召喚の真実と新たな決意
8月12日 本文中に追加の記述をしました。ストーリーには変更はありません。
「リーンヘイム、ですか・・・」
慎吾とエレイナが圧倒的な強さを見せた戦闘訓練から一夜明け、慎吾とエレイナの2人は再びティルキアに会っていた。
用件は勿論、1度目に会ったときに言い忘れた2人の世界についてだ。
「ああ。俺達は地球から来た勝間達と違って、そこから来たんだ」
「多分、正規の手順で来たわけでは無いだろう。私達が来てから、魔方陣が光ってショウマ達が現れたのだからな」
「そう・・・ですか・・・」
慎吾達の説明に、ティルキアは考え込む。
「その、『こちら』に来たときの状況を詳しく教えていただけませんか?」
「ええっと・・・魔王との闘いに勝って、喜んでたらエリーの足元に魔方陣が現れたんだったか?」
「ああ、そうだ。その魔方陣に吸い込まれた時に気を失って、気が付いたらあの薄暗い部屋にいた」
ティルキアの質問に慎吾が答え、エレイナがそれに補足する。
「そうですか・・・。その時に、誰か強い魔法を使用しませんでしたか?多分そのせいで魔方陣の座標が狂い、慎吾さん達を巻き込んだのだと思います」
「強い魔術っても、相手が相手だからなぁ・・・。皆、それなりの威力のヤツを連発してたーー」
続くティルキアの質問に、慎吾達は首を捻る。
「おい、慎吾。お前あの時、一際強烈なのを撃ってたじゃないか」
「うん?あ、アレかぁ・・・」
魔王との戦闘を思い出しながら話していた慎吾は、エレイナの言葉に思わず頭を抱える。
「まあ、アレなら魔方陣が引っ張られても仕方ないよな・・・」
「一体、どんな規模の魔法を使ったんですか?勇者召喚の魔方陣が魔力に引っ張られたなんて、過去に例が有りませんよ?」
「うーんとな・・・」
顔をひきつらせながら聞いてくるティルキアに、慎吾は言い淀みながら口を開く。
「訓練で使った、『エアロスラスト』あるだろ?アレの100倍くらいの威力のヤツを、4発分の魔力を籠めて撃った」
「・・・はい?」
慎吾の話のあまりの規模の大きさに、ティルキアの動きが固まる。
当然である。
慎吾が訓練で使った魔法でさえ、この世界では中堅上位レベルの魔法使いの全力と同等なのだ。
国に仕えている高位の魔法使いでも、10回も撃てば魔力が枯渇するだろう。
その100倍など、ティルキアには想像すらできない。
「・・・今考えてみれば、シンゴの魔力の制御が完璧でなければこちらに悪影響があったのではないか?」
「そ、そうですね・・・。その規模で制御を間違えたなら、魔方陣を伝ってこちらに影響が有りますね」
「え"・・・」
エレイナとティルキアの言葉に、慎吾の顔がひきつる。
「最悪、魔方陣のこちら側と地球側で大きな更地ができていたかもしれません」
「マジか・・・」
ティルキアの言葉に、慎吾は再び頭を抱える。
自分の魔法で異世界の都市を壊滅させたとあっては、後味が悪いにも程がある。
最悪、罪悪感で寝込んだかもしれない。
「ま、まあ、大規模魔法と召喚の魔方陣が重なると言う事自体、滅多に無いとは思いますよ!」
「そ、そうだぞ。それに、魔王を倒すのにはアレが必要だったしな!」
慎吾のあまりの落ち込み具合に、ティルキアとエレイナは慌ててフォローする。
「ところで、シンゴさんとショウマさん達はお知り合いだったように見えたのですが・・・」
「ああ。実に面倒な話なんだが、俺は地球からリーンヘイムに英雄召喚されたんだ」
ティルキアの急な話題転換に、慎吾も乗る。
頭を抱えたい現状に、敢えて目を背けながら。
◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆
「そう言えば、お二人はこれからどうなさるおつもりなのですか?」
慎吾のリーンヘイムへの召喚の話を聞いた後、ティルキアは二人にそんな事を聞いた。
「そうだなぁー。基本的には、リーンヘイムへ帰る事を目指したいな」
「お二人とも、リーンヘイムへお帰りになられるのですか?」
ティルキアは、慎吾の言葉に驚いたような表情になる。
「エリーは元々リーンヘイムの住民だし、向こうの世界がどうなったかも気になるしな。それが、どうかしたか?まさか、リーンヘイムには帰れないとか?」
