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リヴィルの疑問と迷宮の異変

後半、グロテスクな内容が頻出します。ご注意ください

慎吾達が75層の攻略を終えて塔の中から帰ってきた、その少し後。


「なんだって!?」


レプニーチェの冒険者ギルドの一室に、驚いたような声が響いた。

塔の方を向いて大きく開いた窓と、壁一面に設けられた本棚が特徴的な部屋。

冒険者ギルドの部屋の中でももっとも守りの固いその部屋に、先程の声の主がいた。

魔人族マギラル』の中でもエルフ族特有である長い耳と、腰まである白みがかった長い髪。

レプニーチェの冒険者ギルド長、リヴィル・シュトライゼである。

ギルド長としての書類のチェックを終えて寛いでいるときに、先程の報告を受けたのだ。


「ほ、本当かい、それは?」

「はい、塔から出てきた際に確認しました。本日の午前に、75層のメタルスコーピオが討伐されています」


驚きが抜けきらないようなリヴィルの言葉に、報告に来ていた職員が頷く。

報告の内容は、先程塔から出てきた慎吾達の攻略状況についてである。

内容が内容のため、担当者が慌ててリヴィルに報告に来たのだ。


「75層までを、一日どころか半日で攻略してしまうか・・・」

「正確には、およそ六時間ですね。ボスとしか戦闘を行わなかったようですが、それでも一区画あたり一時間と少しです」


もはや呆然とした口調で呟くリヴィルに、職員も呆れ気味に言葉を返す。

一区画とは、ターミナルボスから次のターミナルボスまでの25層間のことである。

すなわち、慎吾達が攻略に費やした時間は一層あたり数分ということだ。

ちょっとした休憩やターミナルボスとの戦闘時間を考えると、通常のボスは瞬殺されたことになる。

正直、冗談か何かの間違いかと思うほどである。

ちなみに、リヴィル達に慎吾達の攻略内容を疑うという選択肢はない。

塔本体がボスの討伐情報を管理しているため、塔の関係者でもない限り攻略内容の改竄は不可能だからだ。


「現役時代の私達でさえ、75層まで行くのに五人パーティーで3日かかったんだがね・・・」

「歴代最速じゃないですか?この先、更新されそうにないですけど」


当時の苦労を思い出したか遠い目をするリヴィルに、職員も苦笑しながら肩をすくめた。

当時のリヴィル達のパーティーも、決して遅かったというわけではない。

それどころか、過去を振り返っても早い分類に入るほどだ。

ちなみに、慎吾達の攻略する前までの最速攻略は二日だ。

もっとも、十人パーティーで突撃するという物量押しでの攻略ではあったが。


「明日あたりには、100層に到達するかも知れないか」

「出てきた際に随分と余裕のある様子だったと聞いているので、おそらく行くでしょうね」


真面目な表情に戻ったリヴィルに、職員は今後の予測を口にした。

100層到達というのは、塔に挑戦する冒険者にとって新人と中堅の境になる物だ。

慎吾達はそれをたった二日、実際の攻略時間で考えると一日足らずで達成することになる。

普通の冒険者では考えられない、驚異的な攻略の早さだ。

おそらく、慎吾達の事はすぐに冒険者達の間で噂にのぼる事になるだろう。

それゆえにリヴィル達は真面目に、ある意味焦って事を進める必要がある。

慎吾達を利用しようとする者達に、裏から根回しをするためだ。


「最悪、明日の攻略は先伸ばしにしてもらうように話すしかないかね・・・」

「根回しの方は、その手の者を使いましょう。あまり切りたくない手ですが・・・」


ため息をつきそうな様子で話すリヴィルに、職員も少し苦々しげな表情だ。

リヴィルのため息は冒険者に苦労をかける事について、職員の表情はこれまで築いてきた物を考えてのことだ。慎吾達程の実力者が誰かの命令に縛られる事を考えると、仕方のないことではあるが。


「じゃあ、そっちの方は頼んだよ」

「分かりました。では、失礼します」


短く言うリヴィルに、職員は頷いて部屋から出ていった。

慎吾達が攻略を再開する明日の朝までに、先程言っていた根回しを終わらせるためだ。

今から動けば、ギリギリで間に合うかどうかといったところだろう。

職員の退室を確認して、リヴィルは改めて机に向かう。

職員の根回しが失敗したときの事を考えて、保険をかけておこうと考えたからだ。

ちなみに今回のリヴィル達のこの行動はこの後全くの無意味と化してしまうのだが、今は知るよしもない。


◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆


時は少し遡って、ちょうど慎吾達が商隊と一緒にレプニーチェに来る少し前。

今やレプニーチェ町のの中心となっている、魔迷宮〈ニリバルト〉。

その第125層のとある一室にて、『ソレ』が目を覚ました。

いや、『目を覚ました』という表現はこの場合適切ではないだろう。

何故なら、『ソレ』は今まで寝ていたというわけではないのだから。

ただし、つい数秒前まで『ソレ』は単一の意思を持ってはいなかった。

つまり、この迷宮の他の魔物となにも変わらない存在だったのだ。

この迷宮内にて無限に産み出される魔物の一匹であった『ソレ』が自らの意思を確立したのは、偶然かはたまた必然か。

何はともあれ意思を確立した『ソレ』が、まず初めに行ったのは自らの強化だ。

簡単に冒険者や他の魔物達に倒されてしまう自らを、自らの意思で強化することにしたのだ。


最初は、『ソレ』を餌として食べに来た塔の魔物であった。

本来ならば抵抗する間もなく倒されてしまうであろうその狼型の魔物を倒し、『ソレ』は自らの体内へ吸収した。

次はハイオーガ、その次はメイジゴブリン・・・。

『ソレ』は次から次へと塔の魔物を倒し、その体内へ吸収していった。

結果として『ソレ』はハイオーガ並の体力を持ち、複数種類の魔法を駆使する異形の魔物と化した。

ただし、塔を攻略する(・・・・・・)冒険者達には(・・・・・・)見つからない形で(・・・・・・・・)

