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転生したら乙ゲーのモブでした  作者: おかる
休暇編
13/80

私はヒロイン

残念ヒロインの残念な思考のお話しです

私の今の名前はエリカ・リナライト。前世でプレイしていた乙女ゲームの世界に転生した。

前世の私は、16歳の時に交通事故で死んだ。

テスト期間中で下校時刻が早かったのが災いした。

一緒に下校していた友人たちと別れて、本屋へ向かう途中の信号で突っ込んできたトラックに跳ねられたのが最後の記憶。

前世の記憶が戻ったのは、今世の母親が死んで途方に暮れていた時に、父親だと名乗る男性が私の前に現れた時だった。

その男性は、リナライト男爵。今世の父親だった。

父に引き取られた私は、ただのエリカから、男爵令嬢のエリカ・リナライトになった。

前世でプレイしていた乙ゲーの。しかもヒロインとして転生するなんて・・・

神様ありがとう!この世界で逆ハーエンドを向かえて、隠し攻略キャラのサリエル・フローライトを攻略します!!


前世での私は、隠れオタク女子だった。

友人にも、自分の趣味を告げる事はなかったし、彼氏もいなかった。

最期にプレイしていた乙ゲーの攻略対象の中でも、サリエル・フローライトが一番のお気に入り。

彼を攻略するためにも、早めに逆ハーを形成しないとね



父に引き取られてから、貴族令嬢としての礼儀作法や常識を家庭教師から教えられたけど・・・

正直、こんな事必要なの?って位ムダな知識が多い。

だから、適当に授業を受けて、今の両親に訴えた。


「父様、義母様。これは必要な事なのでしょうか?私には理解できないのですが・・・結婚したら、不要な事ばかりのように感じるのです」


「エリカ・・・確かに、不要な事の方が多いが、貴族として常識的に知っておかなければならない事なんだよ?」


「そうよ。エリカちゃんは可愛いから、結婚相手も引く手数多になるだろうし、高位貴族との結婚も夢じゃないわよ?」


そう。この世界は貴族階級でも、大きく分けて高位と下位に分けられる。

攻略対象たちは高位貴族か王族。下位貴族の我が家では縁談の申し入れがあっても同じ下位貴族。

男爵家か子爵家。頑張っても高位貴族では伯爵家までだろう。

フローライト家は辺境伯家。伯爵家とはいえ侯爵家と同等の高位貴族だ。

サリエル本人が望まない限り、フローライト家に嫁ぐ事は不可能だ。


「義母様。本当?エリカは高位貴族の方を結婚できる?」


「えぇ。エリカちゃんはとっても可愛い女の子だもの」


「だったら、私、サリエル・フローライト様と結婚したい!」


「「えっ!?」」


今世の両親が驚いているけど、私が学園入学後に逆ハーを形成できれば、サリエルと結婚できるのよ。

だってサリエルが私と結婚したいと望んでくれるんだから。

私は愛されヒロイン。乙女ゲームのヒロインだからね。

悪役令嬢に虐められるけど、前世で問題視されていたような陰湿な事はシナリオ上なかったし。

せいぜい、持ち物や制服を破られたり、陰口を言われたり位でしょ?

それくらいなら何とか我慢できそうだし、それに攻略対象たちはみんなイケメンだからね。



父に引き取られてから、一年後に学園に入学した。

入学前の試験は結構自信あるし、私はヒロインだからシナリオ通りきっとAクラスのはず。

意気揚々とクラス分けを見てみると、なぜかEクラスに私の名前がある。

なんでよ!?おかしいでしょ!!私はヒロインなのよ!?


「何で私がAクラスじゃなくてEクラスなの!?おかしいわよ!」


ついつい叫んでしまったけど、私は悪くないわよ。シナリオ通りじゃないのが悪いんだから!

