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勝利の宴と勇者達の訓練

8月14日 本文中に追加の記述をしました。ストーリー全体としては、変更はありません。

後の歴史において『ビランツァ防衛戦』と呼ばれる大規模な防衛戦に勝利し、ビランツァの町は次の日からお祭り騒ぎだった。

それも、そうだろう。

本来ならば一瞬で蹴散らされてもおかしくはなかった魔物の群れ相手に、死者を出さずに勝てたのだから。


「あー・・・、てめぇら。あの大量の魔物相手に、よくこの町を守ってくれた!」


出撃の時にも上がったギルド前の壇で、バラディスは目の前に集まった冒険者達に話しかける。

その声も、出撃の時に比べて若干明るいように聞こえる。


「現状、北の森は何があるか分からねぇ。だから、安全が確認されるまでは立ち入りは許可制にする」


その後の注意は、当然のものだろう。

もしも魔物の生き残りが居ては、冒険者はともかくとして一般人では太刀打ちできない。

解除されるまでは森の調査と一般人からの依頼で、冒険者達が北の森へ行くことが多くなるだろう。

ちなみに、この後の二日間は町の補修工事のため冒険者ギルドは休みになっている。冒険者達もあの激戦の後で、わざわざ依頼を受ける者も居なかったが。


「最後に!町長からの報酬として、防衛戦に参加した者は町での飲食を今日一日無料とする!」


その言葉に、冒険者達から歓声が上がる。

それを聞きながらバラディスは、念のため依頼を受けた冒険者に依頼書を渡しておいたことに安堵するのであった。

バラディスが解散を言い渡し、冒険者達はそれぞれ酒場などへ繰り出していく。

散り散りになっていく冒険者達の中にバラディスは町を救った英雄の姿を探すが、その姿をみつけることはできなかった。


そのころ、ティルキアの屋敷ではーー


「さーてと、俺たちも祝勝会始めるか!」

「ああ。そうしようか」

「私と藤木くんは、戦うの始めてだったもんね」


食堂の机の周りに防衛戦に出ていた四人とティルキア、ミーリャがグラスを掲げていた。

防衛戦に参加していた冒険者達達にとって、慎吾は救世主とも言える存在だ。

当然、街の祝勝会に参加していれば人に囲まれていただろう。

慎吾が身動き取れなくなる可能性もあるため、町から早々に退散したのだ。

勝間の暗殺の件も考えれば、当然の事だと言える。

ちなみに、この屋敷にも街中にも怪しい動きをするものも姿はなかったらしい。

状況的に隅から隅まで探すということはできなかったため、慎吾の考えすぎだったかどうかは定かではないが。


「んじゃ、防衛戦の勝利と無事の生還を祝して…乾杯!」

「「「「「乾杯!」」」」」


慎吾が音頭をとると、他の五人がそれに合わせる。

ガラスのぶつかる澄んだ音が、食堂に響いた。


ーーそれから数時間後


勝間は屋敷のテラスで1人、満天の星空を見上げていた。

他の5人は、既にそれぞれの部屋に戻っているだろう。

もっとも、ベットに入って寝ているかどうかは別だが。

先程までランプの光で照らされていたビランツァの町も、今はすっかり静かになっている。

先程まで魔物に襲われていたとは思えないほど、静かで落ち着いた夜だった。


「よう、勝間。何やってんだ?」

「ん?ああ。慎吾か…」


背後からの突然の呼び掛けに振り向くと、テラスの窓の所に慎吾が立っていた。

慎吾は勝間の隣にやって来て、同じように星空を見上げる。

この世界に星座と言う概念があるかは分からなかったが、星空が綺麗なのはどこも変わらないと勝間は思った。


「綺麗だな…」

「ああ」


小さく漏らした勝間の呟きに、慎吾が返す。


「眠れねぇのか?」

「ああ。多分、海香も…」


慎吾からの質問に、勝間が返した。

海香は会の途中で、食欲がないからと自室へ戻っている。


「あの時は、夢中でやってた。でも…」

