~10時間目~
年が明けて、新学期がやってきた。三学期だ。1年生ももうすぐ終わる……気を引き締めないと。
「きょ、今日は、転校生を紹介、し、しします、ふふ」
始業式が終わり、ホームルームが始まってすぐにビッグニュース。こんな時期に転校生か。どんな子だろう?
よし、クラス委員として、面倒を見てあげよう。右も左も解らずにこんな牢獄のような学校に来てしまったんだ、さぞや不安だろうな。
「入っておいで、てててて転校生、くん」
「失礼します」
教室の扉が開いた。そして、長身のモデルのような美少年が顔を見せる。
すごい。向井くんも美少年だけど、それに負けていない。髪は金色で、さらさらとなびいている。白い肌が教室の光りを反射して、まるで、天使が下界に降臨したようだ。
「さささささ、こここここっちへ」
鬼塚先生が手招きする。転校生は教壇の前に立つと、キレイな指でチョークを黒板に走らせた。そして、振り返り少し高めの声で爽やかに笑う。
「宮門 丸生です。子宮の宮に、肛門の門で、宮門。睾丸の丸と生理の生で丸生と書きます。以後よろしく」
ユニークな自己紹介だな。きっと、緊張して本人もワケが解らないことを言ってしまったんだろう。
「すすす、好きなものとか、聞いちゃおうかな? 僕はアニメと幼女だけど」
鬼塚先生、教育者としてそれはどうなんだ。
「私の好きなもの、ですか? そうですね、強いて言うなら――」
少し考えるような素振りを見せたあと、宮門くんは微笑んでこう言った。
「オナ○ーです」
最悪だ! こいつ、顔はいいけど中身がアレだ。アレ過ぎる。心配して損した。
「そそそそ、そうかい。えっと……席は宮村委員長の隣で、いいいい、いいかな?」
「解りました」
宮門くんはそよ風のように爽やかに歩いて僕の隣にやってくる。そして、目が合った。
宝石のように輝いた曇りない視線。それが、僕を見ている。見られている。
「やあ。君がお隣さんかい? よろしくね」
「あ、ああ。委員長の宮村です。わからない事があったらなるべく他の人に聞いてください」
関わりたくない、こいつに。
「あはは。初めてだよ、そんなお茶目なこと言われたの。……わかった。わからない事があったら、全部宮村くんに聞こう」
「え」
逆効果?
「あ、そうだ。今日、三学期初日だけど、二科目だけ授業あるんだよ。宮門くん、教科書は持ってきてる?」
「いや、それがまだ届いていなくて……」
「そっか。解った。僕が見せてあげるよ」
「ごめんね」
そうこうしている内にチャイムが鳴って、英語の授業が始まった。英語は女の先生だ。けっこう美人で、みんなに人気がある。男子校という砂漠に咲く一輪の花、といったところか。
「はーい。それじゃ授業始めますよー。日直さん号令~」
「きりーつ、礼。着席!」
「は~い。みなさん明けましておめでとうございます。あら? 新しい生徒さんがいるのね?」
「はい。子宮の宮に、肛門の――」
「あああああ! えっと、宮門くんです!」
ふう。もうその自己紹介やめてくれよ。
「先生」
「何かしら? 宮門くん」
「おキレイですね。昨日見たDVDに出演してた女優さんに似ています」
「あら、嬉しい! どんなDVDかしら? 先生も映画が好きなのよ~」
「おっぱいがいっぱい、巨乳女子高生放課後三者面談です」
教室の空気は一気に凍りついた。




