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作者: バロン

 ガチャ!

「うわ~春菜の部屋は相変わらず汚いね・・・ぐっちゃぐっちゃ・・」

 姉が部屋に入ってきた。

「なんだよ!別にいいじゃん・・・」

「そんなんだから彼氏出来ないんだよ!」

「別にいいよ・・男なんて・・」

「うわ~こういう女いるよね~」

「で?何?私の部屋に何しに来たの?」

「いや携帯の充電器貸してもらおうかなって・・」

「あのさ・・・借りるのはいいけど貸しっぱなしじゃん!いつも・・」

「あれ?そうだっけ?」

「私が貸したCDも返ってこないし・・・」

「あ!そうだっけ・・」

「だから・・・」

「あ!じゃあ借りてくね!」

「あ!・・・・」

 ガチャ

「・・・・・・・」

 私は姉が嫌いだ。姉は自分勝手だしいつも私の事をバカにするし・・・私にあんな姉いらない・・・


 それにしても夏休みだというのになにもやることがないな・・・宿題でも・・・あ~やる気しないな・・・友達にでも連絡取ってみようかな・・

『春菜だよ!元気?』

 5分後

『あ!春菜!元気だよ!そうだ明日にでもカラオケ行かない?』

「お!」

 やった久しぶりに友達に会える・・・

『いいよ!じゃあ明日9時にカラオケボックスに集合ってことで』

 たまには息継ぎもいいよね!あ!いつもしてるか・・・


 翌日

 今は8:30今からカラオケ行けば間に合うよね・・・

「春菜!」

 う~わ・・・姉だ・・なんだよこんな時に・・・

「あのさ・・・宿題手伝って!今日中に終わらせないといけないんだ・・」

「そんなの自分でやりなよ!大体中学生の私に高校生の問題なんて解けるわけないでしょ!」

「あ!大丈夫!読書感想文だから・・・」

「いやだ!なんで私がお姉ちゃんの宿題手伝わないといけないんだよ!私これから友達とカラオケ行く予定なんだけど!」

 私が怒鳴ると姉はすました顔してきた。

「友達ね・・・あ!携帯貸して!!」

「え?」

 あ~もう早く行きたいのに・・・なんで姉はこうやって・・・

「はい!早くしてよ!」

 ピ!ピ!ピ!

 プルルルルルル

「あ!琴音ちゃん?春菜の姉です。あのさ~春菜・・今日予定出来ちゃったんだ!ごめんね!急な予定なんだ・・そう家族の一大事なんだ・・・だからさ今日春菜カラオケに行けないんだ。ごめんね琴音ちゃん・・・」

 プ!

「はい!じゃあやろうか宿題?」

「・・・・・・」

「なにしてんの?ほら!早く!!」

「おね・・・お前なんて大嫌いだ!!!」

 私は家を飛び出した。


 最低だ・・・あんな姉もういらない!もう家にも帰りたくない!

 気が付くと公園に来ていた。

「うわ~懐かしいな・・・小学生以来だなここに来たのは・・・」

 この噴水とか懐かしいな・・・あ!そういえば、この噴水に石を投げて願い事が叶うんだっけ!

「姉が消えて欲しい!」

 私はそう言って石を噴水の中へ入れた。

「ま!こんなの迷信だよね・・・ハハハ・・・」

 そのあと辺りをブラブラして私は家に帰った。

 はぁ~家にいるんだろうな・・あいつが・・・

 ガチャ!

「あ!おかえり!」

「は?」

 なんとそこには小学生くらいの女の子がいたのだ。

「どうしたの?お姉ちゃん?」

 いや・・親戚にもこんな年の女の子はいないはずだ。

「お嬢ちゃん?お名前は?」

「何言ってんの?私だよ!梨菜だよ!」

 梨菜というのはあのウザい姉の名前だ・・・ってことは?え!?

