冬季休暇に突入です
ようやく長かったテスト期間も終わり、冬季休暇に突入です。
ジェリク様が仰ったように、帰宅したところ王宮から新年祝賀会の招待状が届いていました。(泣)
あ。テストは合格しましたよ。成績も落ちることなく終了しました。
赤点取らなくて良かった・・・クラスごとに赤点の点数が違うなんて・・・
前世ではなかったシステムだよ(涙)
今のところAクラスで進級できそうで良かったぁ~・・・良かった・・・のかなぁ?
・・・Aクラスじゃなかったら王宮の夜会に参加しなくて良かったし、祝賀会の招待状ももらう事はなかったと思うと・・・微妙だ・・・
冬季休暇に入って5日目。両親とマリエルが王都の屋敷に到着しました。
お母様とっても嬉しそうですね。ウキウキしてますね?
そしてお父様?なぜ涙目なのでしょう?
マリエルは私とお兄様に会えて嬉しそうです。マジ天使!!
お姉ちゃんはその笑顔に癒されてるよ!!
「父上、母上お久しぶりです」
「元気そうで何よりだ。サリエル」
「サリエル久しぶりねぇ~元気そうで安心したわ」
「お父様、お母様お久しぶりです。マリエルも」
「兄上、姉上!!お久しぶりです!!」
マリエルの元気いっぱいの挨拶にお兄様も私も頬が緩みます。
「マリア。久しぶりねぇ~祝賀会の招待状がきてるわね?この後、ドレスの採寸をしますよ。デザインはすでに出来上がっていますからね。後は採寸するだけです」
えっ!?いつの間に!!お母様仕事速すぎでしょう・・・
そしてお父様?そんな不機嫌オーラを出さないでください。マリエルが怯えてますよ?
お母様からの鉄拳制裁が・・・あ・・・
お母様がお父様の襟首を掴んで別室に連行していきました。
私たちは唖然としたまま両親を見送ります。
「・・・えっと。マリエル疲れただろう?とりあえず着替えてお茶にしようか?」
「はい。兄上」
マリエルはお付の侍従と部屋へ向かいます。
私とお兄様はそろってサロンで両親と弟を待つことにします。
「・・・お兄様。お父様は大丈夫でしょうか?」
「あぁ・・・うん。大丈夫じゃないかな?・・・・・・多分」
多分って言った!?しかもその間は何?もしかしたら大丈夫じゃない可能性も・・・
深く考えるのはやめよう。これは深く考えたらダメなやつだ。
十数分後、両親と弟がサロンに集まりました。
若干、お父様がヨレヨレになってますが・・・
「サリエル。今学期も学園での騎士科主席を守ったと学園から連絡があった」
「ありがとうございます。今年はマリアと同じ学年にボーナイト騎士団長のご子息がいますので、少々不安だったのですが、何とか主席を維持できました」
「ファルコ殿のご子息か。そういえば少し前にマリア宛の縁談にご子息のライアン殿の名前があったな」
お父様・・・その話しは鬼門です。お兄様が黒オーラを発してますよ?
そして、なぜにお父様も不機嫌オーラを出しているのでしょう?
そしてお母様は何やら楽しげな・・・なぜ?
「懐かしいですわね。マリア、お父様は学園在学中にファルコ様と決闘してたのですよ」
えっ!?何それ?
お兄様もこれは初耳ってことですね。
「えっと・・・その理由をお伺いしても?」
「ふふふ。ファルコ様から学年末のエスコートを申し込まれて、それを知ったお父様が怒って決闘を申し込まれたのよ」
「「・・・・・・」」
私とお兄様は絶句しました。
っていうか『決闘』なんてシステム初耳です。
そして、お父様絶対にボーナイト騎士団長以外にもお母様にエスコートを申し込んだ方に決闘を申し込んでますね?
お母様の暴露話に若干目が泳いでますよ?