「終わってみると思い出して、怖くなってきたか?」


慎吾の言葉に頷く。

そうして勝間は、慎吾の方へと顔を向けた。


「なあ、慎吾。お前は、どうやって乗り越えたんだ?」

「乗り越えたなんて大層なもんじゃねぇよ…」


勝間の質問に、慎吾は寂しげに笑いながら答えた。


「大切な物や人を守るために、必死で目ぇ反らしてるだけだ」

「そう、か…」


慎吾の言葉に、勝間は少し沈んだ声で返す。


「だが、まあ…」


さすがにこのままではいけないと思った慎吾は、頭を掻きながら続ける。


「力を貰ったら、責任もって使わねぇといけねえ。それができねぇと、自分だけじゃなく周りの人も失う羽目になる」


勝間よりも長くそういった世界に身を置いた慎吾の言葉には、それ相応の重さがあった。


「…柄にもねぇこと言ったな。さっさと寝るぞ」

「ああ」


自室に向かう慎吾に続いて、勝間も自室へ戻る。

眠れないでいるだろう海香にも、慎吾の話を聞かせてやろうと思いながら。


「今日はよく眠れそうだ」


次の日。

いつもは言わないことを言ったという事を海香にからかわれ慎吾が二日ほど自室に籠ったのだか、これはまた別の話。


◆◇◆◇◆◇◆◇◆


それから、2週間後。


「ぜぃや!」

「はっ!」


ティルキアの屋敷の闘技場に、威勢の良い声と鉄のぶつかる澄んだ音が響く。

訓練が始まった日に慎吾とエレイナがその強さを見せつけた場所では、5つの影が地面を駆けていた。

ただし、4人が1人を攻める形で。

言うまでもなく、1人の方は慎吾だ。

勝間達二人とミーリャ、そしてティルキアの4人の訓練を手伝って欲しいと、10日ほど前に4人の教官役をしているリーラに頼まれたのだ。

ここ1週間は午前は依頼、午後は交代で訓練の手伝いと忙しく動き回っている慎吾とエレイナである。


ちなみにミーリャが来るまでは勝間と海香だけで訓練をしていたのだが、ミーリャが来てからティルキアも訓練に参加している。

慎吾と海香のサポート役として一緒に旅に出るのだと言って、リーラを始めとした部下達を慌てさせていた。


それはともかく、今は慎吾は3割程の力で4人と模擬試合を行っていた。

目的としては、実戦を想定した連携の訓練である。

本来ならミーリャは慎吾と組むのだが、力量の関係で今は勝間達と組んでいる。

いずれ、3人で連携の訓練をするつもりではあるが。

この訓練を始めた初日には5割程度の力でやったのだが、その時は4人相手に圧勝した上に危うく重傷を負わせるところであった。

そのため、次からはかなり慎重に力を抑えている。

もっとも、その状態でも一般の冒険者の数倍という規格外な強さではあるが。

武器はそれぞれ慎吾が手甲、勝間が剣と盾、海香が弓、ミーリャが槍、ティルキアが杖を装備している。

訓練用に用意されたもののため、もちろん刃は潰されている。


「はっ!」

「せやっ!」


短く発した声と共に、慎吾とミーリャがぶつかる。

ミーリャが獣人であることと慎吾が片手武器でミーリャが両手武器ということで、二人の動きが拮抗する。

と、そこに勝間が横合いから慎吾に斬りかかる。


「ぜやっ!」

「おっと」


押し合いになっているミーリャの力に対抗することなく後ろに下がることで、慎吾はその攻撃をかわす。

それに続いて2人の後ろから矢が飛んでくるが、バック転の要領で次々とかわしていく。

海香の矢だろう。

前衛二人の影から的確に矢を放つその技量は、相当なものである。


「あーもう、当たりなさいよ!」

「誰が当たるか!」


海香の文句に返していると、矢の中に光の筋のようなものが混ざる。

同じようにかわすが、それは慎吾を追って軌道を変えた。

不規則にかわし続けるが、どうも振りきれそうにない。


「ち、光線魔法か!」

「追尾式の魔法なので、逃げられませんよ?」


ティルキアの言葉に再び舌打ちし、慎吾は魔力を集中させた右手を殴り付けるように振るう。