『ソレ』にとっては幸いーー冒険者達にとっては不幸なことに、『ソレ』が居るのは迷宮の第125層の中でも角の部屋だ。

当然冒険者達は先に進むことを優先するため、そのような部屋に立ち入ることはまずない。

しかし、ついに『ソレ』の触手に冒険者がかかることになってしまった。

とある七人組のパーティが、第125層をくまなく探索するためにやって来たのだ。


「ったく、リーダーも人使いが荒いよな。『層の隅々まで探索しろ』、なんてよ」


天井に張り付く『ソレ』の真下を、パーティの斥候が通っていく。

金色の短髪をツンツンと逆立てた、少し軽薄そうな男。

斥候という役割の冒険者の例に漏れず、動きやすいように必要最低限の防具しか装備していない。

小言を言って油断しているように見えるが、周りの警戒は怠っているようではない。しかし、並の冒険者には薄暗いの迷宮内で天井に張り付く『ソレ』を見つけるのは至難の技だろう。


『ソレ』は天井から体の一部を垂らし、斥候の頭上で布のように拡げた。

「・・・は?」


急に一層暗くなった事に不審に思った斥候が、思わず声をあげる。

しかし、もう全てが遅かった。

『ソレ』は拡げた体の一部を斥候の体に被せ、自由を奪う。


「な、なんだ、これ・・・ッ・・・」


声を上げながらどうにか抜け出そうと体を捩るも、抵抗虚しく斥候の体は完全に『ソレ』に飲み込まれてしまった。

やがて『ソレ』の体内の斥候の抵抗が止み、さらにしばらくして『ソレ』は元のように体の一部を戻した。

後に残ったのは、斥候の着ていた防具だけである。

斥候を吸収し終えた『ソレ』は、天井を伝ってその仲間たちの元へと向かう。

明らかに索敵の効率の悪いその冒険者達を襲うのは、『ソレ』にとって児戯にも等しいものであった。

仲間を守ろうと盾を持って前に出た壁役二人は盾を絡め取って迷宮の壁に打ち付け、剣で切りかかって来た二人は剣を触手で操作しお互いを切りつけさせた。

慌てて魔法を詠唱する魔法師は杖を折ってそのあと窒息させ、リーダーらしき冒険者は斥候と同じように体内に飲み込んだ。

斥候も含めて都合七人の冒険者を吸収した時、『ソレ』にある変化が起こった。

人間で言えば、知識や知恵と呼ばれるものが『ソレ』の中に入ってきたのだ。

知識の獲得により『ソレ』は奇襲や分裂しての襲撃など、さまざまな戦いかたを使用し始めた。

これにより魔物の吸収速度はさらに上昇し、『ソレ』は急速に成長していくことになる。

一週間後。

そんな『ソレ』の前に、突然一人の男が現れた。

黒のローブを着た、長身の男だ。

この一週間で『ソレ』は、数十人の冒険者と数百匹の魔物を吸収していた。

男が『ソレ』に吸収されるのも、時間の問題だろう。

しかし、ある予感に従って『ソレ』は男の前でひざまづく。

それは『この男に逆らってはいけない』という、本能からの警告だった。


「フン。いかに成長しようとも、主に歯向かうことはできないか・・・。まあ、この検証は後にしよう」


『ソレ』の行動を見て、男は呟くように言った。

そして、ローブの中から一つの玉を取り出す。闇そのものを封じ込めたかのように、禍々しい雰囲気の宝玉だ。

手にもった宝玉を、男は『ソレ』の方へと突き出す。何の疑いを持つことなく、『ソレ』は受けとり体内に飲み込んだ。

瞬間、ズブズブと音をたてながら『ソレ』の体が変化する。元々は不定形だった『ソレ』に首が尻尾が、そして翼が生えてきた。


「ハハハハ!そうだ、これだ!」


その姿を見て、男は大きく声をたてて笑う。


「さあ、塔の足元に蔓延る者達を蹂躙しろ。『ミストスライム』!いやーー」


狂気ともいえる男に触発されたかのように、『ソレ』が大きく吠える。


「『アシッドミストドラゴン』!」


それは、後の世に『レプニーチェの悲劇』と呼ばれる災厄の始まりだった。

シンゴ「俺達、誰も出てないな・・・」

エレイナ「まあ、たまには良いのではないか?」

ミーリャ「でも、私達って一応主人公とその関係者だよね?」

エ「無理矢理にでも、良いってことにしておけ。でないと、あれが・・・」

ミカ「フフフ・・・。たった一回、出なかっただけで何よ・・・」

ショウマ「こっちなんて、後書き以外で出たのは随分前だぞ・・・」

ティル「存在感、無さすぎですよね・・・」

ミ・ショ・テ「はぁ・・・(ガクッ)」

ミー「あはは・・・」



これまで割り込み投稿や大幅な修正等をしてきたので、投稿が遅れました。すいませんm(__)m

ちなみに、慎吾達が出てないのは偶然です。

さて、次話は何やら不穏な空気・・・

久しぶりに戦闘場面が書けそうです。

では、また次話

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