これもきっと、先生方が口を割らない内容の一つですね・・・
『決闘』なんてシステムを知ったら、騎士科の生徒たちが事あるごとに使いそうです。
「実は、剣術の最終試合でライアン殿から『自分がこの試合に勝ったら最終日の夜会テストで私がマリア嬢のエスコートを、サリエル殿にはエリカ嬢のエスコートをしていただく』といわれました」
お兄様の発言にお父様の不機嫌オーラがいっそう濃くなります。
気づけばお母様まで黒オーラを発してます。
マリエルは涙目です。ここは姉である私が守らなければ!!
「お父様、お母様。それにお兄様も。マリエルが怯えていますよ?」
3人はハッとしてマリエルを見ます。
プルプル震えて、私にしがみついています。
「悪かったなマリエル」
「ごめんなさいね。マリエル」
「マリエル。悪かった」
3人がマリエルに謝ります。
本当に3人とも大人げないですよ。
「それで?サリエル。なぜライアン殿が勝ったら問題児であるエリカ嬢をエスコートなんて言ってきたのかしら?」
「さぁ?私が最終試合に勝ったので、エリカ嬢のエスコートはライアン殿がしてましたよ」
「リナライト男爵夫人には、サリエルとマリアに関わらないようエリカ嬢に注意するよう伝えたのだけれども・・・理解していただけなかったという事かしら?」
エリカ嬢が理解したかどうか・・・いや、多分理解してないだろうなぁ~
恐らく、ライアン様にマナーとか教えてもらっているときに、お願いしたんだろうな・・・
でも、何でライアン殿はそのお願いを聞いたのかな?
考えこんでいる私をよそに、両親とお兄様は近況報告を進めてました。
気づけば、報告は終了してお母様へ採寸のため別室に連行される私。
イヤダ~!!誰か助けて!!羞恥の海で溺れてしまうよ~
あれよあれよという間に、採寸開始です。
お母様は相変わらず楽しそうですね・・・
デザインは既に決めてあるって・・・いつから準備していたのでしょうね?
これは聞き出さないといけないですよね?
「あの・・・お母様?今回の祝賀会の招待状が届いたのは先週のことですが・・・なぜデザインが既に決まっているのでしょう?」
あれ?お母様・・・なんで目が泳いでいるのですか?
何か隠してますか?まさか・・・招待状が届けられるのを前もって知っていた?
「お母様・・・まさか招待状が屋敷に届く前から、祝賀会の招待状が届くことを知っていらしたの?」
「・・・何のことかしら?」
「お母様?白を切ってもダメですわよ?リリウム様とジェリク様から、ラジェル様が祝賀会に私をエスコートしたいとサフィール侯爵にお願いしていたとお聞きしておりますのよ?」
笑顔で黒オーラを出します。
普段はしないけど、私もお父様とお母様の子供ですから?笑顔で黒オーラ出せるんですよ?
そんな私を見て、お母様は慌てて言い訳します。
「確かに知ってましたわ。サフィール侯爵夫人から内密にお手紙を頂いたのよ。ラジェル殿のパートナーとして新年祝賀会に参加して欲しい、招待状は陛下と王妃様にお願いして出してもらうからって・・・」
「だから、デザインが既に決まっているのですね?あとは採寸して製作するのみ。ということですね?」
「えぇ・・・ドレスはラジェル殿の衣装と合わせなければならないでしょう?だから、色もデザインもサフィール侯爵家で既に決まっているのよ。後は採寸して、寸法をお伝えすればすぐにでも製作に取り掛かれるって聞いているわよ。お飾りも一式用意してあるって」
うわぁ~マジか・・・だからか?お父様が不機嫌オーラ出してたのは・・・
公式の場で、頻繁にラジェル様にエスコートされるとちょっとなぁ~
ラジェル様はお友達って私は思ってても、周囲の人間が婚約者として見てくるよな・・・
断りづらくなってしまう・・・流されて婚約とかはちょっと・・・
うわ~どうしよう・・・外堀どころか内堀も埋められ始めてないか?
う~ん・・・これは真剣にラジェル様との事を考えないとマズイな・・・
採寸に伴う羞恥を別のことを考えることによって忘れようとしています・・・
っていうか・・・デザインも色もわからないんだけど、そのドレス似合わなかったらどうしよう