でも、困ったわね・・・これじゃ攻略対象たちを攻略できない。

同級生たちが大広間へと移動しているので、私も移動した。とりあえず攻略対象たちを確認しなきゃね。


入学式が始まって、学園長とかのモブたちの長々しい祝辞のあとに在校生祝辞と新入生の答辞がある。

ここで、在校生の普通科代表でサリエル。新入生の騎士科代表でライアンが普通科代表で第2王子のジェリクが登場するはず。

・・・って。何でサリエルが普通科代表じゃなくて騎士科代表なの?

しかも、普通科の代表がジェリクじゃなくって悪役令嬢のリリウムなの?

おかしいじゃない!こんなゲームにこんなシナリオはなかった。小説でもこんなストーリーはなかった。



入学式が終わって、クラスへ移動することにした。

視界の隅に、サリエルがどこかの令嬢をエスコートして移動しているのを見かけた。

・・・ここまで、シナリオが変わってしまっているし、サリエルに私の存在をアピールしなきゃ

そう思って、エスコートされている令嬢にぶつかって、転んでみたけど・・・

何で、私を助けてくれないの?私はこの世界のヒロインよ?

クラスへ案内してくれるように頼んだけど、結局近くを通りかかったライアン・ボーナイトがEクラスまで案内してくれた。

クラスに入ると、見事にモブばっかり。ヒロインの私がいるところじゃないわ。


クラス交流会では、Aクラスじゃないからって先生に連れ戻されて、説教されるし。

生徒交流会では、リリウムにドレスに飲み物をかけられたのにモブが私からぶつかっていったなんて言うからまた説教された上に両親まで学園に呼び出された。

学園生活が始まって、攻略対象たちとも交流してる。好感度はかなり上がっている。

だって、みんな私と話している時は笑顔だもの。

ただ、リリウムが何もしてこないのよねぇ。これじゃジェリクを攻略できないじゃない。

・・・仕方がない。自分でやるか・・・

体調が優れないと言って教室移動の授業を休んだ。

1年普通科のフロアには誰もいないから、大丈夫。

自分の教科書と制服を破いて・・・後はクラスメイトのモブたちが戻って来たときに、泣いてリリウムにされたと訴えれば良い。


途中まではうまく行ってた。目撃者がいたなんておかしい!

しかも、Aクラスにいる女生徒だなんて!絶対にリリウムの取り巻きだわ。

だから、私を陥れようとしているんだわ!!


両親が呼び出されて、短期間の内に問題を起こしすぎだと自宅謹慎を言い渡された。

それも2週間も!なんでよ!おかしいわ!!

今度の休み明けに目撃者を問い詰めなきゃ!

自宅を抜け出して、学園に行った。目撃者だというマリア・フローライトを問い詰める。

・・・マリア・フローライト?サリエルに妹なんていたっけ?まぁいいわ。それより、邪魔をしないようにきつく釘をさしておかないとね!


途中で先生に止められちゃったけど・・・まぁいいわ。

また、説教されて面談室で両親が来るのを待たされた。

自宅謹慎中に学園に来た上に、問題を起こしたとして退学も視野に入れていると先生に言われて、両親が血相を変えて先生に学園に残れるようにお願いしている。

結果、自宅謹慎の期間がさらに2週間増えて、合計で一ヶ月の自宅謹慎になった。

それもこれもマリア・フローライトのせいよ!



一ヶ月後、自宅謹慎が解けたので、他の生徒が登校する前に教職員室へ行った。

その前に、マリアの席に花を飾ってあげた。本来は私の机に飾られる花だったけどね。

私の邪魔をするからよ!!

教職員室からの帰りにAクラスを覗いてみた。クラスの空気がピリピリしてるわね。

思わず、笑みをこぼしてしまった。マリアと目が合ったような気もするけど構わないわ。

誰が置いたのかなんて、誰にも分からないんだから。


お昼休みに教職員室に呼び出された。

なぜか、花を置いたのが私だってバレてる。そして、放課後にまた両親が呼び出された。

先生から、次に問題を起こしたら退学の可能性が高いと言われた。

軽くても留年ってどういうことよ!?そんな事になったら逆ハーが形成できないじゃない!

仕方がない・・・長期休暇明けまで大人しくしていよう・・・

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