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ラマサンダの村と疑われた三人

8月15日 本文中に追加の記述をしました。ストーリー全体としては、変更はありません。

慎吾達が同行する商隊が、ビランツァを出発してから1週間。


慎吾達の前にはビランツァを出て最初の村であるラマサンダが見えていた。

明らかに人の住んでいる事の分かる光景に、商隊全体にほっとした空気が流れる。

商人頭に慎吾が聞いた話によると、以前まではこれまでに5つの村が有ったらしい。

北のリックハーンが落ちた事とビランツァの魔物襲撃があったために、ラマサンダから北の村の住人は全てここより少し南にある町に避難したようだ。

お陰で、この1週間は携帯食と野宿の生活が続いている。


「申し訳ありません。冒険者の皆様は、1度ここで待機していていただけをすか?」


ラマサンダまであと半日と言った場所で慎吾達が他の冒険者達と一緒に最後の休憩をとっていると、商人頭がやって来て済まなさそうにそう告げた。


「なんでだ?俺達はここで待機で、あんたら商人だけで村に入るってのか?」

「俺達だって、疲れてんだ。なんで、村の目の前で野宿しねぇといけねぇんだ?」


一緒に休憩をしていた冒険者達から、不満の声が上がる。

いつ出るか分からない魔物を警戒して商人達より疲れている冒険者にしてみれば、この不満ももっともである。


「実は、ラマサンダの村は警戒体制のようなのです。特に、冒険者に対してはかなり厳しいようですね」


商人頭も何の説明も無いのは不味いと思っていたのか、ラマサンダの様子を説明しはじめた。

宿などを取るために先行させていた者から、先程連絡が入ったらしい。

それによると、村の近くで山賊たちが村人たちを襲っているらしい。

状況から言って、避難しきれなかった村の住人達が身を落としたのだろう。


「厄介なのは、金に目の眩んだ冒険者達が10人ほど山賊たちの元に居るらしいのです」

「なるほど。それじゃ、身元のしっかりしてない俺達はそいつらの仲間かも知れねえって思われるわな」


商人頭の言葉に、冒険者の1人が理解を示す。

慎吾達は商隊に雇われてはいるが、それは冒険者達が山賊仲間であることを否定する材料にはならない。

報酬を貰えない事とギルドからの信頼を失う事を厭わなければ、ラマサンダで商隊を裏切る事もできるからだ。


もっとも、ギルドからの信頼を失えば依頼の受注はおろかギルドのある町に入ることも出来なくなるが。


「俺達の身元を、証明できる物があれば良いんだがな…」


そこまで言ってから、慎吾は1人の存在に気づいた。


(俺達の場合、ティルの仲間って事を証明できれば良いんじゃねぇか?)

「ん?どうした?」


急に黙り込んだ慎吾に、他の冒険者達が声をかける。


「ん?ああ。いや、何でもない」

(滅んだって言っても、元は王女だしな。俺達との関係が証明できれば、どうにかなるか…)


