2-8 待望のスキルレベル3そして正体が、、
日常の訓練は変らないが時に触れて空間魔法をどしどし使っていく事が解禁となった、ゆったりしている時にも虚空庫の中身を取り出しては仕舞い込む作業を繰り返していく毎日が始まった。
「「「おかしい? もうスキルレベル3になっても、、、」」
約一ヶ月間懸命にスキル上げに挑戦しているのだが、肝心のレベル3には目処が立っていない。
「・・師匠 レベル1及び2迄はそんなに苦労せずに順調でしたが、レベル3って こんなに苦労するのですか?」
「いやいや、、レベル4乃至5なら可能性はあるが、レベル3ごときでここ迄は、、待てよ あいつはどうだったかな?、、、あっ 駄目だ、、確かあいつは私と会った時は既に最低レベル3以上だったよな、、」
誰の事を考えているのかタローは朧気に見当がついていた、恐らくは勇者ケンタロウ氏ではないかと考えていた。
うーん、、もしかして 通常人と違い異世界人は少し上がり方が違うのか?
なにやらぶつぶつと聞こえてはいけない単語を発しているが、タローは敢えて聞かないふりをする。
「うーん 分からわ・・自己努力をせい!頑張れ!」
問題を投げたな、、、仕方ない 今暫くはこのまま努力するか、、
何も此処まで来て焦っても仕方ないと彼も納得して極力スキルを使うべき毎日を過ごしていた。
「所で 個人レベルはまた上がっているのか?」
「はい・・えーと 今は32かな、、、」
ここに帰って来てからひと月以上は経過して前と同じ訓練を行っているのだから当然個人レベルは上昇している。
「順調だな、、もう少し強くなれば森の奥へと遠征も可能だな」
「ええ?更に奥ですか、、楽しみですが大丈夫かな?」
「私も同行すれば問題もないだろう?」
「ええ その節には師匠にお願いしたいです」
まだ見ぬ強力な魔物との対決、冒険者としては血が騒ぐのかもしれない。
このエリアではほぼ問題なく一人で魔物との戦いに専念していた、それでも数を頼りに攻めてくる魔物には正直一人では手に余るケースもある。そんな時には師匠の参戦がこの上ない安心材料でもあった。
ましてはこの地より更に奥へと進めば進むほどに魔物は強く勢いを増してくるのだ。
「そうだな レベル35になったら遠征するか?」
それに対して嬉しそうに頷くタローがいた。
そして更に半月が経過した時であった、倒した魔物の魔石を虚空庫に収めている時にそれは起こった。
「えっ 今収めた後の特別な感覚はもしかして・・・・」
逸る気持ちを押さえながらステータス画面を呼び出しでみる。
「・・・・やった やはりだ、、師匠空間スキルレベルが3に上がりました!」
肝心の師匠は離れた場所で眠たそうにタローの戦闘を眺めていた。
「うん?上がった?、、おうスキルレベルが3になったのか?!」
途端にその目が大きく見開かれてビックリした様に身を乗り出す。
「はい スキルレベルが3になり、、えーと、、、」
「待て!この場では見るな もしかの事がある、至急に結界内に戻るぞ!」
スキルレベルの内容確認はこの場では集中力が乱れて、魔物の接近にもしかの不祥事も考えられる。至急に戻り安全な場所にてじっくりと確認すればいいのだ。
待ちに待ったスキルレベルの上昇に二人は逸る気持ちを押さえながら結界を目指して走り出す。
結界内の家に近い場所に野外のベンチが設置されている、大木の木の下に設置されており暑い日の休息場所として設置されている場所へ二人は仲良く座り込む。
「・・間違いないのだな?して その内容は?」
「えーと ですね、、あれ?虚空庫の大きさは今と変わらないようですね、、、変化したのは 何だこれ? 虚空庫内錬金?が可能だと、、、」
「何だと? 虚空庫内錬金?だと 初めて聞く言葉だが、、詳細を調べろ!」
「はい、、、えーと 材料が虚空庫内にあれば望む物が虚空庫内にて錬金できる、、、、、」
「・・・・錬金スキルの枝分かれなのか?」
「・・師匠 これ考えれば凄くないですか?だって 誰にも知られずに錬金が可能で、、そしてこの一言が 望む物が出来る、、錬金の品物に制限がないのでは?」
「うん?それがどうした、、材料があれば錬金が出来るのは当たり前で、、、あっ?!」
ふと 彼女は勇者ケンタロウがぼやいていた言葉をふいに思い出す。
確か、、彼の世界では此方の世界にない便利な道具類や強力な武器あるが、通常の錬金術では彼の世界にある品は製作出来ないと 何故か寂しそうな顔をして語った事があった。何が欲しいと言っていたかな、、そうだ スマホ?遠くに離れていても会話や情報が入手できる?、、、
「スマホ ですか?ふーん この世界でもあれば便利なのか、、?」
「・・おい 何故にお前はスマホなる物を知っているのだ?この世界には無いものだぞ?!」
あっと!しまった つい話の流れで語ってしまった。
「・・正直に話せ 前から不審に思っていたが、お前は召喚者だな?!」
途端に冷汗がダラダラと流れ始めていた、今迄は敢えてそんな話には惚けて来ていたがもはや隠し切れないと、、、、
「・・もう一度言う お前は召喚者だな?秘密にはしておく正直に話せ、、、」
彼女からの一際厳しい威圧が彼を襲って来た。
「・・・・いえ 正確には違います、私はどうも転生者らしく、この世界とは違う記憶を持っています」
この世界で5歳の時に突然過去の記憶が甦った事、なれど記憶としてはぶつ切れ状態で肝心の自分の死因や享年等今だに解らずに難儀している と話せることは説明してみた。
「・・・向こうの知識や便利な道具等の記憶は?」
「・・あります、、、」
「やはりか、、、するとそのスマホなる物を製作する事も可能か?」
それは無理かもしれない、、完成された商品は知っていてもその内部はLSI・液晶等の電気部品の製造など不可能だからだ、それを製作する特殊な機器類が必要になる。
「・・だめなのか?本当に無理か?、、、」
再度彼女はしつこく尋ねてきた。
「はい、、完成されたパーツがあればもしかして可能かもしれませんが、、、」
「・・・心当たりがあると そう言えば?」
はい?何を言っているのだ?頭は大丈夫なのか?この世界に存在しないパーツ何だぞ、、。
「失礼な弟子だ、、私の言っている事が嘘だと?」
「いえいえ でも失礼ながらこの世界には存在しないパーツなんですよ?」
「だから、、同じ品か分からぬがそれらしい物を見た事がある そう言っている 正直その正体は知らぬ が、この世界で150年近くは過ごしてきたが今だ同じものは見たことが無い、、」
はい? 何かを勘違いしているのでは、、この世界に無いものを何処で見たと?