「梨菜ちゃんってお姉ちゃんいる?」

「だから梨菜のお姉ちゃんは春菜お姉ちゃんだよ・・・」

 ちょっと・・・待って・・・なにが起きたんだ・・・

「あ!」

 思い出した。あのとき姉に消えて欲しいって願ったな・・・っておいおい・・・確かに消えて欲しいっていったけど妹になっちゃ意味がないだろ・・・

「どうしたの?お姉ちゃん?」

「フフフ・・・ハハハ・・・」

 私は笑う事しかできなくなっていた

「よろしくね!梨菜!」


 今、私は自分の部屋にいる。

 それにしてもどうしようか・・・このまま姉が小学生のままだったら・・・あ!今までの復讐できるじゃん!フフフ・・・

 コンコン

「お姉ちゃん。梨菜だけど・・・」

「は~い!」

 ガチャ!

「あのさ・・・お姉ちゃん・・・」

 このクソ餓鬼め・・・まずは殴って泣かせて・・・

 私は手をグーにした。さぁ・・今までの復讐を・・

「う・・・・」

 できない・・・こんな純粋な瞳をした女の子を・・・いやでもあの忌まわしい姉だぞ・・

 私は再び手をグーにした。さぁ思う存分泣け・・

「あ・・・・」

 やはりできない。なんでだ?こいつは私のこと散々いじめてきたあの姉だぞ・・・

「お姉ちゃん・・・宿題手伝って・・・」

 あ!かわいい・・

「うん・・」

 私はそのかわいさにつられ宿題を手伝ってしまった。


 それにしてもアイツをどうするかだな・・いじめてやろうと思ったが・・・

「あれ?」

 待てよ・・・今の姉は何もしてこないし・・・それにかわいい・・・そうだ・・今の姉を可愛がればいいんだ。もうあの忌まわしい姉は返ってこないんだし


 翌日

「梨菜~散歩でも行かない?」

「うん!私お姉ちゃんとのお散歩大好き!!」

 梨奈と手をつないで歩く。

「梨菜・・小学校どう?」

 私は梨菜に聞く

「小学校楽しいよぉ!」

「そっか・・・そっか・・・学校はちゃんと行ってるんだよね!」

「当たり前じゃん!行ってるよ!!ハハハ・・・」

「だよね・・・」

 よかった私のようになってなくて・・・私は小学校の頃いじめに遭って学校に行ってなかった時期があった。そこから行けるようにトレーニングをしてって・・・あれ?よくよく考えたらなんでまた行けるようになったんだっけ?

「ん?どうしたの?お姉ちゃん?」

「あ!いやいや・・・なんでもないよ・・・・」


 しばらくすると公園が見えてきた

「ふぅ~結構歩いたなぁ~・・・」

 ここどこだろう・・・景色もいいなぁ・・・

「あ!梨菜・・休憩しようか・・ジュース買ってきてあげるよ!」

「あ!ありがと!お姉ちゃん!!」


 今、自動販売機の前に来ている。

 それにしもこれでよかったのか・・・いやいや・・いいんだよね・・・だって姉なんかいらないもん・・私には梨菜がいるし・・・

 ポチ!

 ガゴン

 私はこれから梨菜と生活する。姉とはもうさようならだ・・・



 その後ブラブラとして家に帰った。

 今日は疲れたな・・でも梨菜がかわいいから別にいいや・・・あいつも私のこと少しでもかわいいって思ってくれてたら・・・

「あ~もう!」

 なんであいつのことを考えてしまうんだ・・もうあいつはこの世からいないのに・・・


 翌日

 コンコン

 ガチャ!

「梨菜!宿題手伝ってあげようか?」

「いや・・・もうあとちょっとで終わるから大丈夫だよ!」

「じゃ・・じゃあさ・・ゲームしない?」

「ごめん・・・今はいいや」

「じゃ・・どこか出かける?」

「いや・・・昨日疲れたし・・」

「じゃ・・じゃあ・・」

「もういいよ・・お姉ちゃん・・・」

「え?なに?どうしたの?」

「どうもしないよ・・・」

「え?なになに?」

「もういいから出てって!!」

 梨菜に部屋から追い出された

 なんであの子あんなに・・・


 自分の部屋

 あ~梨菜が遊んでくれないと退屈だな・・・私に始めてできた妹。もうかわいくて・・・かわいくて・・・あ~もうダメだ・・・

 コンコン

「梨菜?」

「な~に?」

 ガチャ

「私、梨菜が遊んでくれないとさ・・やることないんだ・・・」

「そんなの自分で決めてよ・・私もやることあるし。」

「じゃあお姉ちゃんも一緒にやっていい?」

「・・・・お姉ちゃん!いい加減にしてよ!」

 え!?

