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1-4 見習い修行

「馬鹿野郎 遠慮無用だ、それに後輩の指導は先輩冒険者の務めだからな、、」


ランド達はさも当然だと愉快そうに皆と微笑んでくれた。

その日からタロー達はランド達の見習い員としての生活がスタートする事となったのだ。




新人4人組は疲れ果てて宿屋にて帰ると全員が深い眠りに就いていた。

その頃閃光のパーティ員たちはギルド内の酒場にてまだ飲みながら、話題は本日パーティーの見習い員となった彼等にもっぱら集中していた。他の馴染みのパーティ員も加わり楽し気に酒のつまみ?の対象として話題の中心となる。


「「ほう 12歳でホブゴブリン達に立ち向かったのか?それは末頼もしい新人達がいたな、、」」

「ああ 正直支援に駆けつけている最中ではもしかして最悪の場合と覚悟もしていたのだが、あいつ等は多少の傷や疲れだけでそれぞれが懸命に戦っていたんだ。だけどないつ最悪な状態になっても不思議ではない状態でな、もう少し駆けつけるのが遅かったら恐らくは全滅だな、、」

「そうなのよ あんな姿を見て私も驚いていたけどリーダーがこのままにしていたらまた同じ様な事に巻き込まれると心配してね、、、、」

「「ふむふむ それでランド達が暫くの間は面倒を見ると、、、」」

「ああ 危なっかしくて見てられないぜ せめて冒険者としての基礎を叩き込むまでは面倒を見てやろうとな、、」

「がはは お前は昔から人の面倒見がいいからな、、、ならば将来有望な新人達に乾杯だ!」


気の置けない冒険者仲間達は皆がうむうむと頷き合い今宵の酒の肴として遅くまで飲み明かしていた。




「「「「お早う御在ます ランドさん!」」」」


ランド達の泊っている宿屋のロビーにて朝早くから新人達は詰めかけて待機していた。


「おっ おお、朝から元気だな、、済まんが昨夜は少し飲み過ぎてな、、もう少し声を落としてくれれば助かる、、、」


どうやら酒の飲み過ぎで二日酔いらしくランドは少し顔をしかめた。


「ははは あれだけ止めたのにね、、新人君たちおはよー、、」

「ふん 百歳越えのエルフは蟒蛇(うわばみ)状態だから、、、ぐえっ!」

「あらあら どうかしたのかしら? 酔いがぶり返したのかしら ご用心」


「「おいおい体調不良のリーダーを虐めるな 新人君おはよー」」


後から続いて現れたメンバー達はそんなランドを見て笑いながら新人達に挨拶を返す。


「「まったく久しぶりにあんなにはしゃいで飲んでいるランドを見たよな、、」」


いい酒の話題は皆の深酒の肴になるのは何時の時代も変わらぬものであろう。




「いいか?最低数ヶ月は剣の修行と冒険者として生きる知恵を教え込むからな。結構ハードだがしっかり覚えてこれからの糧にしてくれ」


後数か月後にはランド一行は別の都市への移動予定があるらしく、それまでの間は一から新人達に生き延びる知恵を伝授する事となった。


朝と夕に剣と魔法の特訓が待っており、日中は半荷物持ち待遇で特に斥候役のバルトはロルフに常に鍛えられてその手腕を大幅に伸ばしていく。


クララはハーフエルフのキャロルから暇な時間があれば回復魔法以外を教わっていた。スキルは回復魔法しか持たないが本人の努力かはたまたキャロルの教え上手によるものか隠れた才能なのか、初級であれば火と風の魔法を何時しか覚え込む。