「・・・この森の奥地だ そしてそれが原因で私は忌み子として追放されたのだ、、、」
・・・師匠の追放理由? 忌み子、、、、その言葉は前にゲルン?だったか あいつから聞いた覚えが確かにある。
「・・師匠 もう少し細かくお話を聞いても宜しいですか?」
ここは深入り禁止とタローは感じており、今迄はこの件について師匠に聞いた事は無かった。エルフの村から追放などと言う話は自分には重すぎて聞く気もなかったが、話の流れとは恐ろしいものがあると彼女と正面から見つめ合い 尋ねる事にした。
「まずは 其の追放理由の 忌み子 ですか?何が理由で忌み子になり追放されたのかを聞いても宜しいですか?」
ああ 構わん、そもそも私がまだ30歳にもならぬ幼い頃の話だ、、、
「・・えーと 最初から申し訳ないですが、30歳でエルフはまだ幼女?」
「当たり前だ 私達は人族とは違い成長が緩やかだ、そして100歳になると成人として村では認められる。100歳になると更に成長が穏やかになり、その状態が死の約100年ほど前から急に老け始める体質なのだ、、」
うーむ、、つまり肉体的には若い時代がかなり長く続く状態なのですね?
「・・そうなるな 羨ましいのか?」
そ それは人族にとっては夢のような話ですし、人族の特に女性達ならばヒステリーの連発にもなる話ですね、、
「・・森の中では退屈だぞ、、いくら年の取り方が遅くとも、刺激のない毎日が只何年も生年も過ぎて行くのにお前は耐えられるか?」
うーむ 無いもの強請りかな、、そう言われると耐える自信が無いかも、、、
「・・話を戻すが 私はハーフエルフだ、つまり普通のエルフ達より少し成長が早い事になる、、だからつい仲間達と成長の差が出て自分の年下?みたいに見える仲間達と次第に距離を置いてしまう毎日であったのだ」
ああ、、体も恐らくは精神的にも成長の違いが出てしまったのかな?
「・・そんな ある日、エルフの儀式により大人たちの選抜が何人か森の奥へ向かう事があった、確か数十年に一回行われる儀式だそうだ」
選抜による大人たちが何人か特別な儀式の為に出かけたと?
「儀式の前には数日禊ぎ等をして準備の後に目的の森の奥へと入っていくのだな。問題はその参加者たちは選抜であり他の者は絶対に参加出来ぬ事であり、特に子供は穢れやすく近くに寄る事さえ禁止されていた、、、」
ははぁ もしかして師匠は興味本位で後からこっそりと付いて行った、、、
「・・正解だ 数十年に一度の儀式なんて細かな仕来たりも知らぬし、大人たちが近寄るなと言う場所ほど子供にとって興味のある場所だとは思わないか?」
・・師匠は普通のエルフの子と比べて体も精神性も成長も早く、子供特有の好奇心も旺盛だったと言う事か、、、
「それにな私の母親は事故で亡くなっていて、細かな村の規則などあまり教えられていない環境で育ったからな、、、」
あっ、、、孤児として誰かの保護観察でいた可能性が、、せめて母親が生きていれば色々な知識を教えられたのかも知れないのにな、、
「・・で 師匠は狭い村から興味のある外の世界に目が向いて行動に移したと?」
「・・・うむ もう少し当時思量があればな、、、」
今となれば取返しの付かない事をしでかしたのか、、、
珍しく落ち込んでいる師匠に聞いているタローも気が重くなる告白内容であった。
「・・一つ疑問ですが、ここまでの経緯は理解しましたが 忌み子 として何故に恐れられて隔離?に近い状態にされているのですか?」
「・・そもそもこの話は今から数千年以上前の事で口伝として伝わっていたのだが、私の前に体験した子供は著しく成長が抑圧されて次第に歩けなくなり、発熱を繰り返している内に発狂して正常な思考力も衰えついには短い生涯を終える事となったと言う、、問題はその子を主に看護していた者も同じ様な発病を起したがその者が大人であった事が幸いしてかある程度の状態で小康状態を保ったが、他の者より短い生涯であったらしい、、」
そしてあまりの変わり果てた子供の姿に村人達は恐れ、あれを見た子供は本人や村にも祟るものであると認識されていく。そして好奇心旺盛な彼女がそれを知らずに、、いや好奇心が勝りその結果村から隔離され追放及び定期的な状況監視を受けて一人で生活して来たらしい。