拳から魔力が放射状に迸り、光の束を迎撃する。


「あら、残念…」

「結構、本気で殺しに来てたよな!?」

「慎吾さんなら、あの程度では死にませんでしょう?」


慎吾は軽口を叩きながら、普通の冒険者ならば何度も死んでいるような攻撃をかわし、いなし、迎撃していく。

やがて様子を見ていたリーラが合図をだし、模擬試合が終了した。


「ふぅ、危なかった」

「ゼェハァ…あれだけ動いて…息一つ…乱してない人に、言われたく…ないだけど…」

「ハァハァ…しかも、そちらから…攻撃をして…きません…でしたよね?」

「ゼェゼェ…化け物か…お前は…」

「フニュ…疲れた…」


額に流れた汗を拭いながら漏らす慎吾に、終了と同時にへたりこんでしまった4人から突っ込みが入る。

事実慎吾は迎撃と回避のみに集中して、四人を攻撃していない。

これは遊んでいるからではなく、リーラからの指示だ。

慎吾に余裕があるといっても、何かの拍子で加減が狂うことがあるかも知れない。

多少の怪我ならともかく、訓練なのに大怪我をさせては本末転倒だ。

それに後衛の美香やティルキアと前衛の勝間やミーリャでは、警戒すべき攻撃も違う。

そのような理由もあって、防御に関する訓練はまた別にあるのであった。


「まあ、個人的な技能はかなり良いとこまで来てるぞ?ただし、連携に所々(すき)があるな」

「隙?」


慎吾の指摘に、勝間達が首を傾げた。


「ああ。特に、遠距離と近接の攻撃の連携がキッチリいってない」


などと先程の試合の中で感じたことを、慎吾は並べていく。


「・・・と、まあ、こんなもんだ」

「まだまだ、課題が沢山だね・・・」


4人の相手をしながら事細かに分析をする慎吾に、勝間達はレベルの違いを改めて認識する。

しかし、戦闘力という点で見れば勝間達も相当の実力がある。

具体的には、リーラ相手なら苦戦しながらも1人で勝つことができるだろう。

4人とも比べる相手が慎吾達なので、自分の実力をしっかりと認識できていないのだった。

もっとも、冒険者ギルドの冒険者と比べると勝間達の方が実力は下だ。

これはリーラが弱いというわけではなく、リーラが護衛として守ることに特化しているだけである。

事実、本気で防御を固めたリーラを倒すのは慎吾でもてこずるほどだ。


「さてと、そろそろ屋敷に戻るか。あ、そうだ…」


腕を伸ばしながら闘技場の出口へと向かう慎吾だが、何かを思い出したかのように慌てて戻ってくる。


「明日からミーリャは、俺達との連携の練習をメニューに入れるらしいから」

「…え?」


いきなりの爆弾発言に、ミーリャがポカンとする。

当たり前だ。

ミーリャとしてはまだまだ慎吾達との差は埋めがたい物で、もっともゆっくりと実力を伸ばしていくものだと思ったからだ。


「で、来週辺りから3対3の模擬試合を始めるってさ」

「「「「えぇ!?」」」」


夕暮れ時の空に、4人の声が木霊した。

慎吾「この作品、五千pv突破だってさ」

海香「それって、凄いの?」

エレイナ「どちらにしろ、これからも頑張るさ」

勝間「そうだね」

慎「改めまして。読者の皆さま、お読みいただき」

慎・エ・海・勝「ありがとうございます!」

エ「これからも、拙作をどうか」

慎・エ・海・勝「よろしくお願いいたします!」



なんか、遅くなってすいません。内容をゴチャゴチャ変えてました。お陰で微妙に読みにくい所があるかも知れませんが、随時編集していこうかなと思っています。

さて、次話は慎吾達がついに旅に出発!とおもいきや、何やら不穏な空気が漂っています。

では、また次話。


P.S.先日、pvが五千を突破しました。読者の皆さまのご愛読、感謝します。『二重召喚』はまだまだこれからですので、これからもお読みいただければ幸いです。

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