剣は男達3人の必須科目であり、ランドとロルフが偶に代役を務め朝夕大汗を掻きながら技の研磨に余念がない状態だ。


「そうだ、、たかが野宿だが最低の事は知っておかないと災害や魔物襲撃の時に苦労するぞ」


テントの張り方ひとつ 設置する場所等の選定基準 新人3人組は懸命に冒険者の常識を覚え込む毎日であった。


ゴブリン コボルト系ならば経験値として新人達の担当であり、ランドの鋭い指摘を聞きながら慣れるべく魔物退治に汗を流す。

手に負えぬ相手は閃光メンバーが対応するが、倒す前に簡単に魔物の弱点等をレクチャーしてその通りに倒して行く。


「そうだ 移動速度の速い魔物はなるべく早めに魔物の足を痛めておくのが上策だ、まぁ一撃で倒せる自信があればそれが一番だがな、、」


野営時の食後の雑談時にふとグランがタローに問いかける。


「・・そう言えばタローは空間スキル持ちなんだな?」

「はい 虚空庫持ちです、でも小容量で実際の容量はこのくらいの、、、」


自分の手を広げて容量の範囲を示す。


「ふーむ 確かに小容量だが、、少し気になる点は普通は虚空庫持ちは容量ではなくどれほどの重量を運べるかの制限が普通なのだが、、重量の重い品等を収めた事は?」

「・・・いえ 小さな品で重量物とは何でしょうか?」

「そうさな、、うん鉄鉱石関係かな あれは見かけよりかなり重量があるよな?」

「ああ 確かに、、チャンスがあれば確認しといた方がいいですね」

「そうだな それにスキルレベルはまだ1だろう?せめて早めに2に上げればお前のスキルの全貌も見えては来るのだがな、、、」


スキルレベル1から2であれば毎日使用していれば一年以内で通常は上げられると教わる。

タローの納められる容量もどう変化するのか気になる点ではある。



「落ち着け!今のお前等なら4人で掛かればホブゴブリンも倒せる。油断だけはするな!」


何だかんだで数か月の見習い期間が過ぎて、当時に比べれば逞しくなった新人達は最終試験と称して因縁のあるホブゴブリンを倒す事が求められた。


「はい! クララ 俺達が襲い掛かる寸前に火魔法で目くらまし頼むぞ」

「うん 任せて!   ・・よし いくわよ!」


他の3名が一斉に動くと同時にクララからホブゴブリンに向けて火球が襲い掛かった。


「よし 奴がたじろいたぞ、バルトは後方から奴の動きを押さえろ。タロー突っ込むぞ!」

「おう バジル無茶はするなよ!」・・・・


それぞれの役目を考えながら果敢に突入していく3名であった。


 ぐあぉぉぉぉぉぉぉーー


ホブゴブリンの力任せの一撃が先頭のバジルに襲い掛かってきたが、その一撃を彼は大剣にてしっかり受け止める。


「くっ、、、いまだ!」


敏捷性のあるバルトが転がり込むようにホブゴブリンの後方に回り足の筋を切りつけ、そのまま転がって距離をとり相手から離れる。これで相手の行動に少し制限が生じる。

その痛みに思わず後方を気にした相手にタローの剣先が相手の腕を切り裂いた。


 ぎゃおぉぉぉぉぉぉ!


いい感じで腕を切り裂いたがまだ12歳の力では腕を切断する力はない。


「「「うん いい感じだ!そのまま畳みかけろ!」」」


後方で待機するランド達も懸命に新人達を応援していた。


 ぐおおおおおおおおおお!!


圧倒的体力差を利用してホブゴブリンはありったけの力で暴れ始める。

その力に剣を合わせていたバジルがよろけ始めたが・・・


「馬鹿野郎 後ろがお留守だ!」


後方で距離を取っていたバルトが飛び込んで後方から切り付けた。

その痛さに顔をしかめバルトの方へ恐ろしい顔で睨みつける。


「ほいきた また側面がお留守だぞ!」


一瞬のスキをついてタローが先ほど切り付けた手に再度攻撃を仕掛けた。

けたたましい悲鳴を上げながら、ホブゴブリンの手からソードを握る力が著しく低下した。


「しめた くらえ!」


バジルがここぞと力で相手の刃をはねのけると姿勢を崩した相手に渾身の力で大剣を振りかぶりホブの首筋を引き裂いたのだ。

大量の出血が流れ出しよろよろとしながら片手で首筋を押さえていたが、そんな事で出血は止まる筈もない。


「「「最後だ!」」」


バルトは渾身の力で背中から突き、タローは手で押さえている反対側の首筋を切り裂く、バジルが大剣を最後の止めとホブの脳天へと叩きつけた。


「「「はぁ はぁ どうだ?!」」」


いったん各自は距離を置いて相手の様子を慎重に窺う。

頼りなくフラフラしていたホブはやがて白目を剥いて大地へと倒れ込んだ。


「「「やったのか?!」」」


「待て!迂闊に近寄るな、、」


はやる新人達を制して注意深くグランがホブゴブリンへと歩み寄った。


「・・うん 見事だ、ホブゴブリンを皆で倒したぞ!」


途端に歓喜の声が皆から森中に響き渡る大声が発した。


「ははは 4人掛かりとはいえ12歳のメンバーでなら上出来だな、、」

「ふふふ 私の指導の火球も中々の目くらましになったね、、」

「「うむうむ これなら左程心配せずに冒険者家業も可能だな・・」」


閃光パーティの皆が卒業試験のクリアを祝ってくれる。

と 同時に別れの時ともなる、この後閃光のパーティ員たちは別の都市へと移動していく事になるからだ。この数ヶ月間かなりのペースで新人達を教育したが、本日をもって別行動となるのだ。



「「「「お元気で!今迄有難うございましたーー」」」」


新人達の大声に送られて閃光のパーティ員たちも片手を振りながら森から街道へ向かうべき歩みだして行った。


「・・・行ってしまったね」

「ああ この数ヶ月は本当にお世話になったよな、、」

「・・さて 俺達も一旦都市へ戻ろうか」


ランド達に鍛えられて見違えるほどに皆は進歩していた。そして今後の自分たちの行動について本格的に話し合う為に一旦都市へと戻る事となった。


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