村人の感謝とラマサンダからの出立
8月15日 本文中に追加の記述をしました。ストーリー全体としては、変更はありません。
慎吾達が、メガプラントを倒した翌日。
ラマサンダの村は慎吾達を快く迎え、宴をやっていた。
「いやぁー皆さん、本当にありがとうございます」
村で一番大きな家で、慎吾達は村長から何度目になるかという感謝の言葉を受けていた。
「これでこの村も、盗賊に怯えずに済みそうです」
「それは、良かったです」
これは、慎吾の本心である。
盗賊を警戒して、村人が疑心暗鬼に陥るのが耐えられなかったのだ。
ちなみに、慎吾達が盗賊の仲間ではないかという疑いはティルの手紙を見せてすでに解消されていた。
それどころか、滅んだとは言え一国の使者ということでかなり優遇されていたりする。
「予定では、明日にでも盗賊のアジトを見に行かせます」
「そうですか。かなり大きく崩れてしまっているので、行く人達には十分注意させてください」
村長には、盗賊のアジトのことを話している。
もっとも、メガプラントの事は話していないが。
あれに関しては不明な点も多いため、不必要に話す事はないと慎吾が判断したためだ。
アジトが崩れたのは、盗賊達が大規模魔法を使用したからだと説明した。
これで盗賊達の全滅が確認できれば、慎吾達はこの村を出発できるだろう。
一緒に村まで来た冒険者達に関しては、盗賊と関係無い者達はそのまま商隊の護衛を続けられるらしい。
盗賊の仲間だった連中は、商隊と一緒に大きな町まで連行してほしいとのことだった。
慎吾としては盗賊の仲間とそれ以外を判断する方法が気になったが、流石にそれを聞くことはしなかった。
「盗賊の仲間だった冒険者の連行については、そちらで商人頭と相談してください。流石に、私達の一存では決められません」
「そうですね。では、明日にでも話し合いをしておきます」
あくまでも慎吾達は冒険者であると言外に強調すると、村長はそれを汲んでくれたようだ。
それから二、三個相談をすると、村長は近くの娘を呼んで自分と慎吾の盃に酒を酌ませた。
「さてと。湿っぽい話はここまでにして、宴を楽しみましょう!」
そう言って、村長は酒のなみなみと注がれた盃を差し出してくる。
「そうですね」
内心苦笑しながらも、慎吾はそれを受け取った。
ちなみに、この世界では酒は15歳から飲むことができる。
その上リーンヘイムでも色々と飲む場面が多かったので、慎吾もあまり気にしていない。
もっとも、勝間達と違って慎吾は今年20になるので地球でも問題ないのだが。
差し出された酒は、地球でいうところの芋焼酎だ。
『トポイル』と呼ばれるこの地域特産の芋を使った、この村の名物である。
「本来なら『エーラ』も用意させたのですが、この『トポ酒』以外の酒は全て持っていかれましてな」
申し訳なさそうに、村長がそう言った。
エーラとは、ビールのような酒だ。
もっとも、ビールと違って泡は無いが。
この世界でもっとも好まれている酒で、宴会等にはよく登場する。
「いえ、十分ですよ」
慎吾はそう言って、盃に注がれた乳白色の液体を煽った。
ドロッとした見た目に反して、さっぱりとして飲みやすい。
「おいしいです」
「良い飲みっぷりですな。ですが、大丈夫ですか?」
称賛した慎吾に、村長は笑いながらも少し心配そうに訊ねてくる。
「トポ酒はエーラと違って、かなり酔いやすいのです。そのように一気に飲まれると、悪酔いしかねませんぞ」
「そうなんですか?気を付けます」
村長の忠告に、慎吾は頷いた。
さっぱりとしていたため一気に飲んでしまったが、かなり度数が高いようだ。
まあ、いざとなれば魔力を活性化させて酔いを冷ますこともできるのだが。