そして、慎吾は夜にティルキアと連絡を取ることに決めた。


ーーその日の夜。

慎吾は他の冒険者達が寝静まったのを確認して、ティルキアと連絡を取っていた。

内容は、ラマサンダの現状の報告と慎吾達の身分の証明についてだ。


「…という訳なんだ。どうにかならねぇか?」

『…成る程、状況は分かりました。結論から言うと、親書だけでは難しいですね』


ラマサンダの村で足止めされている現状を説明すると、ティルキアは少し考えてから返してきた。


『親書そのものには、そういった効力はありません。封蝋も、それほど特別な物は使っていませんしね』

「…そうか。流石に、今から証明できるものを持ってきてもらうわけにもいかねぇしな…」


ティルキアの言葉に、慎吾は少し落胆しつつも返した。

そのまま村に入る方法を考えていた慎吾に、ティルキアが躊躇いがちに言葉を続ける。


『あ、あの、慎吾さん?』

「ん?どうした?」


ティルキアの声で黙考から帰った慎吾は、慌ててティルキアの言葉に返す。


『実は昨日、こちらにもラマサンダの大体の状況は入ってきていまして…。私の関係者であることを示す証明章を、今朝そちらに送りました』

「そうなのか?」


ティルキアの言う話に、僅かに慎吾の声が明るくなる。


『最速の飛竜便で送ったので、明日の朝には着くはずです。詳細が分からなかったので、それほど強権を行使できる物ではありませんが』

「いや、十分だ。ありがとう」


ティルキアに礼を言ってから、慎吾は会話を終了した。その時


「おい、あんた。さっき、誰と話してたんだ?」

背後から、男の声がかかった。


◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆


ーー翌朝。慎吾は手足を縛られて、地面に座らされていた。


「だから、俺が従事している人と連絡を取っていたんだ。村に入るための証明章を受け取るように、指示を受けた」

「俺達は、お前が従事しているっていう人物について聞いてんだよ!」


昨晩ティルキアに連絡を取っていたのが他の冒険者にばれ、こうして疑われているのだ。

慎吾の隣には、同じように縛られたエレイナとミーリャが居る。


「良く考えりゃ、変な連中だよな。3人組で、内2人は女と子供。3人とも、妙に荷物が少ねぇしな」

「特に、不思議でもないだろう?俺はビランツァで依頼をやっていたからコイツらの事を知っているが、3人とも相当の実力者だ」


流石に無理矢理な印象を受けたのか、他の冒険者が助けを出した。

話の様子からして、ビランツァの冒険者ギルドで依頼を受けたことがあるのだろう。


「じゃあ聞くが、コイツの言ってる従事している人ってのを見たことあるか?」

「そ、それは…」

「ねぇよな?あれば、さっき割り込んできてたはずたからな」


しかし、相手の質問に答えられずに引き下がる。

これは、慎吾達が悪いとも言える。


できる限り勝間達に被害が及ばないように、ティルキアの事を周りに言ってなかったからだ。

ビランツァの防衛戦に参加していた冒険者達なら慎吾達がギルドマスターであるバラディスと懇意にしていた事を知っているだろうが、どうもこの場には居ないらしい。


「それにコイツらが実力者だとしても、知らねぇ場所に行くにしちゃ人数が少ねぇよな?」

「た、確かに。いかに実力者でも、知らない場所に行くのにはそれなりの人数を揃える必要がある」

「それに、遠くの人と連絡を取る方法も私達は知らないしね」


段々と、慎吾達に向けられる疑いの目が多くなっていく。

それを見て、慎吾はマズイなと内心で呟いた。


(完全に、思考誘導がされてる。それに、表面上は事実しか言ってないのがタチが悪いな…)


ティルキアやシルヴィの事を話せば解放されるかも知れないが、確実とは言えない。

むしろ、それを切り口に疑いが増すこともあり得るのだ。

なにも言わない慎吾に、相手は更に得意気になる。


「それに証明章を受け取るって言っても、どうやってここまで届けてもらうんだ?ここからビランツァまではどうやっても3日はーー」

「…おイ。シンゴ・ツルギって奴に、ビランツァから届け物ダ」


しかし、その言葉は上空からの声に打ち消された。

その場にいた慎吾達を除く全員が、声の方向を向く。

そこに居たのは、1匹の飛竜であった。

全長は1メートル程で、それと同じくらいの大きな翼を持っている。

全身は、翡翠色の滑らかな鱗で覆われていた。


「り、リトルワイバーン…」

「さ、最速の飛竜が、なんでこんな所に…」


あまりに突然な登場に、冒険者達は呆然としていた。

中には、腰を抜かして地面にへたりこんでいる者もいる。

リトルワイバーンとは、スムーラ大陸中央の山岳地帯に棲息している小型の飛竜種のことだ。

比較的温厚な性格と生物中最速と言われるそのスピードから、人間に調教されて飛竜便として活躍している個体も少なくない。


「し、しかも、人の言葉を話しているとか…」

「人語を話しているのガ、そんなにも不思議カ?別に長く生きている竜なラ、どんな奴でも話せるゾ?」


驚愕と共に漏れた言葉に呆れたような様子で話ながら、その飛竜は慎吾の前にやって来た。


「お前が、シンゴ・ツルギだナ?3番目の嬢ちゃんから、届け物ダ」

「昨日の連絡で聞いてる。まさか、ここまで速いとは思わなかったがな」


背中に背負った鞄から1つの封筒を取り出しながら告げる飛竜に、慎吾は少し苦笑しながら返した。

慎吾はティルキアからの手紙が届くのに、最低でも半日はかかると思っていたのだ。

その予想より早く届いたため、苦笑したのだった。

それとは別に、ティルキアの事を『3番目の嬢ちゃん』と呼んだ事にも笑いそうだったが。

そして口と足で器用に封を切り、中身を取り出す。

中に入っていたのは書類が二枚と金属の札、魔石の四つだ。


「ふん、なになに?…へえ、良い仕事するな、ティル。それじゃ…フンッ!」


中に入っていた書類を読み、慎吾はティルキアに感謝をしてから全身に力を込める。

ただそれだけのことで、慎吾を縛っていた縄が内側から弾け飛んだ。


「…は?」

「ふぅ…、流石にずっと縛られてるのは肩が凝るな。エリー、ミーリャ、もう動いても大丈夫だぞ?」


思考が追い付かずに冒険者達が呆然とする中で、慎吾は肩を回しながら他の二人に声をかける。


「ん?やっとか…」

「下が固かったから、お尻が痛い…」


その声に答えるように、エレイナとミーリャが立ち上がる。

その体を縛っていた縄はまとめて切られており、その手には片刃の小さなナイフが握られていた。

声をかけられればいつでも抜け出せるように、エレイナが準備していたものである。

そして二人が慎吾の隣に立ち、慎吾は獰猛な笑みを浮かべながら告げる。


「さぁてと。そんじゃ、反撃開始といきますか」

海香「ねぇ、ティル。慎吾から連絡があったよね?その場合って、球の使用制限に含むのかな?」

ティル「そういえば、そうですねぇ…」

慎吾「その場合はこっちの魔力を使うから、使用制限には含まれないぞ」

海「やった!じゃあ、1日一回ミーリャちゃんを連れて連絡してきて!」

慎「ミーリャと話したいだけだろ…」

海「もちろん!」

慎「胸はって開き直るな!」

テ「それは…良いですね…」

慎「ティルも便乗するな!はぁ、正直に話さなかったら良かった…」



なんだかんだで、またもや遅れました。

現実の生活との調整って、案外難しいんですよね…。

慎吾達はようやく、初めの村に着いたようです。なんだか最後は、悪者登場的なノリになってますが…。

さて、次話は慎吾達の入村と盗賊討伐…的な感じですかね?

構成の時点で超短くなってるので、後半は別のを付け足すと思いますが。

では、また次話。

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