様でした。ドレスは後日、装飾品と一緒にこちらのお屋敷に届けさせますね。祝賀会当日は、私がお迎えに参りますので、一緒に王宮へ参りましょう」
「あ・・・はい。わかりましたわ」
おぅ・・・お父様とお兄様の不機嫌オーラが一層濃くなりましたよ(涙)
なぜラジェル様はこの空気の中でニコニコしていられるのでしょう?不思議です。
家族である私ですら、部屋へ逃げたいのに・・・
あぁ・・・マリエルの涙腺が限界を迎えそうですね・・・
すると、ようやくマリエルの状態に気づいたお母様がお父様とお兄様を嗜めます。
・・・お母様ちょっと遅くないか?
「あなた、サリエル。マリエルが怯えていますよ?」
その一言でお父様とお兄様がハッとマリエルを見ます。
二人とも遅いよ!!もっと早く気づこうよ!
「ラジェル殿。祝賀会当日は私共がマリアを王宮へ連れて行きますのでご心配なく」
お父様・・・声がいつもより低くて怖いですよ?
「いえ。今回マリア嬢は私のパートナーとして参加して頂くので、私がお迎えにあがります」
おぉぅ・・・ラジェル様引かないなぁ~
私とマリエルは、二人の攻防を見ているだけです。
他人事じゃないって言われても知りません。
知りませんったら知りません。
私には、この二人の攻防に入っていくだけの勇気はないです。
おっとぉ。今度はお兄様の攻撃ですか?
「祝賀会には両親も招待されております。妹は両親と一緒に王宮へ向かいますよ?ラジェル殿はリリウム嬢とご両親と共に王宮へ参られては?」
お父様がお兄様の意見に頷いていますね。
でも、リリウム様はジェリク様のパートナーだから先に王宮へ向かうんじゃないかなぁ?
「サリエル殿。リリウムはジェリク様のパートナーですから、私共より先に王宮へ行くことになっていますし、両親からもマリア嬢をエスコートして王宮へ来るようにと申し付かってますから」
「あなた、サリエル。ラジェル殿がこのように仰っているのですから。当日はマリアはラジェル殿と一緒に王宮へ向かってもらいましょう」
お母様の鶴の一声ですね。
渋々ですが、お父様とお兄様が了承しましたよ。
これ以上抵抗するとお母様が怖いですからねぇ・・・
この攻防を私はマリエルの頭を撫でながら見ていましたよ。
はぁ~癒される~このままマリエル連れて別室に移ってもいいかな?
2週間後の新年祝賀会が憂鬱だなぁ~
それまでに、お父様とお兄様の機嫌がなおればいいんだけど・・・
今回も、お兄様とマリエルはお留守番だからなぁ~
折角、王都まで来ているのだからマリエルを連れて出かけたい・・・
王宮へ行く前に、心の栄養を補給しなきゃ祝賀会乗り切れないかも・・・




