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閑話 勝間達の冒険者登録とバラディスとの会話

慎吾達がビランツァを旅だってより数日、勝間と美香、ティルの3人は冒険者登録のために冒険者ギルドを訪れていた。

「ショウマ・フジキ様、ミカ・シノノメ様、ティル・ソフィネス様。こちらが、ギルドカードになります」

ギルドの待合用の椅子に座っていた3人に、受付から声がかかる。

3人が連れ立って受付に向かうと、受付の女性が3枚のカードを差し出した。

形状は日本の運転免許証より一回り小さい程度で、色は黒みがかった銀色。

3人の名前の他に、種族や冒険者のランクが書かれている。

ちなみに、ティルは王族とばれないように偽名での登録だ。

「名前およびその他登録内容に、間違いはありませんか?登録を完了してから間違いに気付いた場合は再発行になりますので、ご注意ください」

「はい、大丈夫です」

女性の質問に、勝間は頷く。

両側の2人も、同じように頷いた。

3人が頷いたのを確認して、女性は続ける。

「では、カードに皆様の魔力を記憶させます。少しでよろしいので、カードに魔力を流してもらえますか?」

「こう、ですか?」

女性の言葉に従って、3人がカードに魔力を流す。

ちなみに、この作業はカードを奪われた際に勝手に使われないようにするのが主な目的だ。

もちろん登録が重複するのを避ける目的もあるが、ティルのような王族は例外として2枚まで自分のカードを作る事ができるようになっている。

ティルも今作っているカードの他に、本名で登録したカードを持っていた。

「はい、それで大丈夫です。では、いったんカードをお預かりします。少々、お待ちください」

女性が勝間達からカードを回収し、そう言った。

そのまま近くにあった石版の上にカードを置き、魔方陣を展開して何やら作業を始める。

途中でティルの方を驚いたように見てきたが、ティルが頷くとそのまま作業に戻った。

数分して、作業を終えた女性が戻って来る。

「お待たせしました。これで、登録は完了です」

そう言って、女性が3人にカードを返した。

作業の前は黒みがかっていたカードだが、今は綺麗な白銀色をしている。

次に、女性が冒険者カードやギルドの利用方法を説明しだした。

基本的には、カードに付いている貯金機能の説明と依頼の受け方の説明だ。

「カードの使い方や冒険者ギルドの利用方法等について、質問はありませんか?」

「いえ、大丈夫です」

全ての説明を終えて確認して来る女性に、勝間は頷いた。

「了解いたしました。分からない事がありましたら、気軽に声をかけてください」

勝間達にそう言って、女性は説明を終えようとする。

が、他のギルド職員が女性に近づいて何やら耳打ちした。

それを聞いた女性は、勝間達の方へ向き直ってややためらいがちに切り出す。

「あの・・・すいませんが、ティル・ソフィネスさんは少し来てもらえませんか?」

「私だけですか?他の2人は?」

女性の言葉に、ティルが首を傾げる。

それに答えたのは、先ほど女性に耳打ちした職員だ。

「ギルドとして、あなたに対してどういった対応をすべきかという話ですので・・・。事情を知っているのであれば、問題ありませんが」

「それに関しては、問題ありませんね」

職員の説明に、ティルが頷く。

ティルに対してのギルドの対応というのは、彼女がリックハーンの王族であることが関係する事だろう。

勝間と美香もティルが王族であることは知っているので、それに付いていっても問題ない。

「了解いたしました。では、こちらへどうぞ」

ティルの言葉に頷いて、職員は3人をカウンターの中に案内した。


「お久しぶりです、ティルキア第三王女」

職員に案内された勝間達が部屋の中へと入ると、バラディスがおどけたようにそう言ってきた。

「お久しぶりです、バラディスさん。今回は、一体どんな用件で?」

バラディスの言葉に、ティルも笑いながら返す。

一見仲が良さそうだが、2人の間に漂う空気は切れてしまいそうな程に張り詰めていた。

2人の様子を見て、美香が勝間にそっと耳打ちして来る。

「ねえ、なんか嫌な雰囲気じゃない?」

「確かに、仲が良さそうじゃ無いよね・・・」

美香の言葉に、勝間も小さく頷く。

