ころもがえ
――最近、寒くなったな〜
わたしはそんな事をボヤいていた。何かあたためるものが欲しい。こんな寒い生活をするのは嫌だ。もっとあったかい暮らしがしたい。
そんな事を考えていた時、急に二本の棒がわたしの胴体を掴み、身体を持ち上げた。
――な、何をするんだ!? 離せ!?
そんな思いも虚しく、そのまま、黄色い液体に付けられて、何かザラザラとしたものの中に入れられていっぱい転がされてしまった。
――いたた……! 雑な扱いをする奴だな! まったく! でも、何だろう……?
この格好してると凄くあたたかい 案外、悪い奴じゃないのかもしれないな?
そう安心して、ゆっくりと過ごしていると他の仲間も一緒に下りてくる。また一体、また一体とあたたかいものに包まれた。
ここは凍えるわたし達の楽園なのだ。そう思っていた矢先……
ある一体が二本の棒に掴まれて、連れ去られた。
――お、おい! そいつをどうするつもりだ!? 今すぐ、離せ!
しかし、あたたかいものに包まれた身体は動かす事すら、ままならず、同じ仲間を助ける事は出来なかった。
そして、また一体……また一体……みんな、連れて行かれた……
すると連れて行かれた先から音が聞こえた。パチパチと音大きな音を立てて、その後、ジュワーっと音が響いてくる。
きっと、みんなはそこに連れて行かれたのだろう。
そんな事を考えていると最後に残っていたわたしを二本の長い棒に掴んだ。
――ついに、わたしの番か……みんなはどうなったんだろう……?
持ち上げられ、辺りが見える様になった。そこで目に入ったのは、胴体が茶色く、小麦色なった仲間たちだった。
そして、パチパチと音を立てる液体。明らかに海水ではない。焦げ茶色のあつい液体……
すると、長い棒を持ったヤツは言った。
「みんな〜、もうすぐ、海老フライが出来るから待っててね〜」
ヤツの一言で、全てを理解し、思い出した。
――わたしは海老だったな。ヤツに鎧を剥がされて、今、ヤツらの食い物になろうとしている……
これが、わたしの最後の衣替えか……