「あ、いえ。事故とは言ってもリーンヘイムと繋がりができているので、帰還自体は大丈夫だと思います」
急に心配そうな顔をする二人に、ティルキアは手を振る。
しかし、すぐに顔を曇らせる。
「ただ、もしかしたらシンゴさんはリーンヘイムへ帰れないかもしれません」
「え?」
「どういう事だ!」
ティルキアの言葉に慎吾が声を上げ、エレイナが立ち上がってティルを睨む。
「この魔方陣による帰還魔法は、対象者の縁を基準に帰還先の世界を選定します」
「あ、そう言う事か・・・」
だが、続くティルキアの言葉に、慎吾が理解を示す。
「慎吾、どういう事だ?」
「俺は地球からリーンヘイムを経由して、この世界に来た人間だ。つまり、俺が一番縁のある世界はリーンヘイムではなく地球ってことだ」
エレイナに説明する慎吾に、ティルキアが続く。
「・・・そうです。恐らく帰還の魔法は、慎吾さんを地球へ送るでしょう」
「俺がリーンヘイムに居たなんて事を吟味せず、な。」
慎吾の言葉に、エレイナは思わず椅子に倒れ込む。
「なんて事だ・・・。リーンヘイムの英雄召喚には、個人を特定する方法はない。と言う事は、シンゴはリーンヘイムへ戻って来れないではないか・・・」
「エリー・・・」
これまで見たこともないようなエレイナの様子に、慎吾は戸惑う。
「大丈夫だって!どうにかして、リーンヘイムへ帰る方法を見つけてやるさ!」
「どうにか・・・なるのか?」
なおも不安げなエレイナに、慎吾は挑戦的な笑みを浮かべる。
「心配するなって。俺は、リーンヘイム最強の精霊使いだぜ?」
「そ、そうだな」
少し調子を取り戻したエレイナに、安心した慎吾はティルキアに向き直る。
「と言うわけで、この世界の情報を集めたい。どうにかならないか?」
「そうですね・・・」
慎吾の言葉に、ティルキアは少し考える素振りを見せる。
「ここは、かなりの量の書物があります。しかし、慎吾さんの目的を果たすためには世界中を廻る必要がありそうですね」
一つ大きな決心をしたティルキアは、慎吾に一つの進路を示した。
「そうなれば、慎吾さん達は冒険者として活動した方が良さそうです」
「冒険者?」
ティルキアの示したモノに、慎吾は疑問を抱く。
「はい。お二人には冒険者として色々な場所を旅していただき、有事の際にこちらへ協力していただく形にしてもらいます」
「・・・大丈夫なのか?俺達がいつも協力できるとは、限らないぞ?」
心配する慎吾に、ティルキアは軽く笑う。
「それは、大丈夫ですよ。シンゴさん達には及ばないまでも、私の周りにも腕のたつ者は居ます。それに、行く先々で魔物の討伐をしていたたければ、後が楽になりますし」
「・・・分かった。冒険者になろう」
そのティルキアの姿に、エレイナが頷く。
「エリー!」
「シンゴ、ティルは覚悟して私達に冒険者を薦めたんだ。それに、リーンヘイムへ帰る方法を見つける方法を私達は知らない」
思わず叫ぶ慎吾に、エレイナは諭すように続ける。
「・・・」
「シンゴ・・・」
「・・・分かったよ」
エレイナの言葉に、慎吾も渋々と頷く。
「冒険者になろう。だが、危険になったらすぐに連絡しろよ」
念を押す慎吾の言葉に、ティルは深く頷く。
「分かりました。必ず、連絡します。では、近くの町に冒険者ギルドがありますので、そこで登録を」
「分かった。今日は休んで、明日そこへ向かおう」
慎吾とエレイナ、ティルキアはそれぞれの決意を胸に、二度目の話し合いを終えた。
海香「…ねえ、私達出てなくない?」
慎吾「気のせいだろ。」
勝間「慎吾達は旅に出るみたいだし、もう出番無いかもね。」
海「う、それは困る…」
慎「それは、大丈夫だろう。」
海「そ、そうだね。それに、私達が出ないならティルちゃんも道連れだし!」
慎「いや、平然と王女を道連れにするなよ…」
まさかの、ティルさんと慎吾、エレイナの会話だけで話が終わってしまいました。多分、この先しばらくはエレイナと慎吾、勝間と海香の二つに話が分かれると思います。
さて、次回は慎吾達が冒険者になる話です。またまた、一悶着ありそうな雰囲気です。
では、また次回。