慎吾は村長から離れ、他の席を回って村人達と話をする。
とは言っても、ほとんどが村長と同じように盗賊を討伐したことへの感謝だったが。
その後エレイナが酔って慎吾に絡む等のトラブルがありつつも、宴は無事に終わりを迎えた。
◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆
二日後
村から確認に出た者達が盗賊のアジトの崩壊を確認したのを聞いて、慎吾達は商隊と一緒に村を出発する。
見送りには、村長の他に村に残っている村人全員か来ていた。
「行ってしまわれるのですな」
「そうですね。目的あっての旅なので、あまり長い間滞在はできません」
残念そうな村長からの言葉に、慎吾はそう返した。
正直に言うと、目的自体は個人的な物なので特に急ぐ必要も無いのだが。
慎吾としてはリーンヘイムに帰る方法が見つかれば勝間達の手伝いをするつもりなので、あまり時間をかけたくは無いのだ。
「それに、あまり長い間この者達をここに置いておくわけにもいかないでしょう?」
「それは、そうですが…」
続いた慎吾の言葉に、村長が言い淀む。
商人頭と村長が昨日話し合った結果、盗賊の仲間だった冒険者を条件付きで商隊と一緒に連れていくことが決まった。
その条件というが、慎吾達が商隊の護衛に付くというものだったのだ。
盗賊の仲間だった冒険者は五人、商隊の護衛に付いていた冒険者のおよそ三分の一にも登った。
今は全員大人しいが、いつ暴れだすとも分からない。
盗賊達の生き残りが襲って来る可能性もあるためできる限り護衛を減らしたくないと言うのが、商人頭の話である。
慎吾達としても護衛は必要だと思っていたので、商人頭の提案には二つ返事で承諾した。
「もともと、彼らの護衛が私達の依頼だ。途中で見捨てる訳にも、いかんしな」
「そうですな。致し方ありません」
エレイナの一言に、村長が首を振りながらも引き下がる。
「また、いらしてください。歓迎いたします」
「はい。用事が終わったら、帰りにでも寄らせていただきます」
村長の言葉に、慎吾も笑って返す。
ちょうど商隊の準備も終わったようで、商人頭が慎吾達を呼びに来た。
元々商隊の物であった馬車が二台と盗賊の仲間を運ぶために村で借りた馬車の、合計三台の馬車が村の入口に止まっている。
慎吾達も荷物を持って、護衛用の馬車に乗り込んだ。馬車の順番は、前から商人、護衛、盗賊の仲間の順番だ。
「道中、お気をつけて!」
「皆様も、お元気で!」
馬車の中から慎吾達が手を振りながら言うと、村人達も口々に見送りの言葉を言った。
見送りに来ている人達に手を振りながら、慎吾達を乗せた馬車は村の門をくぐった。
ミーリャ「エレイナって、お酒に弱かったんだね」
慎吾「そう言えば、リーンヘイムでも結構頻繁に酔ってたよな」
エレイナ「う・・・。し、仕方ないだろ!つい、飲み過ぎてしまうんだ!」
慎「酔ったお前に絡まれる、俺の身にもなってくれよ」
ミ「そのわりには、満更でもなさそうだったけどねー」
シルヴィ「エレイナに抱きつかれて、鼻の下伸ばしてたしね」
エ「そ、そうなのか?」
慎「伸ばしてねぇよ!」
エ「そ、そこまで意地にならなくても・・・」しゅん・・・
慎「・・・俺は、何て答えれば良かったんだ?」
シ「黙っとけば、良かったんじゃない?」
エレイナさんの、意外な一面(ってほどでも無いですが)が出てきました。
一応、最後にフラグも立てておきましたが、回収するかは決まってません。(結局、忘れそう)
さて、次の話ですが・・・
次の町の話にするか、閑話を挟むか迷ってます。一応両方ともある程度内容は固まってるので、ちょこちょこ修正しながら考えます。
では、また次話