「もう私のことは放っておいてよ!私もそういう気じゃない時はあるんだから!!」

「・・・・・」

 私は梨菜の部屋から出て行った


 なんで・・・私は梨菜がかわいくてやってることなのに・・・なんで私は・・・あれ?ちょっと待てよ・・・今の私って・・・あいつに似てきた?私自身があんな姉になるの?あれ?ちょっと待てよ・・・ってことはあいつも私のことかわいがってくれてたのかな・・・

「あ!!!」

 そうだ・・・私が小学校の頃、いじめに遭って学校に行かなかったとき・・・あいつだけは・・・梨菜だけは私の味方をしてくれたんだ・・


 4年前

 5-3組の教室

「こいつ小学5年にして120cmも身長ないんだぜ・・」

 クラスメートの男の子が私をからかう

「チビ!」

「チビ!」

 それにつられてみんなで私をからかう

「やめてよ・・・」

「おらチビ・・」

 男の子が私の顔に雑巾を投げる

「ブ!」

「チビに雑巾はお似合いだな・・・」

 その次の日も

『チビは学校くんな』

 そう机に書いてある

「どうせチビだから食べても意味ないよな・・・」

 そう言って男の子は私の給食を全部横取りする


 それは男だけじゃなく女からもだ。女子トイレにて

「チビのくせに調子乗るなよ・・」

 そう言って水を頭から掛けたり

「チビのくせにブラなんかつけてんじゃねーよ!」

 って言われて無理やり外されたり・・・

 

 そんなことがあって私は引きこもりになった。

 そんなとき

「春菜!一緒に勉強しようよ」

「春菜!たまには外の空気でも吸いに行こうよ」

 味方をしてくれたのは姉だった。

 それに対して私はいつも反抗してたな・・・


 そんなある日

 コンコン

「春菜!ちょっと!!」

「ん?」

「私がボコボコにしてあげたよ・・・春菜いじめたやつ・・・だから大丈夫だよ・・・」

「・・・・・」

「もういじめたりしないって・・・」

「無理だよ・・」

「無理じゃないよ・・・何度でもやり直せる・・・」

「・・・・・」

 私を抱きしめる

「春菜には!春菜には!!早く元気になって欲しいの!そして私の前で笑ってよ・・・だってこんな可愛い妹なんだもん・・・」

 姉は泣いていた。私もそのとき泣いていた。

 それから頑張って・・・徐々に・・・徐々に・・・学校行き始めたんだよな・・・そして今はもう平気で学校に行けるように


「・・・・・・」

 私は泣いていた。

 私は何て事をしてしまったんだ・・・よりによって身近にいたこんな大切な人を・・・私は・・・







 気が付いたら噴水の前に来ていた

「すいません。わがままを言って申し訳ないんですけど・・・姉、梨菜を返してもらえないでしょうかやはり私には姉が必要です。お願いします・・・あの!!私はもうどうなっても構いません!なので・・・姉を!また元に・・・」

 ドン!!

 その時誰かに突き飛ばされた。

「う・・」

 噴水に落ちる

「あれ・・・」

 なんでこの噴水こんなに深いんだろう・・・やばい・・溺れる・・・

「・・・・・」

 ダメだ・・・もがいても・・・

「ん!!ん!!」

 あ・・・誰か・・・たすけ・・


「春菜!春菜!」

 ん?ここは・・・私の部屋?・・・あれ?

「うなされてたけど大丈夫?」

 お姉ちゃんが話しかける

 あれ?今までの全部夢だったのかな・・・

 ん?なんか体の調子がおかしい

「もうしばらく寝てなよ・・・」

 お姉ちゃんは出て行った。

 なにか違和感を感じる・・・

「あ!」

 なんでランドセルがあるんだ?

「ちょっ」

 中を見る

 小学2年生の教科書。私の名前が書いてある。

「これって・・・・」

 カレンダーを見る。2011年のままだ


 あの噴水・・・どうなってもいいって言ったからって・・私の年齢を若返らせなくても・・・

 でもお姉ちゃんが戻って来てよかった。

 私のたった一人のお姉ちゃん

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