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1-3 ゴブリンとの激戦

「・・ああ せめてクララが逃げ切れればそれでいいさ、行くぞ!」


リーダーの掛け声に反応して各自が目の前の相手に向かい、ありったけの奇声を発しながら突撃を開始していく。


「「「うぉぉぉぉぉーー クソゴブリン等 やっちまぇぇぇぇーーー」」」


3名は必死の総攻撃を開始した。


 な 何なのあの声は?そうか戦闘が始まったんだわ お願い必ず助けを呼ぶからそれまでは死なないで 必ず生きてていて・・


必死に都市へと走るクララは涙目になりながら森の中を走り込む。



 うりゃゃゃゃゃゃーーーー


目の前にいるゴブリンに懸命に剣を振り下ろすタロー等だ。

これまでこの何処にでもいるゴブリンとは数回遭遇した事があった、何れも単体の相手でありそれを数人にて木の棒で追い払った経験がある。


今回は安物とはいえ切れる剣がある、当たれば必ず相手は傷の痛さに怯む筈だ。

しかし相手も何処から手に入れたのか赤錆だらけの剣を握っている、当たれば怯むは互いに同条件でもあった。しかもタイマン勝負は初めての経験であり、完全に脳内は普段の剣の練習などは思い出してもいない。ただ生存本能に従い相手に襲い掛かっていく。


「くう!剣をはねのけられる、、」


自分よりやや小型のゴブリンだが力は思ったよりはある、懸命になり剣を振り下ろすが相手も必死にその剣を何度となく跳ねのけてしまう。

冒険者になると決めてからほぼこの半年間は暇があれば剣を振るい研磨してきたつもりだが、なかなか思うような一撃を相手に与えられないのだ。


 くそ くそ 負けて堪るか!


前にゴブリンと対決した時は2人がかりでようやく相手を撃退したのだが、その当時よりかなりの進歩をしたつもりであった。なれど実戦の壁は今だ厚く立ち塞がっているのが現実であった。

息を整えながら懸命に何度目かの攻撃を加えて行った、それをまた跳ね返そうとゴブリンが大きく足を踏み込んだ時に大きな勝算の目が転がり込む。踏み込んだゴブリンの足がはみ出した木の根につまずきバランスを崩してしまったのだ。


 い 今だ くらえ!


がら武者に振り下ろした剣先が見事ゴブリンの左肩の付け根に切り込まれていく。


 ギャ!?グェェェェェェェェーー


甲高い悲鳴を上げながらゴブリンが怯み大きく間合いをあけて行く。


 はぁ はぁ どうだ!まだやるか?


息は上がっているがここが攻め所とタローは再度打ち込む構えをとり相手に近付こうとした時に、突然横から仲間の一人が大きく跳ね飛ばされてタローと衝突をした。


「わっ? な なんだ バジルか!どうしたのだ、、、、」


逆にそれを見た手負いのゴブリンが一気に間を詰めてきたが、片膝体制のまま剣先をゴブリンに突き出すと一瞬相手もたたらを踏む。


「・・おい バジルどうした? しっかり、、、」


何故に彼が吹き飛ばされたのかは直ぐに判明した、巨悪な顔のホブゴブリンがにたにた笑いながら近寄って来るからであった。

考えれば圧倒的な力が違う相手にリーダーのバジルは良く戦っていた、思うに大剣を扱う事により体のリーチを何とか無くしての戦いぶりであったのだろう。

なれど大剣を振るうにはそれなりの体力が必要となる、いかに大柄な彼でも更に上を行くホブゴブリンに次第に追い詰められて、ついには弾き飛ばされたのであろう。


「・・・はあはぁ す すまん、直ぐに立ち上がる、、くっ、、、」


精も根も彼は尽き果てようとしていたのだろう ガクガクと膝が震え力が入らずに難儀していた。

恐らく彼の代わりにタローがホブゴブリンに対峙してたらものの数檄でタローは弾け飛んだと思われる。

横目で更にバルトの様子を窺うと彼も疲れからかゴブリンに押し込まれ始めている。


「・・・いかんな そろそろ全員が限界かもな、、」

「ああ、、後何回かの打ち合いで終わりかも知れんな、、、」


互いの顔に半分諦めの色が見え始めていた、今更逃げるにもその体力もほぼ残ってはいない。

これで最後の抵抗になると二人は懸命に起きてせめてもう一太刀と覚悟を決めていた時であった。


「そのまま静かにしておれ 立ち上がるな!」


突然後方から野太い大声が響き渡り同時に空気を引き裂くかのような唸り音と共に何かが飛来してホブゴブリンの片目に命中する。


 うぎゃああああああーーーーーー


突然の攻撃にホブゴブリンは痛みに反応して大声を響かせていた。


 よし キャロル命中だ 後は俺が行く!


その声と共に大柄な誰かが飛び込むように走り込みホブゴブリンに襲い掛かると、素晴らしい剣先の速度で斬りかかっていった。


 くたばりやがれ!!


剣先が相手の首に横一線にひかり それで全てが完了してしまった。

醜い顔の頭が体から離れ空中を舞い、やがて大地にゴロゴロと転がり落ちたからだ。

呆気にとられ他2体のゴブリンは見ていたが、慌てて踵を変えると悲鳴を上げながら森の中へと逃げ出していく。


 おう もう大丈夫だ 怪我は無いか?


