転生先は乙ゲー世界
悪役令嬢モノではなく、そのモブで書いてみました。
転生前の記憶を取り戻したのは8年前に両親に連れられていった王妃様主催のお茶会。
第2王子と年齢の近い貴族令嬢達がその親たちと一緒に招待されていた。
王子とその近くにいるある令嬢を視界に入れたとたんに眩暈がして私はその場で倒れてしまった。
気づくと屋敷の自分の部屋。
ベッドの横には心配そうな表情の今世の両親と兄弟。
それにお付の侍女達。
私が目覚めたのに気づくと一斉に話しかけられて混乱してしまった。
(え~っと?ここはどこかしら?・・・・・・どこって私の部屋だわ・・・・・・私の部屋?こんな中世な感じだったかしら?)
まずい・・・今世と前世の私の記憶が混在してしまってる・・・
「お父様たち心配をかけてしまって申し訳ありません。マリアは大丈夫ですわ」
とりあえず、心配かけた事を謝っておこうと思ったが・・・何でみんな驚いているの?
と、自分の体を見下ろしてみると・・・
(あれ?ずいぶんと体が小さい・・・あっ!!私、今5歳だった・・・24歳じゃなかった・・・)
そこまで考えた所で、私の意識はブラックアウトした。
次に目覚めたのは一週間後だった。
その間、私は高熱にうなされていたと聞いた。
実際は、前世の記憶が一気に頭の中に流れ込んできた為に知恵熱を出していたような状態だった。
そして目覚めた私は、今の状況に愕然とした。
だって、今の私が生きている世界は、前世で年の離れた妹がプレイしていた乙女ゲームの世界。
正直、前世の妹は『この子の将来は大丈夫かしら?』と心配する程に乙ゲーに嵌っていて、私にプレイ中のゲーム内容を熱く語っていた。
ゲームに飽き足らず、いわゆる婚約破棄系の悪役令嬢モノの小説も読んでいて、なおかつ私にまで感想を求めてくるため、何故か私もその世界観は多少ではあるが知っているつもり。
妹に強制的に読まされている小説。その本を読んでいる横で鼻息荒くゲームを進めている妹。
というのが前世の私の日常。
私が、営業の仕事で外回り中に信号待ちをしている所へ居眠り運転のトラックが突っ込んできて、前世の私は24年の生涯を閉じた。
そして気づけば乙女ゲームの世界に転生って・・・
私、前世で何かしたっけ?・・・といるかも分からない神様をちょっとだけ恨んだ。
でも、ありがたい事に私は、ただのモブ令嬢。
悪役令嬢にもヒロインにも攻略対象にも近づかなければ今世は長生きできるし、辺境伯家の令嬢だから政略結婚になるかもしれないけど結婚もできるだろう。
前世で得ることの出来なかった女としての幸せを掴むことができるのだから。
ちなみにだが、私が記憶を取り戻すきっかけになったこの国の第2王子とその近くにいた令嬢が乙ゲーで言うところの悪役令嬢である侯爵令嬢と攻略対象の王子。
13歳になったら王侯貴族の子息令嬢が通わなければならない学園に男爵の庶子である令嬢が入学する所から物語は始まる。
令嬢は庶民として、入学する1年前まで生活していたが、母親が亡くなりずっとその母を捜していた男爵が娘であるヒロインを引き取る。
男爵夫妻は子供に恵まれなかった為、ヒロインを引き取ってからとても可愛がっていたそう・・・
貴族としての礼儀作法なんて『ナニソレオイシイノ?』って感じで育ったらしい。
まぁ・・・12年も庶民として育ったなら仕方がないとはいえ・・・男爵夫妻しっかりと躾をしろよ!!って思った私悪くない。
などと現実逃避をしていたが、この状況は全く持ってヨロシクナイ!!
まぁ、ぶっちゃけて言えば・・・
恐らくヒロインちゃんは私と同じ転生者。しかも例の乙ゲープレイしていたプレイヤーだ。
だってさぁ・・・
『この廊下の角で、王子とぶつかって・・・』
とか
『このイベントを回収して・・・』
とか
『騎士団長子息と公爵家子息と宰相子息の好感度はMAXだから後は第2王子の好感度を上げて逆ハーエンドを目指す!!』
とか言っちゃってるし。
しかも第2王子の婚約者になった悪役令嬢である侯爵令嬢。
恐らくこれも転生者だわ。
だって、乙ゲーではヒロインを虐めて、断罪されて国外追放エンドか死亡エンドだったからねぇ。
そりゃヒロイン虐めないわ・・・
国外追放後は侯爵家は没落するし、死亡エンドなんて真っ平ごめんでしょう。
私だって嫌だわ~
そんな訳で私は、登場人物たちに極力関わらずに学園生活を送っていたわけだが・・・
正直言ってね?あれは創作だから許される訳でね?
現実に逆ハーを目指すヒロインはただのビッチ。
攻略対象たちに至っては、国の中枢を担うはずなのに一人の女を取り合い、婚約者を蔑ろにする浮気者で人を見る目のない馬鹿者たち。
そんな国・・・次世代で滅びてしまうわ!!
まぁ、私に関わらなければ良いやって考えていた私だけども・・・
侯爵令嬢が虐めてこないからヒロインが虐めを自作自演し始めてるわ。
何で自作自演だってわかるかって?
だって今まさに目の前で自分の教科書をビリビリに破いて、さらに制服を切ってるんだもの!!