そんな中で、バラディスが勝間と美香の方へ目線を向けてきた。

「ショウマ・フジキに、ミカ・シノノメだな?」

「は、はい。そうです」

バラディスの確認に、2人が戸惑いながら頷く。

王族であるティルはともかく、バラディスから見れば今日冒険者登録をしたばかりの新人を気にする必要などないと思ったのだ。

王族と一緒に居るという時点で注目の的というのは、勝間も美香も気づいていない。

勝間達のそんな思いをよそに、バラディスは探るように2人を見つめる。

そして、小さく笑った。

「ふむ・・・。荒削りではあるが、なかなかに良い雰囲気だな。さすがは、今代の勇者か」

「!?」

バラディスの言葉に、勝間は驚いた。

その様子を見て、バラディスはキョトンとしたようにティルに顔を向ける。

「ん?なんだ、言ってなかったんですか?」

「シンゴさん達の話を、わざわざ聞かせているはずがないでしょう・・・」

バラディスの言葉にティルは額に手をやり、あきれたように返した。

そして、勝間達の方へ説明する。

「ちょうど、魔物の襲来の2日前でしたか。シンゴさん達が召喚によってこの世界に来たことが、この人にばれたんですよ」

「で、その時に本人達から事情を聞いてな。そのあと、この姫さんがここに来たって訳だ」

ティルの説明に、バラディスが補足する。

ティルとしては忘れたい事だったようで、少し疲れたような表情だ。

「魔物の襲来の2日前って事は、ミーリャちゃんが来た日のこと?」

「そういえば、あの日はティルが執務室にこもって出てこなかったな・・・」

思い出すような美香の言葉に、勝間も頷いた。

ティルが執務室から出てこない理由を慎吾達に聞こうとした勝間だったが、結局聞き出すことができなかったのだ。

まさか、そのような理由だったとは思いもしなかったが。

ちなみに、美香はミーリャをモフモフするのに夢中で気にしてもいなかった。

「と、いうわけでだ。お前達の事情もある程度は聞いている」

「そうですか・・・」

バラディスの言葉に、勝間は少し警戒するように返す。

勇者としての苦労等は、エレイナから散々聞かされていた。

その中でも特に気をつけるように言われたのが、権力者からの過度の期待だ。

勇者だからという理由で、身に余る高難易度の依頼をされるということが何度かあったらしい。

今生きて居るのは単に運が良かっただけだと、エレイナから聞いていた。

そんな話があったために、勝間は警戒しているのである。

そんな勝間の様子に、バラディスは苦笑した。

「ちょっと待て、そんなに警戒しなくても大丈夫だ。別に、いますぐこの状況をどうこうしろとは言わねぇよ」

「え、そうなんですか?」

バラディスの言葉に、ほうけたように美香が返す。

そんな美香に、バラディスは頷いた。

「シンゴから、お前達が戦闘に関してはど素人だっていう事は聞いてるしな。戦闘試験の報告も受けてる」

バラディスの言葉に、勝間達は肩の力を抜く。

ちなみに、勝間達が受けた戦闘試験は慎吾達と違って普通の試験官がやっていた。

結果は、3人とも負けだ。

もっとも、登録時の戦闘試験で勝てるものなど一握りしか居ない。

ギルドマスターであるバラディスが試験官で勝った者など、慎吾達ぐらいのものだ。

ついでに言うと、バラディスは慎吾達から勝間達の事を聞いたときに散々脅されている。

具体的な話は省くが、戦闘試験の結果がどうであろうとバラディスは勝間達に何かをするつもりはないのだ。

「まあ、できるだけ早く強くなってくれ」

「はい、分かりました」

バラディスの言葉に、勝間は頷く。

ちなみに、ティルのギルドでの対応については一般の者と一緒になった。

そもそも身分を隠して登録したので、王族として対応する必要は全くないのだ。

ちなみにそのあとティルとバラディスの2人だけで何分か話していたが、何を話していたのかは不明だった。

最後の一文、必要だったかな?

地味に、フラグということで。

あと、バラディスが慎吾に脅された内容は本編でちょっと触れます。

閑話を含めて前回の人物紹介から次話までに登場した人物の紹介は、次話投稿後に投稿します。

いよいよ今回の閑話も次で最後です。

では、また次話。

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