30前と思われる大柄な男がにやりと微笑みながらタロー達に尋ねる。


「「おうおう リーダー達は足が速いな 何だもう終わったのか?」」


更に後方から2人の男達が駆け寄って大柄な男と並ぶ。


「ああ 私の弓が見事に当たったからね」


ゆっくりと細身の女性が歩いて来て報告する。


「大丈夫か 怪我は無いのか?」


精魂使い果たし息を切らし立ち上がれないタロー達に再度尋ねるのであった。


「「・・あ ありがとうございます  大した傷などは、、、、」」



「タロー バジル バルト 怪我はしてないの 無事なの?!」


この冒険者達に後れて走り込んで来たのはクララであった、疲れ果てて立ち上がる気力のない3人に順番に彼女はスキルのヒールを何度も発動していく。


「「「ありがとう クララ、もう大丈夫だ、、、」」」


やっと3人組はその顔に生気が戻りつつあった。


「よかった よかった本当に、、皆さんありがとうございました お陰で仲間が無事に、、、」


そこまで言って彼女は泣き出して声にはならなかった。


「ははは 先ずは無事でよかったな でも冒険者に成りたての者がここまで奥地に入るものじゃないぞ。今回は無事に済んだが最悪全滅の目があったからな、、」

「はははは ランド そう怒るな、今回で彼等も骨身にしみただろう?いいか もう二度とこの奥地には近寄らぬ事だ」

「まったくよ でもあのホブゴブリン相手に良く戦ったわね 感心するわ」


応援の冒険者達はたまたまこの場所近くの森に来ていた、彼等の前に血相を変えて走り込むクララに事の次第を聞き及び慌てて皆が現場へ支援に走り出したのだ。


「「「・・はい 誠に甘い判断で皆さんの手を煩わした事に、、、」」」


「カカカ いいって事よ、しかし今回の事はギルトには一応報告するので まぁ少しギルマスからの説教は覚悟しておけ。命があったのが一番だからな、、」


タロー等4人組は項垂れて何度も頷いていた。



「バカもんが! 無謀な事をしやがってよくぞ命があったな。相手がホブゴブリン達だと?お前等駆け出しが何人いても相手にならない存在だぞ、もし近くに閃光のパーティメンバーがいなければ大変なことになっていたのだぞ 心の底から反省しておるか? これに懲りて二度とこんな真似をするのではない 今度同じことをしたらギルトから追い出すことを肝に命じろ!そもそもたかがF級があんな奥地へ、、、、、」


暫しの間 ギルマスの怒りは収まらずに4人組はギルマスの怒りの言葉に再度身を縮込ませて項垂れるのであった。



「おっ あの4人組だ、、おーい ギルマスの説教は終わったか? 少し話がしたいので此処に来い」


閃光パーティのリーダーのランドが項垂れてギルマス室から出てきた4人組を見つけて声をかける。

その声に反応してタロー達はとぼとぼと此方へ向かってくる。


「ははは もう説教はしないから安心しな、まぁ座れ 何か飲むか?」


ギルド内の食堂コーナーにて2パーティによる話し合いが始まる。


「最初に自己紹介を済ますか、、俺はCランクの閃光のパーティリーダーを務めているランドだ、隣はハーフエルフのキャロル 弓使いだ、その隣が盾役のバーランダ そして最後が斥候役のロルフと言う、、」


それに対してリーダーであるバジルが各パーティ員を紹介していく。


「ふむ、、若いと思ったら12歳になったばかりか それも見習い期間が終わり初めてのクエストでこの惨事か?」

「「「「誠に申し訳なく、、、」」」」

「いや 別に責めているのではないんだ 少し聞くが特別に今迄誰かに剣の指導とかは?」

「・・いえ ほぼ自己流ですが 偶に近所のおじさん達が教えてくれたりで、、」


指導してくれるおじさん達も殆どが自己流の指導法でしかなかった。一人だけ元Bランク冒険者がいるがそもそも冒険者時代に片足に傷を負い満足に歩けないし、自分の畑等の手入れに追われて数回指導してもらっただけだ。


「なんと、、するとお前達は剣にかなりの才能があるのか またはスキルか?」

「はい スキルらしいスキルは私が特に大剣に特化ですか、、タローもバルトも剣に対してのスキルは特に、、、」

「「何だって?二人はスキルなしであのホブゴブリン等に渡りあっていたのか?」」


ホブはバジルで二人は通常のゴブリンなのだが、、、


「いやいや 俺達が駆けつけるまでそれなりの時間があったはずだ、ゴブリン相手でもお前達では手に余る状態だったはず、、それを更にホブゴブリン迄相手とは、、、」

「・・まったくだ ロルフお前が12歳の時ホブゴブリンに遭遇したらどうする?」

「・・まず逃げ出しただろうな バーランドは?」

「ははは お前と同じだろうな、、対等に戦ったことに驚きだな」


閃光のパーティ員たちは皆が笑い合う。


「「「いえいえ もう夢中なだけで、、、」」」


「謙遜しなくてもいいぞ 褒めてあげたいぐらいだ 逃げて行ったゴブリンの一体は手傷を負っていたしな しかしだ、、このままでは非常に先行に問題があるのも事実だ。本格的に剣を教えてくれる当てが誰かいるのか?」


タロー達は皆と顔を合わせてやがて揃って顔を横に振る仕草をする。


「うーむ 当ては無いか、、剣もそうだが冒険者としての細かい事も教えてもらわねばな  どうだ少しの間 我等のパーティーに身を寄せるか? その間に冒険者として独立できる剣の鍛錬と知識を覚え込めばいい?」

「「「おう それはいい考えだ このままでは明日の運命に少し不安があるからな、、」」」


「・・嬉しい提案ですが 皆様のお荷物になる可能性が、、、」


どう見ても足を引っ張りそうだとタロー達は恐縮していた。


「馬鹿野郎 遠慮無用だ、それに後輩の指導は先輩冒険者の務めだからな、、」


ランド達はさも当然だと愉快そうに皆が微笑んでくれた。

その日からタロー達はランド達の見習い員としての生活がスタートする事となったのだ。


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